月に1度は聴きたくなるブラームス「ドイツ・レクイエム」シリーズ。第27回目となりました。
1.クレンペラー 2.サバリッシュ 3.ヤルヴィ 4.ジュリーニ 5.セル 6.コルボ 7.アーノンクール 8.ケーゲル 9.ロバート・ショウ 10.アクサンチュス 11.コッホ 12.ヘレヴェッヘ 13.シノーポリ 14.クーベリック 15.バレンボイム 16.レヴァイン 17.ケンペ 18.マゼール 19.アンセルメ 20.クレツキ 21.シューリヒト22.ガーディナー23.ハイティンク24.アバド25.テンシュテット26.メータ
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第27回は、ショルティ:シカゴ交響楽団&合唱団 キリ・テ・カナワ(ソプラノ)ベルント・ヴァイクル(バリトン)<1978年録音>です。
ショルティの印象を覆す極めて有機的で清冽にして敬虔なドイツレクイエムです。それでいて、メリハリも十分でブラームスの編み込んだ音の洪水をオーケストラが見事に表現しています。またコーラスも抜群に上手い。私の中では5本の指に入る名演です。
一番の特徴は、第1曲と終曲。たっぷりとコーラスに歌わせるところは、まるでジュリーニのようです。
第1曲、極めて優しい弦楽の響きの中から神秘的にコーラスが登場します。そしてこの曲の「働くものの涙が喜びにかわる様」を、「慰め」の安らぎをオケ・コーラス共に見事にコンロトールして一体化して表現してくれています。
文句なし!!
第2曲、重苦しい出だしのオーケストラもかなり抑え目で、ティンパニーもまるで山の向こうから聴こえてくるようです。十分に抑えてからのクレッシェンドが効果的です。長調へ転じてからの安らぎ感も卓越。
第3曲、哀歌から希望への歌を、ショルティは独白的ではなく、少しドラマチックに構成している。ヴァイクルの声は、その意図に十分に応えきる繊細さと声力を持ち合わせている。個人的にはもう少し、バランス的に「持続低音のD」が欲しいけど!
第4曲、心安らぐ舞曲。ここでもショルティは、コーラスにたっぷりと歌わせ、オーケストラの強弱が其のコーラスを見事に支えています。この曲で弦楽群の上手さが光ります。
第5曲、ショルティはかなり遅めのテンポを選択。キリ・テ・カナウの「透き通る声をたっぷりと聴きましょう」ということでしょう。悲しみを訴えるというより優しく包み込むような仕上がりにできています。
第6曲、少し早めのテンポです。復活と再生の場をドラマチックに進行してゆきます。さすが、ショルティ!オペラのようです。金管群の抑制された統一感。
それでいて効果的な響き、さすがシカゴ響です。
大フーガもキビキビとしており、(出だしのアルト上手い!!)クライマックにむけ、Selig動機出現から変化してゆく、力強さ、華麗さ、優美さを見事に表現。素晴らしい賛歌です!
第7曲。出だしのソプラノが惜しい!ショルティは、この終曲に15分近くかけています。ブラームスの命題である「報いと救い」。かなりじっくりとコーラス群に歌わせることで、敬虔で静謐な終曲を構成しています。
すばらしい演奏です。
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