2007年8月12日日曜日

慈愛~モーツァルトを語る 第30弾

Cl400記念すべき第30弾は、「クラリネット協奏曲 イ長調 K622」です。
第26弾で五重奏を先に紹介しましたが、こちらも最上の名曲です。
K622は、モーツァルトが最後に完成させた作品です。この曲は言わずと知れた{アマデウス 旋律の王様 イ長調}。この曲を聴くとモーツァルトにとってト短調が宿命の調性なら、イ長調は天与の調性であると感じます。私にとってK622はこう聞こえてなりません。
第一楽章は、モーツァルトが今まで生きてきた人生を振り返って音にしたもので、第ニ楽章は、神はすべてを、そしてもうすぐ召される自分をもこのように暖かく包み込んでくれるだろうと感じた音、第三楽章は、天上での自分の姿を想像した音であると。自分が最も愛したクラリネットでそれは演奏される。もう言葉は要りません。

それでは聴いてください。
アントニオ・ペイ:AAM Hogwood の演奏です。
k.622 - 1. Allegro(クリック)
k.622 - 2 .Adagio(クリック)
k.622 - 3. Rondo(クリック)

2007年8月5日日曜日

超セレナーデ ~ モーツァルトを語る 第29弾

Posthorn_3 モーツァルトのセレナーデは編成も形式も様々である。13本の管楽器によるアンサンブル7楽章もの(K361)ソナタ形式の4楽章もの(K525)などである。

そんなセレナーデ群からの初登場は何の迷いもなくセレナーデ 第9番 ニ長調 K320 「ポストホルン」である。ポストホルンとは小さなホルンで、単に管をくるくると巻いただけのものもあれば、ロータリー・ヴァルヴがついたものもあります。その名の通り郵便配達人が使用していました。15世紀にフランス、ヴェネツィアなどで郵便制度が始まり、郵便配達は、その到着と出発を知らせるのに小型の曲型もしくは環状のホルンを使っていました。17世紀頃には、ニュルンベルクのトランペット制作者の徒弟はその楽器を作ることをまず最初に許されたといいます。はじめポスト・ホルンは管の長さが短かく、1重程度しか巻かれていなかったために第1倍音と第2倍音を用いたオクターヴの動きしかありませんでした。しかし、管の長さが長くなり第6倍音程度まで出せるようになって、様々な音型が生まれました。 これが第6楽章の第2トリオに使用されているためこの愛称がついています。

このセレナーデは、全7楽章で交響曲(1・2・5・7)と協奏曲(3・4・6)を一緒に聴ける壮大なものである。まず、第1楽章から驚かされる。壮麗なアダージョをもち、それに続くアレグロはロッシーニを髣髴させる音楽だ。第3・4楽章のフルートとオーボエの掛け合い(対話)もすばらしい。そして第5楽章のニ短調のアンダンティーノ。「出た~」 何故この場に短調が!?でもこれが実にいい。そして壮大なフィナーレ。盛りだくさんの音楽を一度に楽しみたいならこの曲だと思っている。

それでは、第1・5楽章をお聴きください。
k.320 'Posthorn' - I. Adagio - Allegro (クリック)
k.320 'Posthorn' - V. Andantino (クリック)

2007年8月2日木曜日

外は台風 中はDivertimento ~モーツァルトを語る第28弾

第28弾は、「ディヴェルトメント 第07番 ニ長調 K.205」です。
今、宮崎は台風5号で、外は吹き返しで大荒れです。
久しぶりに早く家に戻ったので今夜はMozart三昧。とりあえず「Divertimento」。
この曲は、ヴァイオリン、ヴィオラ、ホルン二つとバスという編成です。第一楽章は短いラルゴから。ハイドンチックですが、実に美しい旋律です。それに続くは軽快・勇壮なアレグロ。続く可愛らしいメヌエットです。 第三楽章のアダージョがまた泣かせます。そんな時はホルンとバスーンはお休み。美しい旋律を弦鳴楽器だけで奏でられます。この章だけ「旋律の王様」イ長調です。次の第四楽章メヌエットは後半の3連符がうならせます。 トリオではホルンと弦鳴楽器が掛け合いをします。フィナーレ第五楽章はプレストで終わりです。単身赴任の夜を慰める一曲です。

それでは聴いてください。
K.205 (クリック)