2018年4月28日土曜日

ドイツ・レクイエム 34

月に1度は聴きたくなるブラームス「ドイツ・レクイエム」シリーズ。第34回です。
1.クレンペラー 2.サバリッシュ 3.ヤルヴィ 4.ジュリーニ 5.セル 6.コルボ 7.アーノンクール 8.ケーゲル 9.ロバート・ショウ 10.アクサンチュス 11.コッホ 12.ヘレヴェッヘ 13.シノーポリ 14.クーベリック 15.バレンボイム 16.レヴァイン 17.ケンペ 18.マゼール 19.アンセルメ 20.クレツキ 21.シューリヒト 22.ガーディナー 23.ハイティンク 24.アバド 25.テンシュテット 26.メータ 27.ショルティ 28.ブロムシュテット 29.プレヴィン 30.トスカニーニ
31.ザ・シックスティーン 32.ワルター33.チェリビダッケ
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第34回は、リチャード・ヒコックス:ロンドン交響楽団&合唱団。フェリシティ・ロット(sop), ディヴィッド・ウィルソン=ジョンソン(br)<1990年ロンドン、聖ジュード教会・セントラルスクエア:録音>です。
第1曲、静かにして薄い朝靄のような出だし。続く序奏のコラールの透明感が際立つ。大きな起伏を作らず、終始Selig動機を中心に讃美歌の如く繰り広げられる。
第2曲、第1曲に比べ何と重苦しい出だし。言葉をかみしめるようなコーラル。第一ペテロの書簡にある人生観を決然と言霊にしたいのだ。その回答をもつ長調に転じてのヤコブの書簡の優しい囁きが、対照的でメリハリを生み出している。
悲痛な空気を切り裂く「Aber des Herrn Wort」以降、テンポは大きく揺れるが、「言葉」を大事にした賛歌へ。
第3曲、バリトンのウィルソン=ジョンソンは、好きな声だ。コーラス群も厚みを加えたオーケストラとともに緊迫したソロを支える。強いドラマチックな仕立てではないものの、フーガまでの抑揚とテンポの動かし方は見事。持続Dの上で繰り広げられるコーラスのみならず、弦楽群の動きの面白さもくっきりと聴こえゾクゾクする。
第5曲、ソプラノのロットは、何と素晴らしいのだろう。その軽やかな声質でありながら、母なる優しさを美しく表現しています。
第6曲、この曲で初めてヒコックスは、激しさのありったけをスフォルツァンドに。極めて劇的です。大フーガにおけるアルトの入りも見事。
ヒコックス盤、隠れた名盤ではないでしょうか。