2007年10月27日土曜日

2007年10月25日木曜日

渾身の調性 ~ モーツァルトを語る 第35弾

第35弾は、ウィーン四重奏曲第6番目の曲「弦楽四重奏曲第13番 ニ短調 K173」である。
先に紹介した15番と同じ調性である。ト短調は、モーツァルトにとって「宿命の調性」と謂われる。
ニ短調は、勝手に「渾身の調性」と呼びたい。
このK173に始まり、K341(キリエ)、K421(弦楽四重奏曲 第15番)、K466(ピアノ協奏曲第20番)、K621(レクイエム)がそれだ。さてK173だが、1773年の作品であるが、これ以降10年弱、彼は「弦楽四重奏曲」を封印しているのも興味深い。少年モーツァルトは、未だ我がフーガ、ハイドンの域に達せずと封印したのだろうか??
さて第一楽章は、アマデウスのテーマとも言うべき三度の装飾音を伴う下降音で始まる。
そしてオクターブ上のシンコペーションで我々は、モーツァルトの内面の悲しみを知る。その後に続く力強い反転上昇。そこに若きモーツァルトの悲しみを打ち破る強い意志を覗きみる。(ちなみに最初の4小節、これは「魔法の笛」のパミーナのアリア で見つけることができる。)まさに「渾身」。
しかしこれだけでは終らない。第4楽章のフーガがまた魅力的だ。チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリン、第1ヴァイオリンが半音で下降しながら順番に登場し絡み合う。そして最後はなんとニ長調の和音で終るのだ。さして複雑ではないこのフーガの恰好よさのため一度聴くといつも何度も何度も繰り返して聴いてしまう私がそこにいるのです。

それでは、お聴きください。
mozart_13_k.173 (クリック)。

2007年10月10日水曜日

第2ヴァイオリンだって ~ モーツァルトを語る 第34弾

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第34弾はウィーン四重奏曲から「弦楽四重奏曲 第10番 ハ長調 K.170」をとりあげよう。
敬愛するKenさんも好きな曲だ。第1楽章に変奏曲が使われている珍しい曲である。モーツァルトが崇拝する、かのハイドン先生の影響をもろに受けているといわれているこの時代のモーツァルトの四重奏曲の3曲目の曲です。私が好きなのは、第3楽章(Un poco Adagio)だ。
冒頭の第1ヴァイオリンはなんて美しいのだろう。そしてそれにもまして、提示部から展開部へのヴィオラと第2ヴァイオリンのソロ。そして再び第1ヴァイオリンへ引き継がれる哀愁を帯びたメロディーライン。伴奏へ移った第2ヴァイオリンの何気ない1回だけの3度のハモリ(36・37小節目)。もう降参です。

それでは、聴いてください。
_k.170 (ウィーン四重奏曲3).mp3(クリック)

2007年10月6日土曜日

優雅に ~モーツァルトを語る 第33弾

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結構披露宴に参加したので、そんな場面にピッタリ曲を第33弾に選ぼう。
「セレナーデ 第6番 ニ長調 K239  セレナータ・ノットゥルナ」である。
モーツァルト二十歳の時の作品である。この曲は、バロック時代の合奏協奏曲のようで、3つの楽章からなる。ティンパニーの登場が特徴的だ。アインシュタインも「音の響きと旋律の点で、モーツァルト初期の作品中最も魅惑的な曲である」とやはり高く評価している。約12分と短い曲であるが、今日は、その中で最も祝宴にあいそうな第二楽章を紹介する。

それでは聴いてください。
_k.239 'Serenata Notturna' 2. Menuetto - Trio(クリック)