2016年7月31日日曜日

ドイツ・レクイエム 13


月に1度は聴きたくなるブラームス「ドイツ・レクイエム」シリーズ。第13回目となります。
①クレンペラー②サバリッシュ③ヤルヴィ④ジュリーニ➄セル⑥コルボ⑦アーノンクール⑧ケーゲル⑨ロバート・ショウ⑩アクサンチュス⑪コッホ⑫ヘレヴェッヘ。
今朝は、シノーポリ:チェコフィル&プラハフィルハーモニー合唱団(1983年録音)。ソプラノ:ルチア・ポップ、バリトン:ヴォルフガング・ブレンデルです。
たぶん、シノーポリのブラームスはこの「ドイツ・レクイエム」しか録音が残されていないのではないだろうか?
若きシノーポリ(30代)の名盤の一つといえよう。
美しいチェコフィルの弦楽群、見事なコーラス、ルチア・ポップの哀愁に満ちた歌声が嬉しい。
シノーポリのp、ppを特に大事にした演奏は随所に現れ、テンポを動かしながらの慈愛へのこだわりを見せる。そのため第1曲・終曲はゆったりとしたテンポでコーラスに大事に歌わせている。
そのこだわりの最たるものは第4曲に現れている。そのテンポは極めて遅い。通常5分ちょい程度のところ7分30秒もある。かのジュリーニ先生ですら6分10秒(VPO:1987年)、チェリビッダケ爺さんも6分3秒(MPO:1981年)であることを思えば、いかばかりかである。心安らぐ舞曲を朗々とである。
実に面白い!

2016年7月30日土曜日

ベーム バイエルン放送響の爽演_グルダとのMOZART:ジュノム

今朝の一枚は、大のお気に入りのベーム:バイエルン放送響のLIVE盤です。(1969年:ミュンヘン宮殿ヘラクレスザールLIVE)
これは、両演奏とも外せない名演である。
まずは、9/30のグルダとの共演。
モーツァルト ピアノ協奏曲第9番 変ホ長調 k.271「ジュノーム」。
グルダ、ベームは、滅多にお目にかかれない。そして、何よりグルダの9番は、私にはこの一枚だけという貴重かつ神聖な一枚である。ベームらしいゆったりとしたテンポの第1楽章冒頭のオーケストラの主題に導かれ、グルダの極上の美音が始まる。ベームの伸びやかで明るい演奏が、グルダのピアノを引き立てます。そして一音一音、確信に満ちたグルダのタッチに陶然とする。
第二楽章は、白眉。深く沈みこんだ翳りの中に見える一点の「光」を求めて彷徨うモーツァルトの心の奥底に沈む<悲しみ>をかくも繊細なタッチで表現しつくすグルダの天才性を垣間見ることができる。
そして、10/2のブラームス 交響曲第1番。
ベームの1番は、私には1959年のベルリンフィルとのスタジオ録音が何といってもNo.1であるが、こちらのLIVEもその高揚感は素晴らしいものがある。ベームのライブでみられる野性味溢れる部分を思う存分味わえる爽演。録音がもう少し良ければ・・。
弦楽群も金管群もそのパフォーマンスを思う存分発揮しており、とにかく「鳴る 鳴る」。この終楽章を生で聴いていたら度肝を抜かれ昇天したに違いない。


2016年7月24日日曜日

ブルクッナー 交響曲第3番 第1稿_インバル

ブルックナー 交響曲第3番 ニ短調。
エリアフ インバル:フランクフルト放送交響楽団で聴こう。
(1982年録音:第1稿)
「ワグナー交響曲」と呼ばれるに値する1稿にもかかわらず、ジャケットに「ワグナー」の文字なし。
ワルキューレ、タンホイザー、パルジファル、幾つものワグナーの引用を織り込んでいて、これかと見つけるのが楽しい。
特に第2楽章のタンホイザーの伴奏からのローエングリンの「エルザの大行進」のモチーフと思われるところなど、一番の聴きどころであろうが、それよりも第一主題の繰り返しの美しい旋律を聴くにつけ、第1稿いいなぁと思う。だから3番はこのAdagioだけを聴くことも多々ある。今日はじっくり丸ごと聴いてみよう。


2016年7月23日土曜日

クリップスのチャイコフスキー NO.5

今日の一枚。
チャイコフスキー 交響曲第5番 ホ短調 Op.64 
ヨーゼフ・クリップス:ウィーンフィルハーモニー管弦楽団。
(1958年録音)
まずは、このジャケットがお洒落で好きです。
当盤には、ロシア的な匂いは微塵もありませんが、オーケストラが非常に綺羅びらかでお気に入りの一枚です。
ウィーンフィルの弦の美しさとホルンの響きを十分に堪能できるところがいいです。
ピチカートに現れる豊かな表情や少しのポルタメントなどウィーンフィルらしさが随所に登場します。
特に第2楽章がいいですネ。
ホルンソロの素朴な音。チェロのまろやかな歌いっぷり。「運命動機」のトロンボーンの割れっぷり。剛と柔の変化。楽しいですネ。
第3楽章のワルツは、まさにウィンナワルツ。弦楽群と木管群との連携も見事。これがお洒落とか粋というやつかな。
フィナーレは、ワザとらしい煽りもなく、雄渾な響きと歌を重視した演奏といえよう。トランペットもホルンの決して高圧的でなく流麗な推進力の中を滔々と燃え上がります。
こんな5番もあっていい。いや、やはり知る人ぞ知る名盤なのだろう。


2016年7月22日金曜日

徹夜祷


今夜の音楽。ロシア正教会の奉神礼音楽である
ラフマニノフ 「徹夜祷作品37」を聴く。今夜の「徹夜祷」は、ポリャンスキー盤(1986年)ではなく、少し合唱っほさが強い、2000年録音のイェウヘン・サブチュク 指揮ウクライナ・ナショナル・カペラ 「ドゥムカ」 で聴く。
当該CDは、「聖金口イオアン聖体礼儀作品31」「たゆまず祈る聖母」「精霊たちの合唱」「治療者パンテレイ」ポリャンスキー:ロシア国立交響カペラ という作品もカップリングされている。
「徹夜祷」は、以前にも書いたが知る人ぞ知る名曲である。
ラフマニノフといえば、誰もが当然「ピアノ・コンチェルト!」だが、それ以上の美しさがこの曲にはある。
まさに合唱曲の至宝!
(ラフマニノフ自身の葬式の曲に第5曲「「主よ今汝の言葉に従い」を希望しました。)
この第5曲、アルトとテナーが揺れ動くような和音を反復する中、悲哀をこめたテナーソロが歌いだす。やがて、そのメロディーはバスから対位法的に積み上げられ、今度は逆にソプラノから下声部に向かつて順次重ねられ、拍子記号が小刻みに変わりながら、再び、テナーソロが加わり、バスが見事な全曲の最低音である単一の変ロ音のオクターブ配置で閉じられる。
この最低音、ロシア人しかできない!!と思う。
ぜひ一度聴いていただきたいと強く思います。

2016年7月18日月曜日

マーラー 交響曲第1番_イッセルシュテットのTAHRA盤より


今朝の音楽。
イッセルシュテット:北ドイツ放送交響楽団によるTAHRA盤。
Vol.1は、ブルックナー 4番と7番、Vol.2は、マーラー 1番と4番。
Vol.1は、以前紹介させていただきました。
http://mozartgogo.blogspot.jp/2015/07/47.html に掲載)
今朝は、Vol.2 マーラー交響曲第1番(1969年ライブ録音)について一言。
第1楽章・・・優しく温かみのある音。深き森で聴いているような安心感と安らぎを感じることができます。
第2楽章・・・驚くべき遅いテンポです。オスティナート・リズム、史上最も遅い演奏ではないでしょうか。(9:38)
低中音域重視の作りこみで全く違った表現が味わえます。
第3楽章・・・フレール・ジャックのメロディも極めてスローなテンポでスタートする。ハープの弾きが印象的で、中間部では強くボヘミアンな匂いのする演奏で面白い。
第4楽章・・・NDRの弦楽群の堂々たる弾きぶり。フィナーレまで、決して逸らず音色に重きを置くイッセルシュテットならではの大人の演奏。
60年代のマーラーの演奏は、面白いものが多い気がします。
4番だけ、モノラル録音ですがこれも素敵な演奏です。
また機会があれば触れたいと思います。

2016年7月15日金曜日

ひとりシューマン シンフォニー・チクルス



今夜は、ひとりシューマン シンフォニー・チクルス。
これぞ名全集と呼びたいサバリッシュ:シュターツカペレ・ドレスデン(1972年:ドレスデン ルカ教会での録音)。言わずと知れた、ペーターダムのホルンの響き、ゾンダーマンのティンパニーの好打撃。ルカ教会の残響。端麗にして芳醇なサバリッシュの構築力。シュターツカペレ・ドレスデンの低重心の弦楽群と彩のある管楽器群は、抜群だ!
そういえばザンデルリンクとブラームス交響曲全集を録音したのとほぼ同時期なんだなぁ。納得!!
1曲1曲は、名盤と呼ばれる演奏が存在するが、シューマンを通して聴くなら、やはりこのサバリッシュ:シュターツカペレ・ドレスデンかコンヴィチュニー:ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管ではないだろうか。

2016年7月10日日曜日

マーラー 交響曲第6番_バルビローリ

今日の一枚。
マーラー 交響曲第6番 イ短調。バルビローリ:ニューフィルハーモニア管(1967年8月Live録音)。バルビローリとニューフィルハーモニア管には、1967年に2つの録音があるが、こちらはLIVE盤で、第2楽章Andante、第3楽章にScherzoとしている方だ。
バルビローリは、BPO(1966)、ニューフィルハーモニア(1969)でもこのAndante、scherzoの順をとっている。
第1楽章、独特のスローテンポで入る冒頭のおぞましい音は、まさにバルビローリ盤でしか味わえない息をのむ瞬間だ。そしてこれがまた癖になる。カウベルの音も独特。
第2楽章、Andanteは、バルビローリらしい美しさと愛情あふれる演奏だ。カウベルが響くころには、もう泣いています。
第3楽章、scherzo。バルリローリのおぞましい弦のはじきは、Andanteを挟むことで生きるのかもしれない。
第4楽章、極めて重厚なスケールの大きな演奏といえよう。
6番としては、異様の一枚であるが、捨てがたい一枚といえよう。

2016年7月9日土曜日

フォーレ レクイエム


昨日は、会社の人事異動による送別会があり、5名を送り出し、終電ぎりぎりの午前様でした。でも4時過ぎ、普段通りの時間に目が覚めてしまう悲しい性(サガ)。
そんなわけで今朝の一枚。
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮アンサンブル・ミュージク・オブリク/シャペル・ロワイヤルcho & サン=ルイ少年合唱隊、アニエス・メロン(S)、ペーター・コーイ(B)による、フォーレの「レクイエム」(1988年録音)。
こちらは、Ⅱ版と言われている1893年版である。Ⅰ版の五曲プラス二曲(②オッフェルトリウム⑥リベラ・メ)計七曲。
ヘレヴェツヘは先ず41歳にこのⅡ版にて録音をしている。
「ドイツレクイエム」に負けず劣らずよく聴くフォーレの「レクイエム」であるが、「ドイツレクエム」のように数多くの演奏を保有しているわけではない。
Ⅲ版(オーケストラ)によるクリュイタンス、コルボ、Ⅲ版(オルガン伴奏)によるマルムベルク:スウェーデン放送合唱団。そしてⅡ版(室内楽曲版)のネクトゥー&ドゥラージュ版によるこちらのヘレヴェッヘとエキルベイ:アクサンチェスほど。
その中で、とりわけ絶品と思っているのが、こちらヘレベッヘ盤。
古楽の一人者アニエル・メロンのソプラノの歌声がまず素晴らし。ほぼノンビブラートの伸びのある透明感溢れるその美しさは圧巻。ピエ・イエズはこうして歌う曲というお手本であろう。
コーラスの純度も高く、室内版でのヴァイオリンのソロやハープの音は極めて効果的になっている。
今朝は少し涼しいようで、書斎の小窓から少しヒンヤリした空気が流れ、いっそうこの曲を聴くのに嬉しい空間です。



2016年7月3日日曜日

ドイツ・レクイエム 12

月に1度は聴きたくなるブラームス「ドイツ・レクイエム」シリーズ。第12回目となります。
①クレンペラー②サバリッシュ③ヤルヴィ④ジュリーニ➄セル⑥コルボ⑦アーノンクール⑧ケーゲル⑨ロバート・ショウ⑩アクサンチュス⑪コッホ。
今日は、フィリップ・ヘレヴェッヘ:シャンゼリゼ管弦楽団、シャペル・ロワイヤル、コレギウム・ヴォカーレです。(1996年Live録音)
ヘレヴェッヘが創設したシャペル・ロワイヤル、コレギウム・ヴォカーレ両合唱団を総動員しての録音。コーラスの美しさ、柔らかさ、温かみは、どれにも引けを取らない素晴らしさ。
ピリオド楽器による演奏である。弦楽は、両翼ヴァイオリン、左チェロの19世紀型古典配置である。管は倍管もアシストもない純粋な2管編成。透明度の高いオーケストラの響きと合唱の驚異的な美しさに感嘆。残響もちょうどいい!
バリトン:フィンリーの声も柔らかくて好きな声、ソプラノ:エルゼは、優しい透明感のある美声。
第6曲:大フーガの迫力も圧倒的。
ドイツレイクエムの美しさを知らしめる名盤としてお勧めしたい一枚です。

ブラームス 交響曲第2番_ジュリーニ/ロスフィル
























ゴルフ疲れで夕寝をしたせいか、こんな時間に元気溌剌。
今日の一枚。
ジュリーニは、フィルハーモニア管・ウィーンフィルとの全集やシカゴ響とのセッションなど多くのブラームス・シンフォニーがありますが、今日は、ロスアンジェルス・フィルによる「ブラームス 交響曲第2番 ニ長調 Op.73」(1980年録音)です。
以前、「クラシックを聴こう!」グループでクイズとして出題しました数少ない第1楽章提示部繰り返し演奏をしています。
(クイズはウィーンフィル盤の3名の指揮者で出題でした)
第1楽章の最長録音(22:31)が、このジュリーニ:ロスフィルでしょう。しかし、ジュリーニもフィルハーモニア、ウィーンフィルでは提示部繰り返しをやっていません。
さてこちらの演奏は、一大叙事詩のような2番といえるでしょう。朗々としたジュリーニ節満載です。全編美しく明るいサウンドで貫かれており、ドイツ的でもブラームス的でもありませんが、ロスフィルは、バランスの良い濁りのない美しい演奏をしてます。さすが、覆面コロンビア交響楽団の伝統を受け継いでいるだけありますね。

2016年7月1日金曜日

ブルックナー 交響曲第6番_カイルベルト

今日は、早く帰ってきたのでゆっくり音楽の時間を楽しめます。
敢えてのブルックナー 「交響曲第6番 イ長調 」カイルベルト:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1963年録音)。
よほどのブルファンでなければ聴かないのが6番ではないか。
第1楽章、低弦のテーマから始まり金管が炸裂する冒頭には、一種のワクワク感がある。実にメリハリの効いた演奏。ベルリンフィルの重厚な音質を見事に発揮させ、それでいて「帝王」のようなしつこさや諄さがない。溌剌とした展開の中、往年のベルリンフィルの金管の響きがまたいい。
白眉は、第2楽章Adagioの深淵なる美しさにある。重層的な音の切り貼りが紡ぎだす幸福感を、さりげなく作り出すカイルベルトの手腕に脱帽。
第3楽章スケルツォは、勇壮さと管弦楽のもつ音色の多彩さを余すところなく聴かせてくれる作品ではないだろうか。カイルベルトは、その一つ一つが「浮いて」聴こえないというかバランスよくつなげているところが流石だと思える。
第4楽章は、重厚な推進力の中でも、弦楽の美しさを失わず、濁りのない演奏といえるだろう。
やはり、この時代のカイルベルトやケンペの振るベルリンフィルはいいなぁ。

2016年6月26日日曜日

ケルビーニ 荘厳ミサ曲

今日の一枚。幾つかあるケールビーニの荘厳ミサ曲から「ルイ18世の戴冠式のための荘厳ミサ曲 ト長調」を聴きます。リッカルト・ムーティ:ロンドンフィルハーモニー管弦楽団&合唱団です。(1988年録音)。ルイ18世は、ナポレオン敗北、失脚により王政復古を果たしたフランス王です。戴冠式用らしく、非常に華やかな曲想です。


2016年6月25日土曜日

ベートーヴェン ピアノ三重奏曲_ケンプ・シェリング・フルニエ

金曜日の夜、土曜日にゴルフがない日は夜更かしです。
ベートーヴェン ピアノ三重奏曲全集 ケンプ・シェリング・フルニエ + カール・ライスター(4番のみ)です。ベートーヴェン生誕200年記念の1970年に録音された(一部1969年)言わずと知れた名手揃いの名盤です。中でも4番ではヴァイオリンの代わりにクラリットを用い、若きカール・ライスターも登場。夜更かしにはピッタリでありましょう。

2016年6月19日日曜日

モーツァルト ピアノ協奏曲第22番_カサドッシュ

先月くらいから兆候はあったのだが、昨日、「VAIOが死亡」。朝から新しいパソコンを購入し再設定やアプリの再インストールなどで時間がつぶれる。foobar2000の再設定、楽曲の再インストールに一番時間がかかったが、何とか元の状態に。
そんなわけで今週末初めてとなる今夜の一枚は、モーツァルト ピアノ協奏曲第22番 変ホ長調 K.482。カサドッシュ:セル+コロンビア響(1959録音)で。
22番は、20番・23番という金字塔の名曲に挟まれている。
そしてもう1曲の21番が、スウェーデン映画「みじかくも美しく燃え」により一世を風靡したアンダンテが有名なため、隠れた存在になっている。しかし負けず劣らず名曲である。。
何といっても、クラリネットを初めて使用したピアノ協奏曲。
第一楽章、同じ変ホ長調であるK.132のシンフォニー(19番)とほぼ同じ旋律の冒頭は魅力的かつ極めてシンフォニックな響き。そしてフルート、クラリネット、ファゴット、ホルンとつながる木管・金管群と弦の音色の繰り返しにうっとりします。流れるようなピアノの音の粒はカサドシュならではの一音も無駄にしない柔らかさ。セルの縦線をキッチリと合わせ、バランスを整えたサポートがピアノを一層引き立たせています。
第二楽章、ハ短調のアンダンテは、モーツァルトの持つ内面の悲しみが零れ落ちそうな甘美なフレーズで始まる。ただ、いつもの緩徐楽章には見られないドラマチックな中間部を木管群が歌うことにより、よりピアノのもつ深い悲しみの音色を際立たせています。わずか8分程度のこの中間楽章は、インヴェンション風のピアノのパッセージや、管弦楽組曲を思わせるフレーズなど様々な工夫がちりばめられており、その魅力的な構成に思わず唸ってしまいます。
第三楽章は、映画「アマデウス」でも使われた、明るいウキウキしたリズム感あふれるアレグロ。そして白眉の中間部はアンダンテ・カンタービレ。クラリネットの甘い囁きは、癒しの極致。歌劇《フィガロの結婚》も同時期に作曲していたことがよくわかります。そして再びアレグロのリズム。高音のトリルが魅力的すぎます。
これほど面白い22番がなんとなく愛おしいのは私だけではないでしょう。「アモーレ!!」

2016年6月12日日曜日

メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲&交響曲第3番_シュナイダーハン_ペーターマーク

午後からは、また引きこもりです。
①メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲」
シュナイダーハン:フリッチャイ+ベルリン放送交響楽団(1956)
シュナイダーハンの一音一音をはずさない丁寧さと巧さが冒頭から聴ける。品格のシュナイダーハン!淡々とした弾きぶりから生まれる甘美な音色こそ、シュナイダーハンの良さ。しかし、第二楽章では、優しく包み込みような滔々とした歌いまわしも・・期待に違わぬ名演ですね。

②メンデルスゾーン 交響曲第3番「スコットランド」
ペーター・マーク:ロンドン交響楽団(1960)
イ短調のもつ荒寥感、嘆きのメロディ。この曲の冒頭の暗さ、でも重く沈み込んでは欲しくない。自然の辛さを受け入れる姿。佇む姿。挑む姿が欲しい。ペーター・マークには、そんな詩的なメンデルスゾーンの「歌」をドラマチックに奏でる力がある。ロンドン響も素晴らしい、強壮する金管は決して下品にならず、切れのある弦楽群も見事。やはり名盤です。

2016年6月11日土曜日

ドイツ・レクイエム 11

今朝の一枚。月に1度は聴きたくなるブラームス「ドイツ・レクイエム」シリーズ。第11回目となります。
ちなみに、過去は①クレンペラー②サバリッシュ③ヤルヴィ④ジュリーニ➄セル⑥コルボ⑦アーノンクール⑧ケーゲル⑨ロバート・ショウ⑩アクサンチュス です。
ドイツ・レクイエム、ブラームスの1番、マーラーの9番が私の「3大所有CD」ですので、まだまだ当分続けられそうです。
今朝は、ヘルムート・コッホ;ベルリン放送管弦楽団、合唱団。
コッホは、合唱指揮者ですから、徹底的に合唱に光を当てた演奏です。合唱陣は、極めて声が美しい。特にソプラノは絶品。各声部の役割が徹底されているような気がします。
第6曲の圧倒的な大フーガによる讃歌も聴きものです。

2016年6月10日金曜日

ベートーヴェン 交響曲第2番_レイボヴィッツ

今日は早めに帰宅できたのでベートーヴェンのシンフォニーでも聴きましょうか。
レイボヴィッツ:ロイヤルフィルハーモニーの交響曲全集から第2番ニ長調OP.36から。(1961年録音)
レイボヴィッツは、ピエール・ブーレズの先生ですね。
切れ味抜群の第1楽章、淡々とした中にもバランスのとれたオーケストレーションで古典的な美しさを表現した第2楽章、快速のスケルツォは、その意図を明確に汲みとったメリハリ感が印象的な第3楽章。
面白く「2番」を聴かせてくれる一枚です。

2016年6月5日日曜日

ドビュシーのピアノ

今日は、「ひきこもり」です。今日の一枚。サンソン・フランソワの「ドビュシー Piano Works」を聴いています。

2016年6月4日土曜日

シューマン ヴァイオリン・ソナタ

今日の一枚。土曜の夜だというのに「シューマン ヴァイオリンソナタ」なんぞを聴いております。暗すぎませんか。
クリスティアン・テツラフ(Vn)・ラルス・フォークト(P)のコンビです。<2011-12年録音>
シューマンのヴァイオリンソナタは3曲ありますが、やはり2番がお気に入りでしょうか。
生き生きと(ウン・ポコ・レントーアニマート)という指示とは裏腹に、決然とした重和音の連打で始まる序奏にいきなり心を抉られてしまいそうです。失意と孤独感を思わせる悲しいヴァイオリンの調べにピアノが優しく寄り添う。その先に時折見せる情熱の迸り。ロマンチックでありながら、激情的なメロディーこそシューマンの真骨頂でしょうか。この曲は、第3楽章に、J.S.バッハのコラール「深き苦しみの淵からわれ汝を呼ぶ」に基づく主題がピッツィカートのソロで奏されています。

2016年5月29日日曜日

ドイツ・レクイエム 10

月に一度は聴きたくなる「ブラームス ドイツレクイエム」シリーズ。今朝は、Accentus(ロンドン版:2台のピアノ伴奏)で。
ピアノは、ブリジット・エンゲラーとボリス・ベレゾフスキー。
ピアノヴァージョンは、優しさと穏やかさに満たされ、これはこれで十分すぎるかも知れない。
アクサンチュス室内合唱団(Accentus)を率いる女流合唱指揮者:ロランス・エキルベイは、スウェーデンのエリック・エリクソンに師事し、またアーノンクールの助手も務めていたという。
さすがに、合唱は素晴らしい。特にソプラノは優しく美しい。バリトンのステファン・デグーもいい声だ。第5曲 ソプラノ:ピオーの伸びのある歌声も秀逸です。透明な歌声が響き渡る教会に独り座っているようなそんな癒された気分になる。重厚さやオケ版による音の広がりは求めてはいけない。しかし、鎮魂という意味でこの演奏は、十分価値ある一枚ではなかろうか。

2016年5月27日金曜日

マーラー 「大地の歌」_クレツキ

今日の一枚。マーラー 交響曲「大地の歌」。パウル・クレツキ:フィルハーモニア管弦楽団。(1959年録音)ディッキー(テノール)フィッシャー・ディスカウ(バリトン)。
バーンスタイン盤よりも7年前の若きフィッシャー・ディスカウの柔らかな歌声が聴けます。
ホーレンシュタイン盤とこのクレツキ盤がお気に入りである。
爽快感あふれ、彫の深い演奏です。

2016年5月21日土曜日

マーラー 交響曲第5番_ショルティ

21時前から書斎の椅子で寝てしまい、こんな時間の目が冴えてしまっている。
今朝・・とは言い難いが、敢えていつものように今朝の一枚。マーラー 交響曲第5番嬰ハ短調 ショルティ:シカゴ交響楽団(1970年録音)。ベタですが、やはりいい物はいい。5番と8番のショルティ:シカゴは、ある意味圧倒的であり、ベスト3には入れざるえないか。
なにしろ冒頭のアドルフ・ハーゼスの快音から引き込まれる。この時代のシカゴのブラス・セッションはとにかく驚嘆ものである。ハーゼス、クレヴェンジャー、フリードマン・ジェイコブスなど綺羅星の如くだ。

2016年5月13日金曜日

ブラームス ヴァイオリン協奏曲_グリュミオー

連休後の1週間は長かった気がします。
今夜は、ブラームス ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.77 を無性に聴きたくなる。グリュミオー(Vn) ベイヌム:コンセルトヘボウ管弦楽団(1958年録音)。
やはりグリュミオーの音は美しく、コクがある。濃厚だが穏やかさをもつヴァイオリンの調べとベイヌムの軽やかにして芯のある伴奏。コンセルトヘボウ管のこの時代の管楽器類の素晴らしさが惜しげもなく聴けるのも嬉しい。
第二楽章 Adagio、たまりませんね。
オーボエ協奏曲ともいえる出だしの魅惑的な主題にうっとり。中間部のヴァイオリンの切なく訴えかけるコロラトゥーラのアリアも美しい。
第三楽章、グリュミオーの音を聴いているとこの曲が難曲とは思えないほどの余裕と安定感。それを支えるコンセルトヘボウの弦・管ともに壮麗にして一体感のある響き。
グッド・チョイスでした。

2016年5月8日日曜日

モーツァルト ピアノ協奏曲12番&18番_リリー・クラウス

今日でGWも終わりですね。
今朝の一枚。モーツァルト ピアノ協奏曲第12番 イ長調 K.414 &18番 変ロ長調 K.456です。
モーツァルトの女流ピアノスト言えば、まずクララ・ハスキル そしてリリー・クラウスの名前が出てくることでしょう。
今朝は、ハスキルに後れること8年後に生まれたハンガリー人(国籍はオーストリア)のリリー・クラウスとピエール・モントゥー:ボストン交響楽団との演奏で楽しみます。
実は、リリー・クラウスはヴァイオリニストのシモン・ゴールドベルクとの演奏旅行中の1942年 ジャワ島で終戦まで、日本軍の捕虜となっています。当時の今村均司令官はクラウス一家を丁重に扱ったと言われています。「抑留された西洋人、また捕虜の慰安の為、慈善演奏会を開いて欲しい。」今村均司令官の、この申し出をクラウスは喜んで受けました。今村均と言う軍人の寛容で人間味を感じさせるエピソードは多いのですが、これもその一つに数えられるでしょう。クラウスは、後年1963年に日本でリサイタルを行っています。クラウスはジャワ島での体験について、日本を批判する言葉を生涯発していません。「戦争の悲惨な体験によって地獄を知った分、天国の素晴らしさを音楽で歌えるようになりました。」「抑留を強いられた中でも、親切にしてくれた日本人がいました。私は日本に悪感情を持ったことなど一度もありません。」「今、神の恵みで、過去の暗い雲は取り払われ、私はあなた方の国に再び戻る期待で、深く喜ばしい感動に満たされております。」と<多胡吉郎著「リリー・モーツアルトを弾いて下さい」河出書房新社より>
さて、ピアノソナタで一世を風靡したクラウスですが、コンチェルトでは、さほど恵まれた演奏を録音されていません。結構、今では無名の指揮者やオーケストラの録音が残っていますが。
しかし当CDでは、かのピエール・モントゥーとの躍動感のあるピカピカの演奏を聴かせてくれています。粒だつような透明な響き、モントゥーに引っ張られて力強く刻むリズムの弾む音、弱音の可愛いらしさ、魅力いっぱいです。
12番は、ウィーンに引っ越しが決まったばかりのモーツァルトが作った曲ですから、第1楽章はその新天地でのウキウキ感が表現されウィーンらしい甘く柔らかで優雅な曲想のアレグロです。
第2楽章アンダンテは、安らぎに満ちたパッセージが流れますが、当年1月に亡くなったクリスティャン・バッハのオペラ「誠意の災い」序曲が主題に借用されているのです。その死を悼んでの事と推察できます。中間部での短調がその悲しみを表現しています。
第3楽章アレグレットは、流れるようなアルペジオとトリルが魅力の軽快なロンドです。12番を堪能できる1枚です。
18番は、何といっても緩徐楽章ですね。変ロ長調の平行移調であるト短調で書かれています。「フィガロの結婚」でバルバリーナが歌う「カヴァティーナ」に似た主題を含む5つの変奏曲から構成されています。切なくも暗い序奏に続く、ピアノのソロ。短調と長調を彷徨いながら展開する変奏曲の妙はモーツァルトならではです。
クラウスのピアノが一番発揮されている楽章でもあります。
かなり長くなりましたネ。今朝も有難う「モーツァルト」であります。