「THE ART OF Ivry Gitlis」より、シベリウス ヴァイオリン協奏曲ニ短調 Op.47 (ホーレンシュタイン;ウィーン交響楽団)を聴く。このBOX,チャイコ、ブルッフ、メンデを始め、名だたるヴァイオリンコンチェルトのオンパレード。昨年98歳で他界したギトリス爺さんの若かりし(30代)頃の至芸が聴ける。(モノラル)多様に使い分けられたヴィブラート、迸るように歌うダブル・ストッピング、甘いため息のようなポルタメント、痙攣するようなトレモロ、音符が飛び散るようなピチカート、フィンガリングとボウイングを組み合わせた魔術的な音色変化・・・「クセがつよ-い!」と言えば、八代亜紀の上を行く。
しかし、このシベリウス、第1楽章冒頭、コクのある美音、抑制された趣で次々とパッセージを奏でていく。ソナタ形式の展開部にあたる楽章の中央に位置するという独特のカデンツァ、ギトリスは精緻な指先で難なくこなす。しかもこれといった癖もなく。第2楽章、でました!!木管の導入句に続き、ギトリスの表情豊かな朗々とした音色。中間部以降の駆けあがるような旋律の甘さ、終結分ポルタメント。終楽章、低弦のリズムに乗って走り抜けるギトリスの真骨頂。確かな技術でロンドを奏で次第に燃え上がる音色。ホーレンシュタインも次第に燃えてきているのがわかる。そして最後は駆け抜けるように締めくくる。冷たい「北欧の空気感」かといえば違うでしょうが、満足感充分の一枚。
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