今日の1曲は、メンデルスゾーン交響曲第5番ニ短調「宗教改革」、マゼール;BPO<1961年録音>。
この曲の厳かな序奏部、弦楽器による「ドレスデン・アーメン」を聴くたびに何故か胸が熱くなる。決然とした第1主題!伸びやかな旋律の第二主題!展開部ではフガート的なその旋律を疾風怒濤の如く快速で走り抜けるマゼールの棒。再現部では、「ドレスデン・アーメン」が何気に現れ、低重心で全奏の第1主題で幕を閉じる。第2楽章、何と優雅なスケルツォ。遠くでホルンのファンファーレ。トリオは流麗で美しい。やはりマゼールの3拍子は格別だ。
第3楽章、わずか54小節の短い楽章ながら、1stヴァイオリンの物悲しい旋律に狂おしさを感じずにおれない。フルートの切ない響きも手伝っ心に染み入る哀切。終楽章のつなぎとは思えないメンデルスゾーン旋律。終楽章、フルートによるルター作曲のコラール「神は我がやぐら」。カールハインツ・ツェラーのフルートは魅力的な音。他の木管も加わり美しく音場が広がっていき、金管が加わると神々しささえ響いてくる。vivaceのブリッジを経て、maestosoのニ長調Allegro。壮麗な第1主題と軽やかな第2主題。弦楽器のフガートの上に管楽器によるコラール旋律が奏されると、もはや誰もが音階の昇華を待ち望むであろう。コーダでは、コラール主題が全奏で力強く現れ、改革の勝利を表すかの如く雄雄しい響きをもって賛美歌「神は我がやぐら」を歌い上げる。マゼールのテンポは確かに速い。しかし活力に溢れ、深みもある名演ではないかと思っております。
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