小編成のオケであるが、ティンパニーの打撃を強く意識した演奏である。弦楽群は極力ビブラートを抑え、木管群を浮かび上がらせるように構築されている。
第1曲、速度は前半は速め、後半はコーラスにじっくり謳わせるよう遅めのテンポ。冒頭、重苦しさは微塵もなく、静かに夜が明けていくような雰囲気をもつ。コーラスは、霧の向こうから聴こえてくる如く、美しいソプラノと柔らかみのあるバスが印象的だ。第2曲、小編ながら中々の迫力を演出するオーケストラ、ここでのティンパニーの使い方が抜群。ト長調からの(So seid nun geduldig)コーラスの優しさは、神の暖かなまなざし、しかしすぐに元の重苦しさへ引き戻される。「Aber des Herrn Wort 」の宣言のくだりは、個人的にはもう少しボリュウム欲しいところか。続くアレグロ部大きくテンポを揺らしているが、コーラス陣はきっちりとついてきているのは流石。3曲、バリトンのフォレは、落ち着きのある声。影絵のように独唱を模倣しながら緊迫を高めるコーラスもうまい。フーガは、もう少しコーラスが前へ出てもらいたかった。(録音のせいか)持続低音Dもそのわりに効いていない気が。4曲、この舞曲は短いのだが、個人的には好きだ。Selig動機の変奏が使われていたり、短いフガートなど。ベルニウスは、少しテンポをゆっくり目でコーラス陣をリード。5曲、ソプラノのボルヒェルトは、少し線が細いか。綺麗な歌声であるが、もう少し憂いが欲しいところ。
6曲、バス独唱後のスフォルツァンドは、この編成ではやはり迫力不足なのだろうか。大フーガ、各パートともうまいのだが、この賛歌の持つ「圧倒的」さが残念ながら聴こえてこない。7曲、救いと報いの旋律。ベルニウスの終曲への思い入れを感じる。透明な色彩のハーモニーを堪能できる終曲だ。
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