久々にベートーヴェン ピアノ協奏曲を聴く。ピアノ協奏曲第3番ハ短調OP.37、リヒター=ハーザー、ジュリーニ;フィルハーモニー管弦楽団(1963年録音)。4番ほどの革新性はみられない3番は、古典的なスタイル、第1楽章、ハ短調 アレグロ・コン・ブリオは、あの「運命」と同じで、先んじて使われている。自らの耳の疾患への逆境に強い意志で立ち向かうといった精神性あふれる曲性。第2楽章、ホ長調ラルゴは、ピアノ協奏曲中1番美しい祈りの音楽。低弦の支えの中を飛び回る様に戯れるピアノが印象的で大好きだ。第3楽章、ハ短調-ハ長調 モルト・アレグロは、型通りのロンド形式、オーケストラのトゥッティ、ピアノのプレスティッシモの華麗なパッセージ後に現れるコーダのスピード感は堪らない。リヒター=ハーザーは、堅牢にしてある時は、リリカル。骨太の音の中に華やかさをもつ稀有なピアニスト。第2楽章に見せる深い陰翳を宿した響きはハーザーの心の奥底に眠る色気を感じる。ジュリーニは重厚でいつも通り男気溢れる伴奏。しかし、時より見せる抒情性につい耳が行ってしまう。というわけで60年代の隠れた名盤としたい。
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