2020年8月20日木曜日

サン=サーンス 交響曲第3番「オルガン付き」_パレー

サン=サーンス 交響曲第3番ハ短調 Op.78「オルガン付き」、ポール・パレー:デトロイト交響楽団、(Or)マルセル・デュプレ(1957年録音)を聴く。まず最初に「オルガン付き」となっているが実は「オルガン・ピアノ付き」であることを断わっておこう。第1部①、序奏部、弦楽の下降音に、オーボエが上昇音で応える。主題は、死の象徴としてのグレゴリオ聖歌「ディエス・イレ=怒りの日」の旋律を循環主題として用いているのだが、出だしがシューベルトの未完成と同じ音型<16音符1拍ずれ>をしているのも興味深い。第1部②に初めてオルガンが登場。その神秘的な変ニ長調の主和音に乗って、弦楽群が奏でる少し悲し気な主題が何ともいえず心を打つ。中間部、第1・第2ヴァイオリンが掛け合いを始め、ピチカートが循環主題を再現したあと、再び弦楽群による主題を謳い宗教的な法悦に導かれる。
第2部①、ティンパニーを伴ってエネルギッシュに弦楽が奏でる有名な旋律。「宝酒造」を思い出す。トリオでピアノが登場。木管と戯れながらリリカルに舞う。第2部②、ハ長調のオルガンの印象的な和音に導かれ、①後半で暗示されたコラールが展開されると、リリカルなピアノが循環主題を長調で変奏され、オルガンのトッティと金管のファンファーレが壮麗なカテドラルを構築する。弦楽のフガートが始まるとクライマックスへ向けて荘厳さが増してゆく。ラスト、ティンパニーとオルガンが絢爛たるハ長調を決め込み金管が咆哮するともうブラボーとしか出てこないだろう。



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