今日の1曲。ケンペ:シュターツカペレ・ドレスデンによる
R.シュトラウス 交響詩「英雄の生涯」OP.40(1972年録音)を聴く。やはり、ベンちゃんの「英雄」を意識していたのか調性は<ホ長調>。当初、「エロイカ」と呼んでいたらしい。
曲は6つの部分から成り、切れ目なく演奏される。以下
1)英雄、2)・・の敵、3)・・の伴侶、4)・・の戦場、5)・・の業績、6)・・の隠遁と完成。
1)冒頭、ドレスデンの低弦とペーター・ダム率いるホルンでのテーマの上昇音型に思わずニッコリ。2)はスケルツォ風で木管楽器による戯画的な音楽。「敵」はフルートで表現され、時折チューバが敵意を顕す。
3)独奏のヴァイオリン、ペーターミリングの美しくも儚い音色が抜群に良い。ヴァイオリン・ソロが恋人(伴侶)を表わす。何やら二人の駆け引きが続き、やがて壮大な愛の情景へ。暫し甘美なメロディを堪能。
4)遠くからトラッペットのファンファーレ。戦場へ。小太鼓のリズムに乗って「敵」のテーマがトランペットに出て来て,行進曲風に進んで行く。勝利を謳歌するところでは4本のハイトーンのホルンの咆哮が聴こえる。
5)英雄の業績は、「ドン・ファン」「ツァラトゥストラはかく語りき」「死と変容」「ドン・キホーテ」「マクベス」「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」など,よくぞこれだけ,という感じで主題が絡み合って演奏されてゆく。そうだ、英雄とはR・ストラウス自身なのだ。
6)イングリッシュホルンが鳴り響くと静かなメロディに。そして、浮き立つホルンに、美しいヴァイオリン・ソロがぴったりと寄り添うようにして優しく幕は閉じられる。
ケンペは、豪快で推進力のある場面、蕩けるような情景も
ドレスデンのコクのある響きを余すことなく引き出し表情豊かな交響詩を繰り広げてくれた。
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