2008年1月6日日曜日

隠れト短調 ~モーツァルトを語る 第40弾

第40弾は「ヴァイオリンソナタ第35番 ト長調 K379」。
「これを書いているのは夜の11時ですが、今日ぼくたちは、発表会を催しました。そこでぼくの曲が三曲演奏されました。もちろん新作です。ブルネッティのための協奏曲に属するロンドと、(ぼくがピアノを弾く)ヴァイオリン伴奏つきのソナタ、--これは昨夜11時から12時までに作曲したのですが、一応仕上げてしまうために、ブルネッティのための伴奏の部分だけを書いて、自分のパートは頭に入れておきました。」 柴田治三郎編訳「モーツァルトの手紙(上)」岩波文庫 p.243より
第一楽章はアレグロの前に長いアダージョをもつ珍しい作品です。このアダージョは、始め疲れをいっぺんに癒してくれる。優しく眠りにつかせてくれる子守唄のようなのだ。でも34小節目から何故か少し胸が痛む。悲しみへ向かう胸騒ぎだろうか。そう これこそアレグロへの布石。そして、ここから疾走するアレグロが始まる。もちろん調性は、ト短調。隠れていた調性は私の胸を突如として貫く。第二楽章は、変奏曲。こちらも、テーマのアンダンティーノ・カンタービレは一度聴くと忘れられないメロディー。そして変奏曲はV4とピチカートの入るV5がお気に入りだ。
それでは、お聴きください。
mozart_35_k.379-1. Pires. Dumay (クリック)
mozart_35_k.379-2. Pires. Dumay (クリック)

0 件のコメント:

コメントを投稿