「ロペス=コボス/シンシナティ交響楽団、ミシェル・デ・ヨング(Ms)(98、TELARC)」を聴く。
第1楽章、印象深いトローンボーンの自己主張が、まさに「めざめる牧神」を想起させる。爽やかさ溢れる構築の中で、低弦群のキレの良さを味わうことができる。録音の良さも手伝いクッキリとした仕上がり。第2楽章、目まぐるしく変わる拍子の変化が巧みに統率されているのがわかる。さっぱりとした味付けながらシンシナティのオーケストレーションの質の良さを感じ取れる楽章だ。第3楽章、主部の戯画的な音の羅列をトランペットの動機で終えた後の中間部のポストホルンがあまりにも遠くから響くというコントラストが面白い。第4楽章、ここでもミッシェル・デヤング。神秘的美声を堪能。終楽章、弦楽群のバランスはさすが。各パートを浮かび上がらせるコボスの丁寧さが現れている。ここでも変に粘りつくようなテンポの揺らしもなく、コボスの実直さが伺える演奏だ。シンシナティは、ドイツ系移民が多く移り住んだ土地柄らしく、180年超の歴史をもつオーケストラのようだ。先週のピッツバーグといい、シンシナティ、アトランタとアメリカの地方のオーケストラの実力は侮れないものがあると感じた次第です。
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