2007年4月30日月曜日

ヨハン・クリスチャン・バッハ~モーツァルトを語る 第21弾

Jcbach ヨハン・クリスチャン・バッハは少年期のモーツァルトに最も影響を与えた作曲家だと言われている。ロンドンで新時代の予感に触れ衝撃を受けた。J.C.バッハは当代隋一の旋律法の大家である。(大バッハの末っ子)8歳のモーツァルトが彼に師事できたことは幸いであったといわれる。様々な旅によってこうして天才モーツァルトが育まれていったのだろうと思う。K333など、その影響を受けた曲は多くあるが、今日はまさに、J.C.バッハの曲を編曲した「3つのクラヴィーア協奏曲 K107」を紹介する。標題には「アマデーオ・ヴォルフガンゴ・モーツァルト氏により協奏曲に編曲されたジョヴァンニ(ヨハン)・バッハ氏の3曲のソナタ」(イタリア語)と書かれている。これら3曲の協奏曲は、ヨハン・クリスチャン・バッハの《クラヴサンまたはピアノフォルテのための6つのソナタ(メクレンブルク公エルンスト殿下に献呈)》(作品5)の第2番、第3番、第4番をほぼ忠実に協奏曲に編曲したものである。
題名どおり3曲あるが、音は、1曲目(J.C.バッハのピアノソナタ作品5の2から)の2 Andante ト長調 2/4 をお聴きください。
可愛らしさがたまらず好きです。kv107_no_1_in_d_2. Andante (クリック)。

2007年4月26日木曜日

溌剌~モーツァルトを語る 第20弾

Violin 第20弾は、「ヴァイオリンと管弦楽のためのロンド ハ長調 K.373」といこう。

この曲もアントーニオ・ブルネッティと結びついている。1781年の作品だ。ウィーンにある大司教の館での演奏会の為に用意され曲である。映画「アマデウス」でモーツァルトが登場するあの館だ。ちなみに映画で使われている「グラン・パルティータ」は、その3年後が初演だからこの時は、作曲はされていたが演奏はされていない。まあ映画だから許します。
さて編成は、独奏ヴァイオリン、オーボエ、ホルン2、弦5で5分程の曲だ。実に溌剌として聴いていて心も明るくなる。独奏をフルートで演奏されることもしばしばだ。(そのときはニ長調で1音上げている。)出だしは、K465のアレグロの主題によく似ていてさわやかで甘酸っぱい。モーツァルトらしい1曲ではないだろうか。

それでは、聴いて下さい。mozart_k.373 (Grumiaux)(クリック)。

2007年4月15日日曜日

2つ目のアダージョ~モーツァルトを語る 第19弾

K000393 第16弾にて「ヴァイオリン協奏曲 第5番 第二楽章 Adagio」を紹介した。
実は、この第二楽章は、翌年1776年にもう一つ作曲されている。
それが、第19弾「ヴァイオリンのための中間楽章アダージョ ホ長調 K261」である。
もともと先の「イ長調協奏曲」は、ザルツブルク宮廷楽団の楽長であったアントーニオ・ブルネッティのために書かれたのだが、その中間楽章が、ブルネッティにはいささか荷が重いと、急拠新しくこのアダージョを仕上げて入れ替えたものではないか?と言われている。調は同じホ長調、テンポは2/4が4/4へ。オーボエがフルートへと変わっている。弱音器をつけたヴァイオリンと管楽器に先導されて独奏ヴァイオリンが同じ主題を奏して始まる。中間にロ短調の部分があるが、全体におだやかなホ長調の曲調が実に美しい。わずか8分程ですが、美しさに陶然とする時間が流れていきます。

それでは、ちょっと珍しいですが、コンドラシン指揮(モスクワ響)レオニド・コーガン(Vn) 1969年のライブにてお聴きください。mozart_k.261(クリック)。

2007年4月13日金曜日

心を休めよ~モーツァルトを語る 第18弾

991025 第18弾は、「ピアノ協奏曲第15番 変ロ長調 K450」。
なんと名曲揃いのピアノコンチェルトにもかかわらず、第1弾の「17番」第4弾の「20番」、もっとも好きな「23番」以来の登場となった。
1784年、28歳の時の作品だ。この年に、14番から19番までの6曲ものピアノコンチェルトを作曲している。
15番は、映画「アマデウス」で第3楽章が使われている。ザルツブルグから出てきた父レオポルドと再会する前、市場をワイン片手に飲みながら闊歩するシーンに使われているのだ。20番台の円熟した名作群の始まりは、この15番からではないだろうか。シンホニックな調べの確立がなされている。モーツァルト自身もこの15番以降の6曲を「大協奏曲」として以前のコンチェルトと区別している。そしてピアニストとしては、16番とともに「どちらも汗びっしょりになる曲」だと父宛の手紙に書いている。
1楽章、3楽章はなんて軽快にして楽しいのだろう。思わず心が沸き立ってくる。
そして2楽章(11:08あたりから)のやすらぎのメロディー。静かに心を休めるには、この曲が最高だ。

それでは、聴いてください。mozart_15_k.450 (クリック)

2007年4月7日土曜日

奇跡の始まり~モーツァルトを語る 第17弾

20060514_75013 第9弾で、14歳の時の作品 弦楽四重奏曲「ローディー」を、第13弾で10歳の時の作品「教会ソナタ」を紹介したが、第17弾は、もっと前、8歳の時の作品「クラーヴァイアとヴァイオリンのためのソナタ」だ。K6~K9、K10~K15まで10曲ある。
今日は後半6曲について語る。
1764年の秋にロンドンで作曲され、翌年1765年1月18日の日付で英国王妃シャーロットへの献辞を添えて「作品III」として出版された。新全集ではチェロを含めた三重奏曲として分類されている。アインシュタインは、「この6曲がショーベルトやクリスチャン・バッハの影響を受けているものの、一曲ごとにますますモーツァルト自身を示している。モーツァルトは彼の仮のモデルをスプリングボードとして利用する。彼はいっそう高く飛び、いっそう遠くへ達する」と書いている。
これらは、最近ではフルートとともに演奏されることが多い。正しくはK6~K9を「ヴァイオリン声部付クラヴサン・ソナタ」K10~K15を「ヴァイオリンまたはフルート声部付、チェロ助奏自由のクラヴサン・ソナタ」という。クラブサンとは、フランス語「CLAVECIN」で、英語で言うハープシコード、イタリア語でチェンバロのことだ。
音は、K13の第2をお届けします。K14のカリヨン風も面白いし、K15のすでに円熟か?と思わせるメロディーも捨てがたいのですが、やはり8歳にして、心の底から語りかける哀愁のメロディーに惹かれたというこで、此の曲を選びました。

それでは、グリュミオーのヴァイオリンで聴いてください。mozart_k.13 - 2 (クリック)

2007年4月1日日曜日

美しきチェロのアダージョ

Cello_sideview こんな穏やかな春の日には、柔らかなチェロの音が聴きたくなる。
(もっとも寂しい秋の夕暮れもだが)春の日の似合う曲を選ばねば!!。

ハイドン チェロ協奏曲1番2番の緩衝楽章 adagioはどうだろう。かくも美しきチェロの響きを耳にできる喜び。第1番が発見されたのなんと1961年。200年以上も眠っていた曲です。

それでは、2曲ともお聴きください。1- 2.Adagio (クリック)2-2.Adagio(クリック) 。