2017年10月21日土曜日

ドイツ・レクイエム 28

月に1度は聴きたくなるブラームス「ドイツ・レクイエム」シリーズ。第28回。
1.クレンペラー 2.サバリッシュ 3.ヤルヴィ 4.ジュリーニ 5.セル 6.コルボ 7.アーノンクール 8.ケーゲル 9.ロバート・ショウ 10.アクサンチュス 11.コッホ 12.ヘレヴェッヘ 13.シノーポリ 14.クーベリック 15.バレンボイム 16.レヴァイン 17.ケンペ 18.マゼール 19.アンセルメ 20.クレツキ 21.シューリヒト22.ガーディナー23.ハイティンク24.アバド25.テンシュテット26.メータ27.ショルティ
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第28回は、ブロムシュテット;サンフランシスコ交響楽団&合唱団、エリザベス・ノルベルイ=シュルツ(S)ヴォルフガング・ホルツマイアー(Br) <1993年録音>です。
ブロムシュテットは、ドイツレクイエムを得意としているのか、好きなのか度々演奏しています。来月、ゲヴァントハウス管での日本公演も予定されている。CD化されているのは、この演奏だけである。(CD-Rでのデンマーク放送交響楽団との演奏あり)
第1曲、冒頭低減を抑えめにしてメロディーラインを際立たせて始まる。テンポはゆっくり目、非常に清廉な面持ちでのコーラスの入り。たっぷりと柔らかく。ブロムシュテットらしく、木管の際立たせ方は、抜群。
第2曲、決してドラマチックな情緒性を持たず、起伏のある部分においても粗野にならず極めて謹厳なる演奏といえよう。
イザヤ書35章、アレグロ部においてもそれは変わらない。確たる刻みの中で、コーラスが歌い上げてゆく。
第3曲、ホルツマイヤーの声は、実に艶っぽい。ソロのモノローグをコーラス部の模倣によって徐々に緊迫感を高めてゆく様が見事。フーガでは、持続低音Dの地響きを明確に唸らせながら速めのテンポで、フォルテまで突き進んでいきます。
第4曲、心安らぐ舞曲。コーラスを優しく包み込むようなオーケストラ。二重フガートは、歯切れよく。
第5曲、ノルベルイ=シュルツの歌声は、深みがある。ゆっくりとしたテンポの中、悲しみと慰めを滔々と。
第6曲、テンポは、中庸、冒頭より少し抑制気味に、「Hölle, wo ist dein Sieg?」へ向けてのスフォルツァントも全く感情的にならず、むしろ淡々と管打とコーラスを推し進めてゆく。
大フーガも、少しも前のめりにはならず、ゆったりと始まり規律正しく。ブロムシュテットは、粗野になることを極めて嫌い、あくまでも気高さを強調しているようだ。


2017年10月15日日曜日

ブラームス ピアノ小品集_ルプー

本日は、雨につき自宅でまったり。男子ゴルフ「日本オープン」をテレビで観戦のあと、ラドゥ・ルプーでブラームスの ピアノ小品集を聴いている。秋の雨に日には、勿論ヴァイオリン・ソナタ1番もいいけど、3つの間奏曲 Op.117もGoodです。
カーゾン、カッチェン、アファナシエフと手持ちがありますが、今日は、ルプーで。
透明感のある情緒的な曲を透明感のあるルプーの音で聴くとより効果的だ。


2017年10月1日日曜日

モーツァルト ピアノ協奏曲第19番_ハイドシェック


今日の一枚。名だたるピアノコンチェルト群におかげで、あまり紹介されたり演奏されたりしない、モーツァルト ピアノ協奏曲第19番 ヘ長調 K.459。
ハイドシェック+グラーフ:ザルツブルグ・モーツァルテウム管弦楽団(1993年録音)で。
ハイドシェックには、1960年代のヴァンデルノートとの20番台以降の溌剌とした演奏があるが、今日は、円熟50歳代の選集から19番をご紹介。
この19番は、26番「戴冠式」とともに、1790年のレオポルト2世の戴冠式を祝して催された演奏会で演奏されたことで「第二戴冠式」と呼ばれている。実は、トランペット、ティンパニーのパート譜が紛失しており、今では聴くことができないといわれている。しかしヘ長調作品にトラッペット・ティンパニーは使用していなので、それも怪しいとの説もある。
第1楽章、快活なリズムに乗って展開する。これはご存知16番以降すべて同じリズムである。19番は5度の跳躍により少しテンション高く駆け抜けていく感じ。ハイドシェックのピアノも飛び跳ねるように、転げまわるように展開してゆく。
第2楽章、モーツァルトには珍しい8分の6拍子の緩徐楽章である。これは、交響曲の31番「パリ」38番「プラハ」くらいしか思いつかない。ピアノと木管との掛け合いの美しいメロディ。
第3楽章、これがまた面白い構成なのである。ピアノで始まる第1主題が終わっ高と思うと、突然にフガートが開始する。しかも低音から開始し、高音が重なっていく二重フガートへ。単なる軽快な曲と思ったのが、いきなり荘重な曲に変化してゆくのである。ハイドシェックは、やはり一音一音がキラキラしていて切れ味があります。
19番と言えば、ハスキル:フリッチャイだろうという方(自分)もいるかと思われますが、今日は、ハイドシェックで楽しみました。