2016年10月16日日曜日

モーツァルト ピアノ協奏曲第11番_ゼルキン

今日の一枚。ゼルキンによるモーツァルト ピアノ協奏曲11番・12番・16番・17番 収録の一枚。
11.12_シュナイダー;マルボロ音楽祭管弦楽団。16_シュナイダー:コロンビア交響楽団、17_セル:コロンビア交響楽団(実は、クリーヴランド管弦楽団といわれています)。(1955-57年のもの)。
ゼルキンは80歳を越えて80年代にアバト:ロンドン交響楽団でピアノ協奏曲集を録音していますが、こちらは、脂の乗り切った50歳代の演奏。盟友アレクサンダー・シュナイダー、巨匠ジョージ・セルのバックアップによる演奏です。
今日の紹介は、11番 へ長調 K.413。
社交的な明るさと華麗さを持ち合わせたこの曲の第1楽章、少しフライング気味に登場するピアノの可憐な響きをゼルキンは柔らかいタッチで弾いてくれてます。短調部分は、少し打鍵を強くし切迫感のある響きでこの曲の色彩感をうまく表現しています。
緩徐楽章では、子守歌のような優しいメロディに合わせ、ゆったりとした中にも強弱の使い分けをしっかりし、特にフォルテピアノにおけるアクセントを大事に弾いています。このあたり、ゼルキンもモーツァルトが好きなんだなぁと思う。
終楽章、まず驚くのはオーケストラのポリフォニックな主題です。モーツァルトは通常ピアコンの終楽章はAllegroやAllegrettoによる飛び回るような曲想と高揚感のあるメロディで始めます。それは27番まで続いています。映画「アマデウス」に使われた15番や22番などはその典型かと。その中でこの11番の異質さに耳を奪われます。緩徐楽章の続きのような優しさと幸福感に包まれています。
ちなみに、指揮のアレクサンダー・シュナイダーは、ブダペスト弦楽四重奏団のセカンド・ヴァイオリンです。
ゼルキンは、この終楽章が持つ「やすらぎ」「くつろぎ」といったモチーフの中でモーツァルトが一瞬見せる「孤独感」をよく感じ取っていると思う。(149小節~164小節部分:ここが滅茶苦茶好きです)やはり、ゼルキン!!モーツァルトが好きなんだなぁと思う。


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