シューベルト 交響曲第9番ハ長調D.944「ザ・グレート」、ベーム(C)シュターツカペレ・ドレスデン(1979年ライブ録音)で聴こう。「ザ・グレート」は、20世紀初頭までは、7番、そして今CDのように20世紀後半は総じて9番、現在では、特に新全集や研究書では「第8番」となるだろうか。8(9)番としているCDも多く見受けられる。なお、「ザ・グレート」という名称自体は、“偉大”と思われがちだが、大間違いだ!!6番ハ長調D589が<小ハ長調>そしてD.944が<大ハ長調>でだから{グレート}なのだ。覚えておこう!!さて第1楽章;冒頭ペーター・ダムのホルンソロが、極めて深い静寂の中から響き渡る。テンポはゆったりしており、まるで聖歌のような神聖さを漂わよわせる。SKDの厚みのある低弦、ゲルベルトの硬く締まった、しかし深く響くティンパニーが重厚な推進力を生み出す。そしてコーダ終盤、主題が回帰し巨大なクライマックスを築く場面で、オーケストラを底から支える強靭な打ち込みがたまりません。第2楽章、クルト・マーンのオーボエの音色が、どこか鄙びて切ない歌を奏でる。弦楽群の見せる峻厳なぎざみとのコントラスト。今時の言葉で言うなら「エモい」か。第3楽章、リズミカルだけのスケルツォではなく、まるで大地を踏みしめるような力強さがあります。SKDの金管群の強奏は決して耳に刺さらず、オーケストラ全体が豊かに鳴り響く。中間部のトリオは、弦楽器と木管楽器が奏でるウィンナ・ワルツ風。ここはSKDの真骨頂。第4楽章、執念の三連符!!当時84歳という高齢のベーム、ここでは信じられないほどのエネルギーを爆発させている。曲を支配する3連符のリズムが、SKDの正確無比なアンサンブルによって巨大なうねりとなる。終盤、コーダに向かって一段とテンポを煽り、オーケストラが火の玉のようになって突進する。支えるゲルベルトのティンパニーの正確かつ情熱的な刻みがライブ特有の爆発的なエネルギーを生じさせる。その中で、画像楽譜で示したベートーヴェンの第9の歓喜の歌のオマージュ登場。SKDの木管群オーボエのクルト・マーンやフルートのヨハネス・ヴァルターらは、この旋律を変に強調せず非常に素朴で、どこか懐かしい響きで奏でる。それが一時の安らぎと高揚感を与える。そして、コーダ:ベームはBPOスタジオ録音ではインテンポだが、このドレスデン・ライブにおいては、明らかにテンポを上げ、「凄まじい加速と爆発」を見せる。終演後CDには入っていないが、沸き起こる聴衆の怒濤のようなブラボーと拍手が聞こえてきそうだ!!ベームには、ザルツブルグ音楽祭のチェコフィルとの有名なチャイコ4番の火の玉演奏があるが,それに匹敵する「男ベーム」の演奏であろう。

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