2026年7月31日金曜日

メンデルスゾーン 交響曲第3番「スコットランド」_サヴァリッシュ

メンデルスゾーン 交響曲第3番イ短調Op.56「スコットランド」、サヴァリッシュ(C)ニューフィルハーモニー管弦楽団<1967年録音>を聴く。

それは刻まれた歴史・自然そして人間の心の旅だ。

第1楽章、序奏:ヴィオラ・チェロの暗い和声、クラリネットとファゴットは霧の中から聴こえてくるようだ。まさに「廃墟と霧」、スコットランドの古城・曇天・静寂が凝縮され、石壁に染み込んだ長き歴史の時間を描き出す。ここのクラリネット:バーナード・ウォルトンの音色は絶品ものだ!!ヒュー・ビーン率いる弦楽群(特にヴィオラのフレデリック・リドルの肉厚感)は、気品ある絹の響きそのもの。よかとです。

第2楽章、スコットランド風のヨナ抜き民族舞曲。注目は、クラリネットだけでなく、ガレス・モリスのフルート。風のごとく駆け抜けるような透明感のある音色だ。よかとです。

第3楽章、サヴァリッシュは、謡いすぎない。弦楽群は、ビブラートも深すぎず、気品がある。アラン・シヴィルのホルンは、「遠くから聴こえるような柔らかいホルン」だ。そして、ホルン・クラリネット・ヴィオラが織りなす深い陰影。サヴァリッシュの真骨頂か。

第4楽章、ご存じ終結部の長調への転換、サヴァリッシュは、大げさにテンポをいじることなく、あくまでも冒頭で提示されたモットー動機が長い旅路を経て長調へと昇華される形で締め括る。それは、勝利は、事象的なことだけでなく、精神的な昇華であるという位置づけで。よかとです。

フィルハーモニア管は、この時代、一度解散を余儀なくされ自主運営組織として再スタート(ニューフィルハーモニー管)していた時代だ。財政的にも苦難の時代にサヴァリッシュのメンデ全集を果たせたことの価値は非常に高かったであろう。その意味でも、メンバーの底力を感じさせる、クレンペラーのそれとは一味違う、気品ある「スコットランド」となったように思われる。


 

2026年7月23日木曜日

ホルスト 組曲「惑星」_レヴァイン

やっと明日で「水星逆行」(6/30-7/24)が終了するようです。

次回は、10/24-11/14 です。間に米中間選挙(11/3)がありますね。さて今日も暑すぎるのでオコモリです。

ホルスト 組曲「惑星」、レヴァイン(C)シカゴ交響楽団<1986年録音>を聴こう。この曲は、日本で2度ほど一世風靡していますね。冨田勲氏と平原綾香嬢によるところが大きいです。

ご存じ、組曲「惑星」は、1914-16年頃に作曲されており火星・金星・水星・木星・土星・天王星・海王星の7曲からなるのですが、そのあと1930年に冥王星が発見され、しばらく作曲されていない惑星がある状態になりましたが、2006年に冥王星が、海王星の外側を周回する「準惑星」に分類され、めでたしめでたし となりました。

強力な金管・打楽器のシカゴサウンドを堪能しできるだけでなく、たとえば「金星」の第2主題のマガド(コンマス)の独奏ヴァイオリンの透明感、端正かつ美しい調べ、シャープによるチェロの音色の何にもかも包み込むような優しさ も外せません。

洗練度とレガートを効かせた流麗な美しさの演奏より、レヴァインらしい骨太で堂々とした足取りで演奏が、肉厚で人間味のあるエネルギーに満ちていて、やっぱりいいですね。



2026年7月22日水曜日

モーツァルト 弦楽四重奏曲第10番_アマデウス弦楽四重奏団

モーツァルト 遡って弦楽四重奏曲を聴いていこう。その⑭

弦楽四重奏曲第10番ハ長調 K. 170 、アマデウス弦楽四重奏団(1976年録音)「ウィーン四重奏曲」の3曲目。第1楽章をアンダンテの変奏曲にしたのは、ハイドンの作品17-3<変ホ長調 Hob. III:27>のオマージュか。また、全楽章がソナタ形式でなく、また主題と4つの変奏を持つ作品はこれしかないことから、モーツァルトの実験段階であることを示唆するものだろう。第1ヴァイオリンのノーバート・ブレイニンは、非常に表情豊かで美しい「歌心」を持と、adagioに気品と潤いを与えている。ちなみに、アマデウス四重奏団は、ロンドンで結成されているが、主要メンバーはウィーン出身の亡命音楽家たちである。終楽章「ロンドー」での、軽快で息の合った掛け合いも楽しい。


 

2026年7月19日日曜日

サン=サーンス 交響曲第3番_ミンシュ

サン=サーンス:交響曲第3番ハ短調Op.78「オルガン付き」、シャルル・ミュンシュ(C)ボストン交響楽団(1959年録音)を聴こう。

オルガン奏者ベルジュ・ザムコヒアンが弾く重低音の空気振動が、同じ空間にあるオーケストラの弦や管の響きと文字通り「一体となって」スピーカーを震わせるため、不自然な合成音には出せない圧倒的な空気感とリアリティが伝わってきます。カラヤン:BPO合成盤と異なり同時一発録りの妙味か!!



2026年7月8日水曜日

ブルックナー 交響曲第8番_ヴァント

ブルックナー 交響曲第8番ハ短調(ハース版)久しぶりに聴いてみる。ギュンター・ヴァント指揮、北ドイツ放送交響楽団(1987年:リューベック大聖堂)。


2026年7月4日土曜日

モーツァルト 弦楽四重奏曲第11番_バリリ弦楽四重奏団

 モーツァルト 遡って弦楽四重奏曲を聴いていこう。その⑬

弦楽四重奏曲第11番 変ホ長調 K. 171,バリリ弦楽四重奏団で聴く。6曲ある『ウィーン四重奏曲』のうちの4曲目。ハイドンの作品17・20「太陽四重奏曲」をダイレクトに吸収しようとした時代です。まず第1楽章に序奏(アダージョ)を置く試みは、そのハイドンにもない。モーツァルトにしても、のちの19番「不協和音」とこの曲だけである。白眉は、第3楽章、すべての楽器が弱音器(ミュート)をつけて演奏します。オペラのアリアを思わせる、美しくも切ない情感に満ちた楽章です。これぞモーツァルトという、ハ長調の明るくもどこか儚い憂鬱感。一番のお気に入りは、ハ短調(同主調)へ転調し、第1ヴァイオリンの先導に対して、第2ヴァイオリンやヴィオラが細かく動きながら応える、対位法的な「掛け合い」。バリリの第1ヴァイオリンは、決して音を張り上げず、第2ヴァイオリン(クロチャク)やヴィオラ(モラヴェッツ)が、ウィーン・フィル特有の柔らかくふくよかな音色で、まるでお互いを目で合図し合っているかのように自然な息遣いで絡み合う、この「歌の受け渡し」の滑らかさよ。Good Job!!