2007年5月27日日曜日

洗練~モーツァルトを語る 第24弾

14 第24弾は、大司教の館のターフェルムジーク(食卓音楽)として作曲された6曲(K213、240、252=240a、253、270、289=271g)の作品の中で第5番目の曲である「ディヴェルトメント 第14番 変ロ長調 K.270」をとりあげる。

オーボエ2、ホルン2、ファゴット2という簡単な編成。管楽器のみでモーツァルトほど洗練された音楽を作り上げた人はいないだろう。センスの格を感じる。自筆楽譜には、〈アマデーオ・ヴォルフガンゴ・モーツァルトの6声のディヴェルティメント第5番 1771年1月〉と書かれている。4楽章編成の15分弱の曲です。第1楽章はアレグロ・モルト。ファゴットの8分音符の上でオーボエが軽やかにメロディーを歌い上げるところがお気に入りです。

それではお聴きください。mozart_14_k.270.mp3(クリック)。

2007年5月14日月曜日

ライトアップ~マスカーニで

今夜はライトアップして、庭のバラ達を眺める。
こんな時にマッチする曲は、マスカーニ作曲「カバレリア・ルスティカーナの間奏曲」。贅沢なひととき。mascagni_cavalleria_rusticana_intermezzo (クリック)。

こんな美しい間奏曲をもつオペラとはどんなにロマンチックなんだろうか。
「カバレリア・ルスティカーナ」なんて如何にも美しい響きではないか。

残念。真実は違う。題名は訳すと「田舎の騎士道」という意味だし、物語も不倫と横恋慕と決闘の話。

主人公トゥリッドゥが軍隊に行っている間に恋人のローラは、さっさと馬車屋のアルフィオと結婚してしまいます。愕然とするトゥリッドゥですが、サントゥッツァと恋に落ち婚約します。すでに結婚していながら、嫉妬するローラはトゥリッドゥを誘います。まだローラに未練のあるトゥリッドゥは、サントゥッツァがいながらもローラと逢瀬を重ねます。どうしてもトゥリッドゥが戻ってこないことからサントゥッツァは嫉妬に駆られ、アルフィオにトゥリッドゥの不倫を告げてしまい、アルフィオは怒り狂います。

ここで間奏にこの名曲。

このあと、教会から人々が出てきて居酒屋で皆が飲んでいるときに、トゥリッドゥはアルフィオに決闘を申し込みます。敗れて死ぬことを予感したトゥリッドゥは母親にさりげなく別れを告げに帰り、やがて意を決し決闘場へと向かう。「トゥリッドゥが殺された」という女の悲鳴が2度響き、村人の驚きの声と共に・・・・・幕 とまあこんな話し。ほんまかいなぁ。でもわかっていても名曲は名曲ですね。自分勝手にロマンチックな想像で聴いてればいいのです。

2007年5月12日土曜日

疾走しないト短調~モーツァルトを語る 第23弾

Salzburg2 第23弾は、「疾走しない悲しみのト短調群」と勝手に名付けている曲達の中の1曲「Mozart - ヴァイオリンソナタ 第36番 K.380の第二楽章」を紹介する。
K.380自体の調性は、変ホ長調だかこの第二楽章は、ト短調 4/3 アンダンテ・コン・モートである。短調のモーツァルトが、モーツァルトという途方もない天才の一面である事実は誰も否定できない。明るく晴れやかで春風のように心地よいセレナードやディヴェルトメントにも、感情のこまやかさが小さな波のように幾つも幾つも訪れ、心を洗い戯れてくるピアノコンチェルトの緩徐楽章にも、不思議と現れるモーツァルト的悲哀の音たちは、それはそれで堪らなく美しく大好きだが、こうして第一音から投げかけてくる短調の悲しみのメロディーは心にぐさっとくる。たぶんモーツァルトがそうした一面を知らず知らずのうちに耐え切れず漏らしているからではないかと思えてならない。

それではお聴きください。mozart_36_k.380 - 2(クリック)

2007年5月6日日曜日

チャルダッシュ

最近TVCMを見ていて妙に耳に残る曲がある。日立ハイビジョンテレビWOO、黒木瞳が登場するCMに使われている、「ヴィットリオ モンティー」の「Csardasチャルダッシュ」だ。ご存知フィギュアスケートの浅田真央ちゃんの、フリー演技の曲目である。チャルダッシュとは「酒場風」という意味らしい。ハンガリーの民族舞曲で、Lassanというゆったりとした導入部とFriskaという急激な2/4拍子のリズムで構成されている。オリジナルはマンドリンだ。そういえば昨年も「トゥーランドット」が一世風靡した。フィギアの影響力はすごい。

2007年5月4日金曜日

疾走の始まり~モーツァルトを語る 第22弾

Photo_8 第22弾は、久々の弦楽四重奏曲の登場。
ミラノ四重奏曲の5番目の作品「弦楽四重奏曲 第6番 変ロ長調 K.159」です。緩・急・急という楽章構成を持つ特徴的な作品です。
いわゆるディヴェルトメント風ですね。
第一楽章はアンダンテというゆったりとしたテンポで始まり柔らかく温かみのある音色です。何故か9小節目まで第1ヴァイオリンが登場しない。そしてこの9小節目の第2ヴァイオリンとヴィオラのシンコペーションは「らしい」としか言いようがない。
さて、この曲の肝は、なんといっても第2楽章(5分30秒から)でしょう。モーツァルトにとって始めての短調でのソナタ・アレグロ。まさに疾風怒濤的傑作といえよう。かの「疾走するかなしみ」は原点はここにあるような気がする。調性は宿命のト短調。ひたむきに駆け抜けるという言葉がぴったりくるだろうか。

それでは聴いてください。。mozart_06_k.159(クリック)。