2017年9月30日土曜日

ブルックナー 交響曲第2番_コンヴィチュニー


今週は、2日間のんびりと音楽に浸りたいと思います。
今日ご紹介の一枚。
ブルックナー 交響曲第2番 ハ短調 WAS.102 (ハース版)、フランツ・コンヴィチュニー:ベルリン放送交響楽団。(1951年録音)。
第1楽章、ヴァイオリンとヴィオラのトレモロ(原始霧)の中からチェロが主題を奏で始めると、それはもうまさしくブルックナー!!トランペットの3連符による信号リズムに、ドロドロとしたティンパニーの連打。大きく盛り上がったかと思うと、静かにティンパニーが3つ。そしてブルックナー休止。ここからチェロによる第2主題の始まりです。このメロディーが美しくて好きでたまらない。
第2楽章、幽玄的なアダージョです。(ハース版はアダージョ)深みのある弦楽群。ブルックナーの中でも純朴な雰囲気が最も濃厚に溢れているアダージョではないだろうか。特に木管群の音彩にそれは表出している。何度も聴くと、とぎれとぎれの後に現れる弦楽の美しさに酔いしれる。
さて最後のホルンの跳躍は、ハース稿の証か。
第3楽章、多重音のスケルツォ。無骨さが際立ち、コンヴィチュニーにピッタリ。バリバリの金管群の分厚い音。中間部の弦楽群の美しさ。そして見事なアンサブル
第四楽章、「運命」の動機を伴うこの楽章の、私の利き所は押し寄せる音の波間に現れる「コントラバス」の低重感。
コンヴィチュニーらしい怒涛の金管群のバリバリ音が聴ける楽しさもある名盤だ。

2017年9月18日月曜日

ドイツ・レクイエム 27


月に1度は聴きたくなるブラームス「ドイツ・レクイエム」シリーズ。第27回目となりました。
1.クレンペラー 2.サバリッシュ 3.ヤルヴィ 4.ジュリーニ 5.セル 6.コルボ 7.アーノンクール 8.ケーゲル 9.ロバート・ショウ 10.アクサンチュス 11.コッホ 12.ヘレヴェッヘ 13.シノーポリ 14.クーベリック 15.バレンボイム 16.レヴァイン 17.ケンペ 18.マゼール 19.アンセルメ 20.クレツキ 21.シューリヒト22.ガーディナー23.ハイティンク24.アバド25.テンシュテット26.メータ
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第27回は、ショルティ:シカゴ交響楽団&合唱団  キリ・テ・カナワ(ソプラノ)ベルント・ヴァイクル(バリトン)<1978年録音>です。
ショルティの印象を覆す極めて有機的で清冽にして敬虔なドイツレクイエムです。それでいて、メリハリも十分でブラームスの編み込んだ音の洪水をオーケストラが見事に表現しています。またコーラスも抜群に上手い。私の中では5本の指に入る名演です。

一番の特徴は、第1曲と終曲。たっぷりとコーラスに歌わせるところは、まるでジュリーニのようです。
第1曲、極めて優しい弦楽の響きの中から神秘的にコーラスが登場します。そしてこの曲の「働くものの涙が喜びにかわる様」を、「慰め」の安らぎをオケ・コーラス共に見事にコンロトールして一体化して表現してくれています。
文句なし!!
第2曲、重苦しい出だしのオーケストラもかなり抑え目で、ティンパニーもまるで山の向こうから聴こえてくるようです。十分に抑えてからのクレッシェンドが効果的です。長調へ転じてからの安らぎ感も卓越。
第3曲、哀歌から希望への歌を、ショルティは独白的ではなく、少しドラマチックに構成している。ヴァイクルの声は、その意図に十分に応えきる繊細さと声力を持ち合わせている。個人的にはもう少し、バランス的に「持続低音のD」が欲しいけど!
第4曲、心安らぐ舞曲。ここでもショルティは、コーラスにたっぷりと歌わせ、オーケストラの強弱が其のコーラスを見事に支えています。この曲で弦楽群の上手さが光ります。
第5曲、ショルティはかなり遅めのテンポを選択。キリ・テ・カナウの「透き通る声をたっぷりと聴きましょう」ということでしょう。悲しみを訴えるというより優しく包み込むような仕上がりにできています。
第6曲、少し早めのテンポです。復活と再生の場をドラマチックに進行してゆきます。さすが、ショルティ!オペラのようです。金管群の抑制された統一感。
それでいて効果的な響き、さすがシカゴ響です。
大フーガもキビキビとしており、(出だしのアルト上手い!!)クライマックにむけ、Selig動機出現から変化してゆく、力強さ、華麗さ、優美さを見事に表現。素晴らしい賛歌です!
第7曲。出だしのソプラノが惜しい!ショルティは、この終曲に15分近くかけています。ブラームスの命題である「報いと救い」。かなりじっくりとコーラス群に歌わせることで、敬虔で静謐な終曲を構成しています。
すばらしい演奏です。