2016年5月29日日曜日

ドイツ・レクイエム 10

月に一度は聴きたくなる「ブラームス ドイツレクイエム」シリーズ。今朝は、Accentus(ロンドン版:2台のピアノ伴奏)で。
ピアノは、ブリジット・エンゲラーとボリス・ベレゾフスキー。
ピアノヴァージョンは、優しさと穏やかさに満たされ、これはこれで十分すぎるかも知れない。
アクサンチュス室内合唱団(Accentus)を率いる女流合唱指揮者:ロランス・エキルベイは、スウェーデンのエリック・エリクソンに師事し、またアーノンクールの助手も務めていたという。
さすがに、合唱は素晴らしい。特にソプラノは優しく美しい。バリトンのステファン・デグーもいい声だ。第5曲 ソプラノ:ピオーの伸びのある歌声も秀逸です。透明な歌声が響き渡る教会に独り座っているようなそんな癒された気分になる。重厚さやオケ版による音の広がりは求めてはいけない。しかし、鎮魂という意味でこの演奏は、十分価値ある一枚ではなかろうか。

2016年5月27日金曜日

マーラー 「大地の歌」_クレツキ

今日の一枚。マーラー 交響曲「大地の歌」。パウル・クレツキ:フィルハーモニア管弦楽団。(1959年録音)ディッキー(テノール)フィッシャー・ディスカウ(バリトン)。
バーンスタイン盤よりも7年前の若きフィッシャー・ディスカウの柔らかな歌声が聴けます。
ホーレンシュタイン盤とこのクレツキ盤がお気に入りである。
爽快感あふれ、彫の深い演奏です。

2016年5月21日土曜日

マーラー 交響曲第5番_ショルティ

21時前から書斎の椅子で寝てしまい、こんな時間の目が冴えてしまっている。
今朝・・とは言い難いが、敢えていつものように今朝の一枚。マーラー 交響曲第5番嬰ハ短調 ショルティ:シカゴ交響楽団(1970年録音)。ベタですが、やはりいい物はいい。5番と8番のショルティ:シカゴは、ある意味圧倒的であり、ベスト3には入れざるえないか。
なにしろ冒頭のアドルフ・ハーゼスの快音から引き込まれる。この時代のシカゴのブラス・セッションはとにかく驚嘆ものである。ハーゼス、クレヴェンジャー、フリードマン・ジェイコブスなど綺羅星の如くだ。

2016年5月13日金曜日

ブラームス ヴァイオリン協奏曲_グリュミオー

連休後の1週間は長かった気がします。
今夜は、ブラームス ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.77 を無性に聴きたくなる。グリュミオー(Vn) ベイヌム:コンセルトヘボウ管弦楽団(1958年録音)。
やはりグリュミオーの音は美しく、コクがある。濃厚だが穏やかさをもつヴァイオリンの調べとベイヌムの軽やかにして芯のある伴奏。コンセルトヘボウ管のこの時代の管楽器類の素晴らしさが惜しげもなく聴けるのも嬉しい。
第二楽章 Adagio、たまりませんね。
オーボエ協奏曲ともいえる出だしの魅惑的な主題にうっとり。中間部のヴァイオリンの切なく訴えかけるコロラトゥーラのアリアも美しい。
第三楽章、グリュミオーの音を聴いているとこの曲が難曲とは思えないほどの余裕と安定感。それを支えるコンセルトヘボウの弦・管ともに壮麗にして一体感のある響き。
グッド・チョイスでした。

2016年5月8日日曜日

モーツァルト ピアノ協奏曲12番&18番_リリー・クラウス

今日でGWも終わりですね。
今朝の一枚。モーツァルト ピアノ協奏曲第12番 イ長調 K.414 &18番 変ロ長調 K.456です。
モーツァルトの女流ピアノスト言えば、まずクララ・ハスキル そしてリリー・クラウスの名前が出てくることでしょう。
今朝は、ハスキルに後れること8年後に生まれたハンガリー人(国籍はオーストリア)のリリー・クラウスとピエール・モントゥー:ボストン交響楽団との演奏で楽しみます。
実は、リリー・クラウスはヴァイオリニストのシモン・ゴールドベルクとの演奏旅行中の1942年 ジャワ島で終戦まで、日本軍の捕虜となっています。当時の今村均司令官はクラウス一家を丁重に扱ったと言われています。「抑留された西洋人、また捕虜の慰安の為、慈善演奏会を開いて欲しい。」今村均司令官の、この申し出をクラウスは喜んで受けました。今村均と言う軍人の寛容で人間味を感じさせるエピソードは多いのですが、これもその一つに数えられるでしょう。クラウスは、後年1963年に日本でリサイタルを行っています。クラウスはジャワ島での体験について、日本を批判する言葉を生涯発していません。「戦争の悲惨な体験によって地獄を知った分、天国の素晴らしさを音楽で歌えるようになりました。」「抑留を強いられた中でも、親切にしてくれた日本人がいました。私は日本に悪感情を持ったことなど一度もありません。」「今、神の恵みで、過去の暗い雲は取り払われ、私はあなた方の国に再び戻る期待で、深く喜ばしい感動に満たされております。」と<多胡吉郎著「リリー・モーツアルトを弾いて下さい」河出書房新社より>
さて、ピアノソナタで一世を風靡したクラウスですが、コンチェルトでは、さほど恵まれた演奏を録音されていません。結構、今では無名の指揮者やオーケストラの録音が残っていますが。
しかし当CDでは、かのピエール・モントゥーとの躍動感のあるピカピカの演奏を聴かせてくれています。粒だつような透明な響き、モントゥーに引っ張られて力強く刻むリズムの弾む音、弱音の可愛いらしさ、魅力いっぱいです。
12番は、ウィーンに引っ越しが決まったばかりのモーツァルトが作った曲ですから、第1楽章はその新天地でのウキウキ感が表現されウィーンらしい甘く柔らかで優雅な曲想のアレグロです。
第2楽章アンダンテは、安らぎに満ちたパッセージが流れますが、当年1月に亡くなったクリスティャン・バッハのオペラ「誠意の災い」序曲が主題に借用されているのです。その死を悼んでの事と推察できます。中間部での短調がその悲しみを表現しています。
第3楽章アレグレットは、流れるようなアルペジオとトリルが魅力の軽快なロンドです。12番を堪能できる1枚です。
18番は、何といっても緩徐楽章ですね。変ロ長調の平行移調であるト短調で書かれています。「フィガロの結婚」でバルバリーナが歌う「カヴァティーナ」に似た主題を含む5つの変奏曲から構成されています。切なくも暗い序奏に続く、ピアノのソロ。短調と長調を彷徨いながら展開する変奏曲の妙はモーツァルトならではです。
クラウスのピアノが一番発揮されている楽章でもあります。
かなり長くなりましたネ。今朝も有難う「モーツァルト」であります。

2016年5月2日月曜日

ドイツ・レクイエム 9

明日より昨年に続き「GW:北海道」へ出かけますが、その前に、またまた月に1度は聴きたくなるブラームス「ドイツ・レクイエム」シリーズです。(この曲どんだけ持ってんねん!!)
今夜は、ロバート・ショウ:アトランタso. & cho. オジェー(S)スティルウェル(Br) 【1983年録音】で。
さすが、ショウだけにコーラスとオーケストラが絶妙に溶け込む見事なバランス。コーラスは勿論上手い。透明感のある音色。第6曲、ヨハネ黙示録4章による大フーガは、力強く!!しかし決して乱暴にならず優美。圧倒的な「讃歌」といえるだろう。