2007年9月3日月曜日

憂愁 ~ モーツァルトを語る 第31弾

Photo 第31弾は、「弦楽四重奏曲 第15番 ニ短調 K421」。
ハイドンセット2番目の曲だ。日本語には「憂愁」という言葉がある。この曲にぴったりの言葉ではないだろうか。
第一楽章のSotooVoceで始まる第一主題ヴァイオリン その2音で我々は、短調という澱みの中へ引きずり込まれる。そして、その「澱み」の水底でチェロが支えていることを知る。
第二楽章は、唯一の長調(ヘ長調)。でも明るくはない。安らぎの中での背中合わせの「不安」といった曲想。
第三楽章の中間部のトリオは秀逸だ。「他に例がないピチカート」に支えられたヴァイオリンの独奏は美しい。そして終楽章の変奏曲。シチリアーノのリズムの主題は、こうして座って聴いていても、追いかけられ逃げているような気分にさせられる。変奏曲もすごいの一言。スラーでありながらうごめくヴァイオリン。不思議なシンコペーションの掛け合い。ヴィオラのソロ。一転して美しい長調のメロディー。3連音符のフォルテシモ。てんこもりとはこのことか。

それでは、第1・第4楽章をお聴きください。
k.421-01-Allegro (クリック)k.421-04-Allegretto Ma Non Troppo(クリック)

0 件のコメント:

コメントを投稿