今朝の一枚。チャイコフスキー 交響曲第4番ヘ短調Op.36。
モントゥー:ボストン交響楽団(1959年録音)にて聴く。
いつも書いているが、モントゥーは、本当に聴きたい楽器の音、こんな音が鳴っているんだという楽器の音を浮かび上がらせてくれる天才だと思う。
モントゥーの4番は、極めて爽快なテンポでありながら、アクセント、強弱、揺れによりドラマチックで骨太の演奏だと感じる。
4番は、もちろん「運命」がテーマに用いられているわけだが、作曲された時期(1877年)に着目しなくてはならない。
露土戦争への突入という時代背景と、チャイコフスキー自身のアントニーナ・ミリュコーヴァとの結婚と早すぎる離婚(わずか2か月)、フォン・メック夫人との出逢い(パトロン:一度も逢っていない膨大な手紙だけの関係)の年である。
そもそも、この4番は「フォン・メック夫人」に捧げられた交響曲であるが、ダモクレスの剣の如く幸福への希望、平和や癒しへの憧れを阻止するかのように立ちはだかる「運命」。それに強靭な意志で抗う姿、怒り哀しみを乗り越えての歓喜を描くとともに、チャイコフスキー自身の憂鬱と酩酊の感情を内包させた曲といえる。
それゆえ、第2楽章を如何に演奏するかは、非常に重い。
モントゥーの感情的にならずに、それでいて音の一つ一つを大事に扱う演奏に、その格調の高さを感じる。
そして終楽章のクライマックへ向けての追い込みも「モントゥー爺さん」のお家芸だ。これは、貴重な一枚である。
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