ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.61、ダヴィド・オイストラフ(V)クリュイタンス フランス放送国立管弦楽団(1958年録音)を聴こう。フランス放送国立管弦楽団のしなやかで透明感のある響きが、オイストラフの骨太なソロを優雅に引き立てる。一切の迷いがないボウイングが生む太く艶やかな音色が、大河のような流れを作る。カデンツァはクライスラー版を採用。技巧の完璧さと音楽的な深み。「鋼の意志と絹の音色」と言われたオイストラフの真骨頂!第2楽章;Larghettoは、木管群の音色は柔らかく、オイストラフのヴァイオリンと溶け合う。それでなくても美しい楽章を天上へと導く。アンドレ・セネダによるバソンの音色は、明るく鼻にかかったようで、どこか切なさを帯びたヴィブラートがあり、オイストラフの豊潤な音色と絶妙なコントラストを生んでいる。第3楽章、Rondo (Allegro)は、一転オイストラフの見事なテクニックが、飛び跳ねるロンドのリズムを刻み、力強いダブル・ストップが緊張感を高める。しかし、このコンビは、決して粗野にならず気品を保ちフィナーレへと駆け抜けてくれる。王者の風格!!ちなみにこのヴァイオリン協奏曲は、ピアノ協奏曲に編曲されている。ご存じベートーヴェンのピアノ協奏曲として完成した曲は第1番〜第5番「皇帝」の5曲だが、実は、この編曲を「ピアノ協奏曲 作品61a」として「ピアノ協奏曲第6番」と呼ぶこともある。もう一つある<Hess 15>は未完成。
クラシック音楽ブログ 音の洪水
旧ブログ「アマデウスで朝食を!」と合体しました。クラシック音楽鑑賞の参考にしてくだされば幸いです。{カラヤン}はありませんよ!
2026年5月7日木曜日
2026年5月1日金曜日
チャイコフスキー 交響曲第5番_マゼール
チャイコフスキー交響曲第5番ホ短調Op.64,マゼール(C)ウィーンフィル<1963-64録音;DECCA>で聴く。
33歳のマゼールのクリスタルで硬質な、輪郭を発揮させるメリハリのある造形嗜好にウィーンフィルのしなやかで甘美な音色が何故か融合し面白い仕上がりとなっている。
第1楽章冒頭、アルフレート・プリンツのウィンナ・クラリネット暗く、深みがありながらも、芯の通った密度の高い音色から始まる。マゼールの筋肉質でタイトな嗜好に、プリンツの知的でコントロールされた吹き方が、演奏全体の緊張感を高める。
第2楽章、フライベルクのウィンナ・ホルンの芳醇な音色、柔らかく、かつ深みのある音色がマゼールの明晰な解釈の中に絶妙な叙情性を添える。ロレンズのオーボエは、ウィーン・フィルの木管セクションらしい、素朴ながらも気品のある歌い回し。マゼールの端正な造形の中で、ロレンズらによるウィーン伝統の木管の響きは、冷徹な演奏に温かみや「ウィーンの体温」を与える重要な役割を果たしているといえよう。パンチの効いたティンパニの強打も効果絶大。ホッホライナーの「ヤギ皮」ヘッドの独特の響きは、非常に明快なアタックがありつつも、その後の響きにはウィーン・フィル特有の柔らかく深い余韻が残り嬉しい。
終楽章、序奏は中庸のテンポで決して情感に溺れない。オーケストラは、主部になると一気に厚み増し、再現部は輝かしくもある。終結部の弦による「運命動機」も、輝きに溢れ、コーダのヴォービッシュを中心とするトランペットは品位を失わず神々しい。やはり面白い。
2026年4月26日日曜日
モーツァルト 弦楽四重奏曲 第15番 ニ短調 _エマーソン弦楽四重奏団
モーツァルト 遡って弦楽四重奏曲を聴いていこう。その⑨
弦楽四重奏曲 第15番 ニ短調 K.421。エマーソン弦楽四重奏団(1988-91録音)にて聴く。15番は、ハイド ンセットの中で唯一短調で書かれた作品。ニ短調は、モーツァルトにとっては、ト短調と同じくある意味 特別な調性と言えよう。『ピアノ協奏曲第20番 K.466』、歌劇『ドンジョバンニ K.527』『レクイエム K.626』などと並べればご理解いただけるだろう。いずれも死と直面した独特の世界観・緊張感が、そこに は存在する。この15番も全楽章を通じて、抑制された哀しみと、時折現れる激しい情熱が交錯する。第1楽 章では、第1主題の動機が執拗に繰り返され、カノン風に絡み合うことで、逃げ場のない焦燥感が強調され る。第3楽章のメヌエットでは、鋭い(付点音符)のリズムが、宮廷舞曲としての優雅さをかき消し、むし ろ峻厳さを強調する。終楽章では、シチリアーナ(6/8の舞曲)のリズムにより、悲哀や別離の印象がより 強く感じられる。15番が作曲されたのは、長男ライムント誕生し、わずか2か月後に死去した時期に相当す る。いずれにしても、モーツァルトの短調は、単に音楽的「美学」というよりもモーツァルトの内なる暗 黒を覗きみるような悲しさがまつろう。
2026年4月23日木曜日
タリス 40声のモテット「Spem in Alium」_サマリー
トーマス・タリス 40声のモテット「Spem in Alium」サマリー(C)オックスフォード・カメラータにて聴く。<各5声部からなる8群>やはりこの曲は、ヘッドフォンで。しばらくポリフォニックな楽想が、つづきホモフォニックな楽想で40声が出現、その後再びポリフォニックな楽想となり、ホモフォニック表現で40声・・・計3箇所ゲネラル・パウゼが40声のトゥッティと対置する。
2026年4月19日日曜日
モーツァルト オーボエ四重奏曲_ハウヴェ

モーツァルト:オーボエ四重奏曲ヘ長調 K.370(368b)、オーボエ五重奏曲ハ短調 K.406(516b)。。。ヨリス・ファン・デン・ハウヴェ(Ob)、ザルツブルク・ソロイスツ(2002年録音)を聴く。K.370は、1777年にモーツァルトが母と二人でマンハイムを訪れた際、意気投合した、オーボエ奏者フリード リヒ・ラムにかの有名なK.314の協奏曲をプレゼントしたが、3年後にミュンヘンで再会した際に同じくラム のために書かれたものである。k.406は、弦楽五重奏曲第2番のオーボエ五重奏曲版である。何故、弦楽五重 奏曲のオーボエ版があるのかというと、もともとK.406は、『セレナード第12番 ハ短調(『ナハトムジー ク』)』(K. 388)を編曲したもので、K.388は、2本ずつのオーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルンで 編成されているのだから、オーボエ五重奏曲に編成しても全く違和感がない。弦楽五重奏の第1ヴァイオリン をオーボエに置き換えた編成(Ob, Vn, 2Va, Vc)となる。もっともこの曲は、フルート、クラリネット、サク ソフォーンなど様々な編曲が存在するが・・・ k.370の白眉は、第3楽章Rondeau: Allegro。途中、弦楽器が 6/8 拍子を刻む中、オーボエだけが 4/4 拍子で 超絶技巧を披露するポリリズムの箇所!!か。
2026年4月16日木曜日
モーツァルト ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第1番&2番_グリュミオー
モーツァルト ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第1番 ト長調&第2番 変ロ長調 K.424、グリュミオー(Vn.)&ペリッチャ(Va.)(1968年録音)にて聴く。
まず、この2曲は、ザルツブルク大司教から6曲の二重奏曲を依頼されていたミヒャエル・ハイドン<ヨゼフ・ハイドンの弟>が、病気のために4曲しか完成できず困っていたので、モーツァルトが彼を助けるため、残りの2曲を代筆し、友人の功績として提出させたと言われています。ちなみに、M/ハイドンの4曲は、「ハ長調」「ニ長調」「ホ長調」「ヘ長調」らしい。なるほど・・・それでトと変ロにしたのか。
協奏的要素だけでなく、互いの掛け合いが絶妙で、曲の魅力度を増幅している。M・ハイドンの手法を取り入れたとあるが、モーツァルトらしいメロディも、そこかしこに散りばめられており、特にK424の 1. Adagio - Allegro 2. Andante Cantabile は、美しく昔から大好きだ。
2026年3月31日火曜日
2026年3月27日金曜日
2026年3月25日水曜日
モーツァルト 弦楽四重奏曲 第16番_ハーゲン弦楽四重奏団
モーツァルト 遡って弦楽四重奏曲を聴いていこう。その⑧
弦楽四重奏曲 第16番 変ホ長調 K.428 (421b)、ハーゲン弦楽四重奏団<199.5録音>にて聴こう。
冒頭からして如何にこの時代に異質な表現であったから伺える、4人のユニゾンによるオクターヴに上昇するテーマ、あれ確か変ホ長調だよねと首をかしげたくなる。ハーゲンSQは、ノン・ビブラートに近い澄んだ音色と、完璧にコントロールされた強弱の移ろいが素敵だ。また、アーティキュレーションを鋭敏に捉え、フレーズの語り口に独特の「間」や「溜め」を作ることで、古典派の音楽に現代的な緊張感を与えている。K.428は、ハイドン・セットの中でも半音階的な書法が多用されており、内声(第2ヴァイオリンとヴィオラ)の動きが非常に重要だ。ハーゲンSQは各パートの独立性が極めて高く、内声部が浮き彫りになる点でK.428にはぴったりだ。第2楽章、アンダンテ・コンモートは、単に美しさだけでなく翳りの和声の変化に対応できるかが勝負だ。チェロの上昇3和音の形が音程を変えながら延々と続くのが好きだ。これに上声部が半音で動くことで生じる「不協和音の解決」が連続し、これが、モーツァルト特有の「甘美な痛み」や「ため息」のような表情を生んでいる。第3楽章、メヌエット、アレグロは、Trioだ!変ロ長調に転じ、半音階を多用したテーマを各パートがカワリベンタンに歌う。ハイドンへのオマージュを感じる部分だ。ちなみに16番は、17番<狩り>よりも後に書かれたらしいっす。
2026年3月24日火曜日
チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番_カーゾン
チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番変ロ短調OP.23, サー・クリフォード・カーゾン(P)サー・ゲオルグ・ショルティ;ウィーンフィル<1958年録音>を聴く。カーゾンと言えば、私の中ではモーツァルト27番だが、今回は、この奇天烈な組み合わせによる、これまたチャイコフスキーというミスマッチな作品を・・・。
しかし、ともにサーの称号を持つ2人の競演+デッカ&カルショーの録音。予想通りの「静と動」の対比が独特のテンションを引き起こしている。カーゾンの打鍵のパーカッシブな質感がリアルに捉えられているだけでなく、弦楽群のシルキーな手触りや、木管楽器の芳醇な響きも失われていない。とても1950年代とは思えない録音。フルパワーのショルティの引張りにカーゾンもウィーンフィルもよく堪えたなという気もする。第2楽章、ニーダーマイヤーのフルートがいい!!カーゾンの端正なピアノに寄り添う、あの「古き良きウィーン」を感じさせるフルートの響きは、まさにニーダーマイヤー時代のウィーン・フィルならではのものか。中間部で聴かれるヴァイオリンの旋律は、ボスコフスキー特有の柔らかく、かつ気品のあるヴィブラートやねぇ。カーゾンの流れるような音の粒、よかとです。終楽章、高速パッセージを余裕ぶっこいてこなすカーゾンのクールさは、たまらんです。
何故か爽快さの残る異色の名盤です。
2026年3月15日日曜日
シューマン 交響曲第2番 _アンセルメ
シューマン:交響曲第2番 ハ長調 OP.61、エルネスト・アンセルメ指揮 スイスロマンド管弦楽団 (録音:1965年4月<Decca>)にて聴く。
各楽器の個性を際立たせるアーティキュレーション、モダンで明晰な演奏といえよ う。ゲルマン的かといえば、真逆であるのは当然と言えば当然か。特にこの2番ではトロンボーンとオーボエに着目してみた。シャポ率いるトロンボーン軍団は、極めて磨 き抜かれた真鍮の輝きを放つ。獺祭 でいえば、「二割三分」の超高精米。それが気品 ある輝きを放つ。リヴィエのオーボエは、旋律の輪郭が非常に鋭く、決して背景に埋 もれない。そしてアダージョのソロは、過度な感傷を排し、純度の高い謡い方で、悲 哀ではなく、高貴な寂寥感を感じさせる。リヴィエのオーボエやペパンのフルートが 持つ「細身で鮮やかな音」に対し、金管が「硬質で鋭い音」を重ねることで、オーケ ストラ全体の響きが多層的なパノラマのように広がる。オーケストラの「分離の良さ」 はDeccaの録音に支えられ、アンセルメが構築した音楽を見事に再現しているといえるだろう。
2026年3月14日土曜日
ベルリオーズ 幻想交響曲_パレイ
ベルリオーズ 幻想交響曲 Op.14:ポール・パレイ(C)デトロイト交響楽団<1959年録音:Mercury>にて聴こう。お得意のMercury盤です。言わずと知れたパキッとした名録音。ミュンシュもいいがパレーもネ。
2026年3月12日木曜日
ドヴォルザーク 交響曲第5番ヘ長調OP.76_ビエロフラーヴェク
ドヴォルザーク 交響曲第5番ヘ長調OP.76,B54 、ビエロフラーヴェク(C)BBC交響楽団<2006年録音>にて聴く。ビエロフラーヴェクは、録音された2006年に首席指揮者に就任している。
2026年3月3日火曜日
ベートーヴェン ピアノ協奏曲第1番&4番_カサドシュ
ベートーヴェン ピアノ協奏曲第1番&4番、カサドシュ(P)、ベイヌム(C)コンセルトヘボウ管弦楽団<1959年3月録音STEREO>を聴く。どうやらベイヌム逝去1が月前の演奏のようだ。
2026年2月26日木曜日
マーラー交響曲第5番嬰ハ短調_レヴァイン
久しぶりにマーラー交響曲第5番嬰ハ短調 レヴァイン(C)フィラデルフィア管弦楽団 、フランク・ケイドラベック(TP) メイソン・ジョーンズ(HR)<1977年録音>を聴きたくなった。
2026年2月22日日曜日
モーツァルト 交響曲第41番 ハ長調 K. 551『ジュピター』_フリッチャイ
2026年2月20日金曜日
モーツァルト ピアノ協奏曲第23番_ブニアティシヴィリ
カティア・ブニアティシヴィリ 弾き振り! 『モーツァルト: ピアノ協奏曲第20番&第23番、ピアノ・ソナタ K.545』(アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ)。またまたH氏より音源を頂いた。
2026年2月16日月曜日
シューベルト 交響曲第5番変ロ長調 D.485_スクロヴァチェフスキ
シューベルト 交響曲第5番変ロ長調 D.485、スクロヴァチェフスキ(C)ミネアポリス交響楽団(1962年;Mercuryレーベル)
2026年2月14日土曜日
ブルックナー交響曲第6番イ長調_スクロヴァチェフスキ
ブルックナー交響曲第6番イ長調 WAB.106(原典版)、スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮、ザールブリュッケン放送交響楽団(1997年録音)で聴く。
2026年2月13日金曜日
モーツァルト 弦楽四重奏曲第17番 変ロ長調 K.458《狩》_グァルネリ弦楽四重奏団
モーツァルト 遡って弦楽四重奏曲を聴いていこう。その⑦
2026年2月4日水曜日
ドヴォルザーク 交響曲第8番_ビエロフラーヴェク
ドヴォルザーク 交響曲第8番 ト長調 Op.88 , B. 163、ビエロフラーヴェク(C)チェコフィルハーモニー(1992年録音)で聴く。
2026年2月2日月曜日
2026年1月31日土曜日
シベリウス ヴァイオリン協奏曲_クレーカンプ
シベリウス ヴァイオリン協奏曲ニ短調 Op.47 クーレンカンプ:フルトヴェングラー;ベルリンフィル(1943年録音)。この時代にしては、録音も結構いけてる。北欧らしいのかと問われれば、ウーンとなるが、極めてロマンチックな演奏。フルトヴェングラーは、かなり寄り添い型のバックアップでオーケストラは低重心でこの時代の粗削りな面も見せており面白い。カデンツァは、現在一般的に聴かれるのは1905年の改訂版。シベリウスはこの曲の構成上、カデンツァを非常に重視していたため、自ら楽譜に書き込んでいたのでほぼどの演奏も1905年版だろう。ちなみに1903年初稿版はとてつも長く、気が遠くなるほど難しかったので、1905年版で整理されたようです。
2026年1月28日水曜日
ブラームス: ドイツ・レクイエムを聴く 44 _ハーディング
ブラームス: ドイツ・レクイエムを聴く 44
2026年1月25日日曜日
ブルッフ ヴァイオリン協奏曲第1番_グリュミオー
ブルッフ ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調Op.28 グリュミオー(Vn)ハイティンク:コンセルトヘボ管弦楽団(1962年録音)で聴く。グリュミオーはこの曲を3度録音しているが、これは真ん中の2度目のもの。ちなみに1回目→パウムガルトナー指揮、ウィーン交響楽団(1950年)3回目→ワルベルク指揮、ニュー・フィルハーモニア管弦楽団(1973年)である。低中音から高音域に至るまで隙なしのグリュミオーならではの美音と丁寧なビブラート、ヘボウ管のこの時代の弦楽、木管の柔らかな音色を聴くことが出来る。
























