月に1度は聴きたくなるブラームス「ドイツ・レクイエム」シリーズ。第31回です。
1.クレンペラー 2.サバリッシュ 3.ヤルヴィ 4.ジュリーニ 5.セル 6.コルボ 7.アーノンクール 8.ケーゲル 9.ロバート・ショウ 10.アクサンチュス 11.コッホ 12.ヘレヴェッヘ 13.シノーポリ 14.クーベリック 15.バレンボイム 16.レヴァイン 17.ケンペ 18.マゼール 19.アンセルメ 20.クレツキ 21.シューリヒト 22.ガーディナー 23.ハイティンク 24.アバド 25.テンシュテット 26.メータ 27.ショルティ 28.ブロムシュテット 29.プレヴィン 30.トスカニーニ
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2018年の最初は、極極少数愛読者のお一人からリクエスト的な寄稿があった、ハリー・クリストファーズ指揮:ザ・シックスティーンによるピアノ伴奏版(2006年録音)を紹介します。
ザ・シックスティーンは、イギリスの合唱団で文字通り16名のメンバー中心に多声音楽を手掛けてスタート、後に古楽宗教音楽に取り組んでいます。まあとにかく滅茶苦茶に「いい声」でハーモニーも素晴らしいのです。
まず編成ですが、ドイツレクイエムはS7・A4・T4・B6の計21名。ソリストもメンバーの一員のようです。
ジャケットにあるピアノが、演奏に使われた1872年製ベーゼンドルファーです。「2台のピアノ版」というのがあり、1869年に完成され1871年ロンドンでヴィクトリア女王を前に初演され「ロンドン版」と呼ばれています。シックティーンは、1台連弾での演奏です。「連弾」が正しいという説もあるようです。上記10.アクサンチェスは、「2台」にて演奏しています。
ピアノ版の特徴は、とにかくコーラスを思う存分聴き入ることができるということで、ゆえにその実力が明確に露わになる。特に低弦群やオルガンなどにより隠されるベースの魅力が伝わりやすいと言えます。
第1曲、冒頭、透明感のあるソプラノの音にまず誰もが心を打たれるでしょう。そして低音部を引き受けるベースの役割が明確に伝わります。変ニ長調へ移行して男性部からのパレストリーナ風の対位法によるコーラスの美しさも抜群です。
第2曲、中間部の変ト長調部分の暖かみのある優しいハーモニーが素敵です。
Aber des Herrn Wort bleibet in Ewigkeit.から始まるアレグロ部分の高らかさもさすがで、高音部でも余裕すら感じさせます。
第3曲、テンポは少しゆっくり目で、言葉をかみしめるように進んでいきます。
Ich hoffe auf dich.のハーモニーは絶妙です。欲を言えば、フーガのテノールの入りがちょっと貧弱。4名ではいたしかた無しか。
第4曲、ここは、ピアノ版が良いなと思う曲。アクサンチェスもそうですが、Sixteenもコーラスを思い切り謳わせている。優しさと愛に溢れた舞曲となっています。
第5曲、ソプラノのJulie Cooperは、シュワルツコップっぽい歌声です。
第6曲、大フーガ直前のハーモニーの美しさは絶品。大フーガの出だしのアルトも淡々と深みをもって登場。フーガの掛け合いの賛歌が面白いように明確に伝わるのがピアノ版の良さです。
第7曲、出だしのソプラノ。やはりここは本当に難しい。ましてや6曲歌ってきてるのだから・・・。中間部のベースはいい声です。こう歌いたいですね。
コーラスを思う存分楽しみたい方には、かなりのお勧めの盤です。
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