バイロン・ジャニスと言えばラフマニノフ3番の脅威的な疾走。そのすご技は、アルゲリッチやカッチェンをも凌ぐ。なんせ、ホロビッツが自ら弟子に誘った唯一のヴィルトゥオーソ。しかし、今日は、シューマン ピアノ協奏曲イ短調Op.54を聴く。共演は、Ms.Sことスクロヴァチェフスキ、ミネアポリス交響楽団。(1962年録音)マーキュリーレーベルにて、鮮明さは時代を感じさせずやはり素晴らしい。冒頭の有名な「雪崩式ブレンバスター」は、ピアノ・オケともに極めて明確に力強く。第1主題のオーボエも変わらぬ力感をもち哀切というよりも苦悩を感じさせる響き。しかしジャニスのピアノが主題を引き継ぐとそこに憂いが生まれる。その意外な抒情的なタッチに思わず引き込まれる。アルペジオの上手さは流石。ジャニスのピアノは、どの音も一つずつ輝いている。第2楽章、Intermezzo にふさわしい愛らしい主題。オケとの掛け合い、中間部のチェロとの見事なロマンチシズムを奏でる。第3楽章、軽く弾むようなメロディ。ピアノの波打つようなパッセージと、それを彩るオーケストラが絡み合いながら、勢いよく進んでいく。(ある時はピアノのに対し、オケはヘミオラで掛け合いながら)技巧的なパッセージでは、ジャニスのセンスが冴えわる。スクロヴァチェフスキは、ジャニスの良さを十二分に引き出すメリハリの利いた骨太の構築、そして、ジャニスの鍵打に負けない厚みのある絢爛なオケぶりを披露。スカッとする演奏です。
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