レスピーギ「ローマの松」、フリッツ・ライナー(C);シカゴ交響楽団(1959年録音)を聴こう。
ローマの松とは、現在のローマと古代ローマをつなぐ歴史の証人である。子供たちの遊び、地下墓所の暗い祈り、月夜の幻想、そして古代ローマ軍の進軍へと、時間と空間が壮大に移り変わる。
第1楽章 ボルゲーゼ荘の松:金管の明晰な音と、弦・木管の細かな動きの鮮明さ。音が洪水のように押し寄せても、各パートの輪郭が埋もれない。ライナーの統率力とシカゴの合奏精度の所以か。
第2楽章 カタコンベ付近の松:感情を過剰に煽らず、音の重なりによって荘厳さを作る。低音の支え、弦の持続音、金管のコラールが明確に分離して聴こえることが説得力として浮かび上がる。
第3楽章 ジャニコロの松:クラリネットの歌が周囲の弦楽器に溶け込みながらも、旋律線を失わない。夜の空気の透明さを味わえる演奏か。
ところで、レスピーギが指定しているナイチンゲールの録音音源をご存じだろうか。1910年に、ドイツ・ブレーメンの鳥類飼育施設にて蓄音機によるレコード再生されるものだ。
当録音が、原盤かどうかか私にはわからない。
第4楽章 アッピア街道の松:低音の歩み、弦の反復、打楽器、舞台外の金管群が段階的に重なり、最後の頂点へ向かう。ライナーの演奏では、金管が豪快に咆哮しても、全体の構造が崩れない。シカゴの強力な金管セクションが、ただ大音量を出すのではなく、音程、アタック、和声の輪郭を保ちながら壮麗な響きを生み出すからだ。大軍の接近が、音響上の遠近法として感じられる演奏だ。
すでに、アドルフ・“バド”・ハーセスやアーノルド・ジェイコブスが在籍していたシカゴならではの名演だろう。
























