2015年12月12日土曜日

リヒャルト・ストラウス_メタモルフォーゼン_4つの最後の歌


今朝の音楽。リヒャルト・ストラウスです。
50を越えたあたりから、すっかり嵌ってしまっている2曲。
まずは、「メタモルフォーゼン」をコンヴィチュニー:シュターツカペレ・ドレスデンで。
「メタモルフォーゼン」は、23の独奏弦楽器のための楽曲で、第二世界大戦によってドイツの町並みや農村の風景などが破壊されて行き、自作の初演が行われた多くの劇場や音楽会堂も次々と瓦礫と化していく中で、ドイツの歴史や古くからの文化、伝統の喪失に対する悲しみや、崩壊していく祖国への惜別の思いを表現しています。有名なベートーヴェンの「エロイカ」の葬送行進曲の動機が根幹となっています。

そして「4つの最後の歌」。ヤノヴィッツ(S):カラヤン:ベルリンフィルを。
カラヤンを聴かない私の唯一のカラヤンのCD。
グンドラ・ヤノヴィッツの声が聴きたくて持っている。
ヤノヴィッツといえばヨッフムのオルフ「カルミナ・ブラーナ」の<In trutina>の独唱を思い浮かべる方も多いかと。
「4つの最後の歌」は、エリーザベト・シュヴァルツコップという人もいるかと思うが、やはり私の中ではヤノヴィッツが最高峰である!!。
アイヒェンドルフの詩による4曲目「夕映えの中で」。
~私たちは苦しみと喜びとのなかを
 手に手を携えて歩んできた
 いまさすらいをやめて
 静かな土地に憩う
 まわりには谷が迫り
 もう空はたそがれている
 ただ二羽の雲雀が霞の中へと
 なお夢見ながらのぼってゆく
 こちらへおいで ひばりたちは歌わせておこう
 間もなく眠りのときが来る
 この孤独の中で
 私たちがはぐれてしまうことがないように
 おお はるかな 静かな平和よ!
 こんなにも深く夕映えに包まれて
 私たちはさすらいに疲れた
 これが死というものなのだろうか?~
と謳う。
二羽の「雲雀」はフルートにより表現され、最後には深い夕映えの中に静かに高らかに天に昇っていきます。
死は本来は孤独なもの。しかしここにアイヒェンドルフによる理想の死が、死を間近にしたシュトラウスにより美しくも儚く表現されています。

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