月に1度は聴きたくなるブラームス「ドイツ・レクイエム」シリーズ。第25回目となりました。
1.クレンペラー 2.サバリッシュ 3.ヤルヴィ 4.ジュリーニ 5.セル 6.コルボ 7.アーノンクール 8.ケーゲル 9.ロバート・ショウ 10.アクサンチュス 11.コッホ 12.ヘレヴェッヘ 13.シノーポリ 14.クーベリック 15.バレンボイム 16.レヴァイン 17.ケンペ 18.マゼール 19.アンセルメ 20.クレツキ 21.シューリヒト22.ガーディナー23.ハイティンク24.アバド
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第25回は、テンシュテット:ロンドンフィル+合唱団、ルチア・ポップ(Sp)トーマス・アレン(Br)<1984年ライブ録音>です。
テンシュテットは、この少し前にスタジオ録音をしていますが、今回はライブ盤での紹介です。
第1曲、冒頭の重厚さとゆったりとしたテンポで、テンシュテットが、如何なるドイツレクイエムを表現しようとしたかわかります。この第1曲の遅さは、かのチェリビッダケ盤を除けば恐らく最長でしょう。コーラスには、たっぷりと厳かに歌わせつつ、オーケストラはどこか悲しみを湛えているようです。
第2曲に入っても「変ロ短調」部分にこの第1曲の独特の構成が受け継がれる。「So seid・・・」の「変ト長調」で突如パッと光が差し込むような明るさが現われるが、またすぐに引き戻される。
そして終盤コーラス群の「喜び」をオーケストラの起伏により支えて進む。
第3曲 予想通りトーマス・アレンの暗く沈みこむような独白。
「うまい!」希望へ転じるフーガも叫びきることなく滔々と。
第4曲 テンシュテットはこの優しい舞曲にはそれほど思い入れはないようだ。淡々としている。
第5曲 ルチア・ポップの声は、私には少し明るすぎるが、さすがに伸びと響きが美しい。
第6曲 やはり数々の演奏で見せた鬼気迫るテンシュテットの暗黒的荒々しさは持ち込まれていない。「レクイエム」としての静謐の中で、華麗な大フーガも優美さをもちつつ展開するのだ。
重量感のある演奏ではあるが、敬虔さを失わずに作り上げており、テンシュテットの違った一面を感じることのできる1枚ではないだろうか。
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