メンデルスゾーン 交響曲第3番イ短調Op.56「スコットランド」、サヴァリッシュ(C)ニューフィルハーモニー管弦楽団<1967年録音>を聴く。
それは刻まれた歴史・自然そして人間の心の旅だ。
第1楽章、序奏:ヴィオラ・チェロの暗い和声、クラリネットとファゴットは霧の中から聴こえてくるようだ。まさに「廃墟と霧」、スコットランドの古城・曇天・静寂が凝縮され、石壁に染み込んだ長き歴史の時間を描き出す。ここのクラリネット:バーナード・ウォルトンの音色は絶品ものだ!!ヒュー・ビーン率いる弦楽群(特にヴィオラのフレデリック・リドルの肉厚感)は、気品ある絹の響きそのもの。よかとです。
第2楽章、スコットランド風のヨナ抜き民族舞曲。注目は、クラリネットだけでなく、ガレス・モリスのフルート。風のごとく駆け抜けるような透明感のある音色だ。よかとです。
第3楽章、サヴァリッシュは、謡いすぎない。弦楽群は、ビブラートも深すぎず、気品がある。アラン・シヴィルのホルンは、「遠くから聴こえるような柔らかいホルン」だ。そして、ホルン・クラリネット・ヴィオラが織りなす深い陰影。サヴァリッシュの真骨頂か。
第4楽章、ご存じ終結部の長調への転換、サヴァリッシュは、大げさにテンポをいじることなく、あくまでも冒頭で提示されたモットー動機が長い旅路を経て長調へと昇華される形で締め括る。それは、勝利は、事象的なことだけでなく、精神的な昇華であるという位置づけで。よかとです。
フィルハーモニア管は、この時代、一度解散を余儀なくされ自主運営組織として再スタート(ニューフィルハーモニー管)していた時代だ。財政的にも苦難の時代にサヴァリッシュのメンデ全集を果たせたことの価値は非常に高かったであろう。その意味でも、メンバーの底力を感じさせる、クレンペラーのそれとは一味違う、気品ある「スコットランド」となったように思われる。
























