2022年7月24日日曜日

メンデルスゾーン 交響曲第3番「スコットランド」_ドラティ

 ドラティといえば、私には同じくMercury盤の「1812年序曲」が最も印象的だが、このメンデルスゾーン 交響曲第3番イ短調 Op.56 『スコットランド』(ロンドン交響楽団;1956年録音)も男気ドラティの真骨頂!快速に進む主部の1楽章、たっぷりと情感を膨らませ、強弱や旋律線のニュアンスを細やかに謳いあげる3楽章。4楽章も、クライマックスの清々しさとスケール感を伴い堂々たるテンポで締め括ってくれる。ちなみに第2楽章のメロディが有名なスコットランド民謡的な「ヨナ抜き」の「ドレミソミレドレ」。「ヨナ抜き」好きな日本人にはたまらないかもしれない。



2022年7月16日土曜日

ベートーヴェン チェロソナタ全集_ヤニグロ・デムス

 ヴァンガードの名盤からヤニグロ、デムス 「ベートーヴェン チェロソナタ全集」を聴く。(1964年録音)。その品格ある演奏は、フルニエにもひけをとらない。しなやかで艶のある伸び、1音1音を大事に、決して気てらったりしない生真面目さ。若きデムス(当時35歳)のピアノも歌い過ぎず、終始品格の高い音楽に満ちている。カザルスに認められエコール・ノルマル音楽院の親友ディラン・アレクサニアンに推薦され師事した。アレクサニアンは、何を隠そうフルニエの師でもある。



2022年5月7日土曜日

モーツァルト ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲_セル

 モーツァルト ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K.364(K6. 320d)。セル、クリーブランド管弦楽団、(Vn):ラファエル・ドルイアン、(Va):エイブラハム・スカーニック<1963年録音>にて聴く。クリーブランド管のコンサートマスターと主席ヴァイオリニストだった2人を独奏に置き、息ぴったりの演奏。白眉の第2楽章、セルの出だしのテンポは極めてゆったり、独唱部分は、古めかしい録音もあってか、かえって幽玄的な雰囲気を醸し出す。2人の音のバランスの良さが際立つ。

音色も名だたるヴァイオリニストと決して引けを取らない。特に、スカーニックの技術はたいしたもんだ。3楽章は、少し早めのテンポのセル、クリーブランド管の一糸乱れぬアンサンブルは聴きごたえがあるなあ。

2022年3月12日土曜日

モーツァルト ピアノ三重奏曲集_ズスケ

 春の陽気に誘われて聴くは、モーツァルト ピアノ三重奏曲集(1-6)ズスケ(V)オルベルツ(P)プフェンダー(VC)【1988-89年:ドレスデン協会 録音】。ズスケが、旧東ドイツの面々、ズスケ四重奏団でチェロのパートを支えていたプフェンダー、無名ながらマニアにはハイドンのピアノソナタ全集で有名なモーツァルト・ヴァイオリンソナタ全集で共演しているオルベルツを従えての名盤。モーツアルトのピアノ三重奏曲6曲はすべて「長調」。どこまでも優しくそよ風のような軽やかで優雅な響き。

(ちなみに、モーツァルトには、もう1曲ピアノ三重奏協奏曲ニ短調KV.442がある。しかし未完でスタドラーが加筆している作品。こちらの名盤は、ボスコフスキー、リリークラウス、スコラス・ヒューブナー)


2022年2月5日土曜日

ブラームス 交響曲第2番_ビーチャム

今日の一曲は、久々のブラームス 交響曲第2番ニ長調OP.73。トーマス・ビーチャム、ロイヤルフィル。<録音1958,59年>。
AmazonPrimeで見つけました。噂にたがわぬ名演。冒頭から清々しい音質。特に木管群は秀逸。第2楽章のチェロの旋律は、情念っぽさがなく、あくまで淡々、ホルンと木管の掛け合いはこってりと。3楽章のオーボエの牧歌的な優しさは、この上ない。終楽章、冒頭トゥッティ後のアンサブルの乱れもなく、ロイヤルフィルとビーチャムの積年の手兵ぶりが見てとれる。コーダも変にアッチェランドせず堂々と駆け抜ける王道ぶり。久々に良き2番に巡り合えました。


2022年1月29日土曜日

シューベルト ピアノソナタ20番・21番_ツィメルマン

 今日の一枚。シューベルト ピアノソナタ D959,D960。クリスチャン・ツィメルマンの25年ぶりの2016年、日本公演を終えた後に、新潟の「柏崎市文化会館アルフォーレ」で録音したという。ピアノは、もちろん持ち込みのスタンウェイ。(高崎のスタウェイセンターにあるらしい)当該ホールは、永田音響設計によるもの。ツィメルマンは、故郷、ポーランドのカトビッツェ市の新ホール設計に携わっているが、ポーランドの40歳台の若手建築家コニール氏と永田音響設計の豊田泰久氏とのコンビにより完成させている。さて、中部沖大地震時にツィメルマンはすぐさま柏崎でのチャリティーコンサート開催を決めたが、体調不良のために中止を余儀なくされた。1年後、自腹で日本を訪れ、「中越沖地震1周年復興祈念コンサート」に出演し、柏崎市に100万円を寄付もしている。復興のシンボルとして建てられた柏崎市文化会館アルフォーレでリサイタルを行い、なお6日間滞在録音までおこなったのは、そういった意味深さがある。演奏は、デモーニッシュな部分はいささかもなく、柔らかく美しいシューベルト。時折見せる、憂鬱さや切迫感もツィメルマンならではの敬虔さと洗練さを感じる。



2021年12月27日月曜日

ベートーヴェン 交響曲第9番_テントシュテット

 今週は、かみさんが実家に帰省しているので只今大音量にて「第九」を聴いています。テンシュテット;ロンドンフィルハーモニー管弦楽団&合唱団、S)マリアンネ・へガンダー、A)アルフレーダ・ホジソン、T)ロバート・ティアー、Bs)グウィン・ハウエル(1985年9月13日、ロイヤルアルバートホール ライヴ録音)。テンシュテットが喉頭がんの告知を受ける1か月前のライブ演奏と言うことになる。テンシュテットには,しばらくベートーヴェンの第9の正規レコーディングはなく,BBSレジェンドが,2001年にこのテンシュテットの第九を発表した。

テンシュテットらしい、緊張感のあるスリリングな演奏だ。第1楽章、特に速いわけではないのだが、重戦車のように進んでいき、まさにテンシュテットらしい高揚感溢れる堂々たる演奏。第2楽章は快速だ!テンシュテットの煽りにさすがのロンドンフィルもついていけない。しかし、逆に観客には異様な緊張感の11分間であったものと思われる。楽章終了後の鬼のような咳払い、どんだけ皆、息を飲んでいたのだ。第3楽章は、懐の深い静謐な演奏。白眉は、何と言っても終楽章か。冒頭から再び重戦車が風の如く進んでいく。歓喜の爆発!!への助走とはかくなるものか。そして初めて現れる歓喜のメロディは爽快な運び。バリトンのグウィン・ハウエルは、堂々たる声量。圧巻のコーダ。このエンディング1990年シカゴ響との「巨人」の思い出してしまった。




2021年12月25日土曜日

サン=サーンス クリスマス・オラトリオ

 「クリスマス・オラトリオ」はバッハだけじゃないよ。サン=サーンスの「クリスマス・オラトリオ」が超絶いいんだよ。オルガンに始まり弦楽群が引継ぐ序奏を聴いただけで、その美しさに心が奪われるだろう。{Oratorio De Noel Op.12}アンデシュ・エビ(指揮)ミカエリ室内合唱団、【録音:1981年 ストックホルム,聖ヨハネ教会】。白眉は、4曲目「 Air and chorus: “Domine, ego credidi,” 」。テナーの優しい歌声と女性コーラス。そして7曲目。ハープが登場するよ。ここでの3重奏の美しさは筆舌に尽くしがたいものがあるよ。クリスマスの夜にこんな優しい曲に触れてみるのも乙なものです。



2021年12月15日水曜日

ブルックナー 「モテット集」_ガーディナー

 夕食までのひと時、ガーディナーと彼の手兵モンテヴェルディ合唱団によるブルックナー「モテット集」5曲を聴く。『アヴェ・マリア』『マリアよ、あなたはことごとく美しく』『この所を作り給うたのは神である』『正しい者の口は』『キリストはおのれを低くして』。いずれも美しい名曲ばかり。

ガーディナーは、そもそも合唱指揮者あがり。フレージングとアーティキュレーションが精密に統一され、見事なアンサンブルを形成しているなぁ。モンテヴェルディ合唱団は、ソプラノも美しいが、何度聴いてもベースがピカ一にいいなぁ。


2021年12月6日月曜日

ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲_シェリング

贅沢な2枚組の中からベートーヴェン。シェリング(V)イッセルシュテット(C)ロンドン交響楽団<録音:1965年>によるヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.61を聴こう。このシェリング2度目の録音は、名盤中の名盤。端正で気品ある正統派ベートヴェン。カデンツァは、めずらしく1楽章がクライスラーではなくヨアヒム、3楽章がフレッシュ。イッセルシュテットの伴奏は重厚でありディナーミクが大きく深みのある演奏。圧巻は第2楽章、渋みのある弦楽群の序奏、ホルンが優しく歌うと、シェリングが美音を飛ばしながら応える。凛とした美しさとはこのことか。


2021年11月28日日曜日

BIS盤「バイロイトの第九」

 予約しておいたBIS盤のフルトヴェングラー「バイロイトの第九」届きました。track1は、ウェルカム・アナウンスメント、track2が、プログラム・アナウンスメントで、track3から演奏が始まります。当日のほぼノーカットの実演の全貌が収録されているのは間違いない。ただし、センター盤(バイエルン放送局所蔵)も当日実演奏盤で同じであることが分かりました。



2021年11月6日土曜日

モーツァルト レクイエム_ムーティ

 大学時代の旧友H氏のfacebookでのベルディ「レクイエム」ムティ、バイエルン放送響の投稿につられ、ムーティには、その実力が突き抜けてしまったモツレクの名演があるやん!ということで、モーツァルト「レクイエム ニ短調 K.626」【1987年録音】を聴く。 80年代は、サビーネ・マイヤー事件(1982)を機に険悪・修復不可能となったカラヤンへのベルリンフィルの腹いせで、アバドが1990年に後任となるまでの期間、候補と言われた指揮者たちとの演奏で実に超名演が多い。その中でもムーティ「モツレク」は、エリクソンが合唱指揮をとる「スウェーデン放送合唱団&「ストックホルム室内合唱団」という現代最高の合唱団をすえ、ソリスト陣は、ソプラノが「フィガロ」バルバリーナ役でムーティ、ウィンフィルと競演した透明感溢れるパトリシア・パーチェ、メゾ・ソプラノとバスは、ワグナー歌手としてのし上がるヴァルトラウト・マイヤー、ジェームス・モリス、テノールが高らかな歌声のオペラ歌手フランク・ロパードと一級品を揃え、重厚なベルリンフィルの弦楽群のもと厳粛でいて「美しい」響きの超名演を繰りひろげている。ムーティはこれ以降「モツレク」を録音しなかったのはうなずける。勿論、おまけの「アヴェ・ヴェルム・コルプス k.618」の世界最高演奏も忘れてはならない。



2021年10月23日土曜日

ブルックナー 弦楽五重奏曲_ラルキブテッリ

 ブルックナー 弦楽五重奏曲ヘ長調WAB.112を聴く。ラルキブデッリで(録音:1993年)。ガット弦が妙に透明感があり意外にブルックナーに合っていて驚き。究極の美しさを持つAdagioのしっとり感も2年前に亡くなったアンナー・ビルスマのチェロが効いていて深みのある演奏。



2021年10月10日日曜日

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第3番_リヒター=ハーザー

 久々にベートーヴェン ピアノ協奏曲を聴く。ピアノ協奏曲第3番ハ短調OP.37、リヒター=ハーザー、ジュリーニ;フィルハーモニー管弦楽団(1963年録音)。4番ほどの革新性はみられない3番は、古典的なスタイル、第1楽章、ハ短調 アレグロ・コン・ブリオは、あの「運命」と同じで、先んじて使われている。自らの耳の疾患への逆境に強い意志で立ち向かうといった精神性あふれる曲性。第2楽章、ホ長調ラルゴは、ピアノ協奏曲中1番美しい祈りの音楽。低弦の支えの中を飛び回る様に戯れるピアノが印象的で大好きだ。第3楽章、ハ短調-ハ長調 モルト・アレグロは、型通りのロンド形式、オーケストラのトゥッティ、ピアノのプレスティッシモの華麗なパッセージ後に現れるコーダのスピード感は堪らない。リヒター=ハーザーは、堅牢にしてある時は、リリカル。骨太の音の中に華やかさをもつ稀有なピアニスト。第2楽章に見せる深い陰翳を宿した響きはハーザーの心の奥底に眠る色気を感じる。ジュリーニは重厚でいつも通り男気溢れる伴奏。しかし、時より見せる抒情性につい耳が行ってしまう。というわけで60年代の隠れた名盤としたい。


2021年9月26日日曜日

フォーレ レクイエム_アンセルメ

 フォーレ「レクイエム OP.48」アンセルメ;スイス・ロマンド管弦楽団 トゥール・ド・ペイルス合唱団 ジェラール・スゼー(Br)  シュザンヌ・ダンコ(S)<1955年1月録音>を聴く。何故、アンセルメはこのド素人合唱団で録音したのか謎の一枚。それにしてもテナーは酷すぎる。しかし、バリトンのジェラール・スゼー!!がとてつもなくいいのだ。彼の声を聴くだけで十分に聴く価値のある一枚。



2021年8月29日日曜日

メンデルスゾーン 交響曲第5番「宗教改革」_マゼール

 今日の1曲は、メンデルスゾーン交響曲第5番ニ短調「宗教改革」、マゼール;BPO<1961年録音>。

この曲の厳かな序奏部、弦楽器による「ドレスデン・アーメン」を聴くたびに何故か胸が熱くなる。決然とした第1主題!伸びやかな旋律の第二主題!展開部ではフガート的なその旋律を疾風怒濤の如く快速で走り抜けるマゼールの棒。再現部では、「ドレスデン・アーメン」が何気に現れ、低重心で全奏の第1主題で幕を閉じる。第2楽章、何と優雅なスケルツォ。遠くでホルンのファンファーレ。トリオは流麗で美しい。やはりマゼールの3拍子は格別だ。
第3楽章、わずか54小節の短い楽章ながら、1stヴァイオリンの物悲しい旋律に狂おしさを感じずにおれない。フルートの切ない響きも手伝っ心に染み入る哀切。終楽章のつなぎとは思えないメンデルスゾーン旋律。終楽章、フルートによるルター作曲のコラール「神は我がやぐら」。カールハインツ・ツェラーのフルートは魅力的な音。他の木管も加わり美しく音場が広がっていき、金管が加わると神々しささえ響いてくる。vivaceのブリッジを経て、maestosoのニ長調Allegro。壮麗な第1主題と軽やかな第2主題。弦楽器のフガートの上に管楽器によるコラール旋律が奏されると、もはや誰もが音階の昇華を待ち望むであろう。コーダでは、コラール主題が全奏で力強く現れ、改革の勝利を表すかの如く雄雄しい響きをもって賛美歌「神は我がやぐら」を歌い上げる。マゼールのテンポは確かに速い。しかし活力に溢れ、深みもある名演ではないかと思っております。

2021年8月27日金曜日

ハイドン スターバト・マーテル_ピノック

 ちょっと渋いですが、ハイドン「スターバト・マーテル ト短調 Hob XXbis」を視聴。ピノック(C) イングリッシュ・コンサート &コーラス<1989年録音:オール・セインツ教会>。編成は、オーボエ2(コーラングレ持ちかえ:2曲10曲)、弦楽、オルガン。どことなくペルコレージの風味を感じさせる短調、優美さと晴れやかさ兼ね備えた長調。6曲目(テノール独唱)、どことなくモツレクの基となる音階を感じる。8曲目、Sancta Materは、美しい曲。9曲目、Fac me vere のアルト独唱は、哀切の「白眉」。11曲目、Flammis orci ne succendarは、バス独唱は、疾風怒濤。13曲目、Quando corpusのアルトとソプラノの独唱は、やはりペルコレージを彷彿させる。終曲、Paradisi gloriaは、打って変わって華やかなアーメンコーラス、かなり異質な終わりを迎える。



2021年8月19日木曜日

モーツァルト ハイドン・セット_エマーソン弦楽四重奏団

 モーツァルト 「ハイドンセット」弦楽四重奏曲14番-19番、エマーソン弦楽四重奏団(1988-1991年録音)を聴く。

弦楽四重奏曲を本格的に聴きだしたのは、このエマーソン弦楽四重奏団のハイドン「十字架上のキリストの最後の7つの言葉」【2002年録音】の弦楽四重奏版のCDを購入したのがきっかけでした。さて、ハイドンがモーツァルトに及ぼした影響は大きく、「ハイドンセット」は、1785年1月15日と2月12日に、ハイドンをウィーンの自宅に招き、これらの新曲を披露し献呈した。モーツァルト自身がヴィオラを担当したとも言われている。最初に魅了されたのは、何と言っても14番第4楽章。複数のフガートが重なる時の立体感。もはや弦楽四重奏であることを忘れさせてくれる壮大な音楽。「ジュピター」の登場のはるか前に、フーガとソナタ形式の見事な統合を完成せしめていたのだ。そして、ベートーヴェンが愛してやまない18番。モーツァルトオタクのベンちゃん、彼の弦楽四重奏曲5番が凄い。イ長調の調選択、両端楽章にソナタ形式を置き中間部にメヌエットと変奏曲、そのコーダの規則的なチェロの歩み、1楽章の6/8拍子からの逸脱、終楽章副主題の類似などなど共通項のオンパレード。どこまでオタクやねん って話し。エマーソンは、ある時は陰影に富み、またある時は軽やかに。ヴィブラートを効かせた起伏に富んだ表情によってふくよかな音像を紡ぐため、モーツァルト独特の柔らかい風合いが心地よい。ピュアな音色、やや硬めに厳格なリズムの刻みなど、現代音楽が得意と評されいるが、モーツァルトに十二分に合っていると思っている。


2021年8月8日日曜日

ブラームス ドイツレクイエム 40

 ドイツ・レクイエムを聴く。40

ヘルムート・リリンク(C)シュトゥットガルト・ゲッヒンゲン聖歌隊、シュトゥットガルト・バッハ・コレギウム 、ドナ・ブラウン(ソプラノ)ジル・カシュマイユ(バリトン)聴く。名盤復活シリーズ!1991年に録音し現在では入手が難しくなってしまった名盤の再発売CDです。宗教曲の合唱指揮者としても名高いリリングならではの各パート、声部まできめ細かな解釈が魅力の演奏。1曲目、冒頭かなりゆったりとしたテンポの中でコーラスを馥郁と歌わせる。重さ暗さの面は一切ない。只々美しく「祝福されたるは・・慰められるのですから。」と奏でてゆく。コーラスも力みなくリリンクの解釈に沿って歌いこなす。第2曲、起伏を伴って始まるオーケストラに暗さはなく、ただ重い足取りを表現するかのような出だし、繰り返しに力強さを増し訴えかけるような表現へと変貌する。長調へ転じた75小節からは、暖かさに満ちた歌声とともに軽やかさが加わり、前節との対比をうまく表現する。
198小節、「Aber des Herrn Wort」も、力みもなくすっと謳いあげ少しゆっくり目のアレグロへ。嬉々としたコーラス群の上手さが光る賛歌。第3曲、カシュマイユ(バリトン)の声は、包容力のあるいい声。模倣するコーラスは、前面に出ずに影絵のような存在。「Nun Herr, wes soll ich mich trösten?」からは、緊張をたかめつつ、コーラスの面白さをうまく表現している。そしてフーガ。その壮麗さを頑張って歌ってくれた。第4曲、その舞曲は、一時の清涼剤が如く。流れような表彰の違いを巧みにこなす。ハープの刻みが印象的。第5曲、ブラウン(ソプラノ)の声は、伸びのあるいい声だが個人的にはもう少し憂いを・・・第6曲、スフォルツァンドへの展開は少し迫力に欠けるが。大好きな大フーガ前の七色のコーラス変化は美しい。大フーガのアルトの入りは落ち着いた入りでOK。テーノルのカンカンさはカッコいい。ベースの落ちつきも締りをつける。ソプラノが時々声に硬さが見られるのは致し方なしか。全体的には圧倒的な賛歌にふさわしいコーラスぶりを発揮。終曲、テンポは比較的ゆったり目で、最後まで祝福と慰めをしっかりと謳わせたいリリンクの解釈か。個人的にはかなり評価の高い名盤の一つとしたい。






2021年7月11日日曜日

マーラー 交響曲第5番_ガッティ

 朝からガッツリ。マーラー 交響曲第5番 嬰ハ短調、ダニエレ・ガッティ;ロイヤルフィルハーモニー【1997年録音】を聴く。「クセがつよーい!」第1楽章、鋭いトラッペットのファンファーレの後、極めて重い足取りの葬送行進曲。一転トリオからは激しくテンポを揺らしながら流動的に。木管による主題に移るとゆったりと。第2トリオの弦楽群は引きずるような節回し。第2楽章、高速のテンポで入り、チェロのユニゾン(第2主題)は、弱音の効いた淡々とした歌いまわし。終わりの金管のコラールは、癖のあるアクセント。第3楽章、緩徐部分に繊細さを感じる。第4楽章、甘さほどほど、静謐の中に愛おしみを感じる演奏。フィナーレは、十分な躍動感あるが狂気じみてはいない。オーケストラの機能美を活かし展開する。そしてクライマックスは、パワーアップして迎える。繊細さの中に粘着性のないスタイリッシュさを持ち合わせた演奏であった。さあ、朝風呂はいろ!



2021年7月10日土曜日

ブラームス ドイツレクイエム 39

 久々のブラームス ドイツ・レクイエム シリーズ 39。

クリストフ・シュペリング (指揮):アンドレアス・グラウ (ピアノ)ゲッツ・シューマッヒャー (ピアノ)、ソイレ・イソコスキ(ソプラノ)アンドレアス・シュミット(バリトン):コルス・ムジクス・ケルン<録音1996年>。【2台のピアノ版】。ちなみにピアノ版は、1869年に完成され1871年にロンドンにてヴィクトリア女王を前に初演されたため「ロンドン版」と呼ばれる。第1曲、ピアノ伴奏に続くコーラスは、淡々と明るい色調。sindを切り気味に歌うのが特徴か。コーラスに力みはなく、シュペリングは、あくまでも「慰め」の1曲として力こぶなしで終始させる。第2曲、「人はみな・・」のユニゾンは、重苦しくはないが、続くソプラノとの陰影を考えて暗くスタート。中間部の長調は、語り掛けるような温かさを含む。Aber des Herrnは、テンポを落とし、しっかりと、特にベースの声がいい。喜びのアレグロは、少しもたつき加減だが朗々さは失わず。第3曲、バリトンのシュミットは、同じ年。本業のオペラっぽい歌いまわし。しかし、さすがに声はいい。独白の迫力は前面に出ている。模倣のコーラスは少し明るすぎるか。フーガは、どうしてももたつき気味。(これはピアノ版の部分でもあるのだが)第4曲、心安らぐ舞曲。比較的ゆっくり目のテンポで、各声部を謳わせている。第5曲、イソコスキのソプラノは、高音が美しい。フィンランド人のようだ。第6曲、Hölle, wo ist dein Sieg?の聴き所、コーラスは美しい。大フーガの入り口のアルトは合格点(ピア版だと入りやすいのか?)テノールは少し声が疲れ気味なのはしょうがないのか。第7曲、出だしのソプラノは、もう少し穏やかに入ってほしいが・・・。中間部の解き放たれ、祝福される「救いと報い」の命題はコーラスが優しく謳ってくれたのは良し。






2021年7月4日日曜日

バッハ モテット集BWV.225-230_ヘレヴェッヘ

 日曜日の夕方に聴いているのは、バッハ モテット集BWV.225-230。フィリップ・ヘレヴェッヘ(指揮)、シャペル・ロワイヤル、コレギウム・ヴォカーレ(1985年録音)。ヘレヴェッヘ1回目の録音(2回目は2010年)。バッハのモテットといえば BWV 225~230 の6曲しか存在していない。(その中でBWV.230は偽作ではと疑われているが)バッハのものとしては唯一、楽譜上では声楽のみによる作品だ。古いポリフォニーのスタイルで、二群の四部合唱に分かれた八声の「二重 合唱」といった技法を駆使し複雑な声部の展開がある通好みの作品だ。ソプラノの柔らかい歌声とヘレヴェッヘのゆったりとしたテンポが相まって変な力感がないのが特徴でバッハらしい繊細さをうまく表現している大変な名盤だと思う今日この頃である。



2021年7月1日木曜日

J.S.バッハ フルート・ソナタ全集_パユ

 エマニュエル・パユ「J.S.バッハ:フルート・ソナタ全集」【2008年録音】よりフルートと通奏低音のためのソナタ BWV1033-1035を聴く。チェンバロ奏者は、トレヴァー・ピノックという豪華な取り合わせ。この時代は、ブランネン社のフルートか。数年前から、今や中国企業に買収されたヘインズ社のフルートも併用らしいが。



2021年6月30日水曜日

J.S.バッハ イギリス組曲BWV.806-811_アンドレ・シフ

 J.S.バッハ イギリス組曲BWV.806-811 アンドレ・シフ 2003年ライブを楽しむ。80年代録音のベーゼンドルファーではなく、おそらく「スタインウェイ ファブリーニ」。目を閉じて聴くと、リリックで爽やかなそよ風のような演奏。



2021年6月29日火曜日

バッハ 無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ(全曲)_グリュミオー

 J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ(全曲)。 アルテュール・グリュミオーにて(録音1960-61年)この当時は、1957年にベルギーのルノア伯爵から貸与された1727年製ストラディヴァリウス「ジェネラル・デュポン」。自ら求めバッハの自筆譜により演奏されたことでも有名。比類なき音色の美しさ、意外なほどの力強さ。グリュミオー、特にパルティータ第3番 ホ長調が好きだ。凛とした品格の中に「心優しさ」が滲み出ている。よくネットで、グリュミオーのバッハにケチをつけてる奴らがいるが、いつも「じゃあお前が弾いてみろ!」とモニターに言ってやる。