2016年3月27日日曜日

モーツァルト ピアノ協奏曲第13番&15番&16番_内田光子:テイト

今日は、午後から上野方面へでかける。その前に一枚。
内田光子(P)ジェフリーテート:イギリス室内管によるモーツァルトの中期ピアノ協奏曲から13番.15番.16番。
13番 いきなり弦楽群によるフーガから始まる壮大なオーケストレーションです。モーツァルトのハ長調の曲は総じて雄大な始まりが多いことに気づくでしょう。後期作品に劣らず、中期コンチェルトにおいても緩徐楽章は極めて美しいです。この13番は優しさに満ちています。でも13番のベストは3楽章アレグロ。お得意の8分の6拍子のメロディからピアノに入ると一転のハ短調のアダージョが登場します。これに私はやられてしまいます。モーツァルトの天才的な遊び心がよく表現された隠れた名曲です。
15番 中期の中では一番のお気に入りです。非常に可愛らしい主題から始まります。ピアノは非常に華やかなパッセージを紡いでゆきます。心がウキウキします。そして緩徐楽章。これは最高傑作です。モーツァルト 癒しのメロディー。ピアノの細やかなアルペジオの変奏。溜息ものです。第3楽章、映画「アマデウス」でも使用された舞曲風のメロディー。まさに春にぴったりのアレグロです。フルートが効いています。
16番 実にシンフォニックな曲です。この作品はトランペットとティンパニを含む大編成です。モーツァルトはこうした曲はニ長調を使用しますね。付点による下行旋律が魅力的です。16分音符のピアノが始まると華やかさが一層増してきます。緩徐楽章は、子守歌のようです。
非常に魅力的な3曲です。

2016年3月26日土曜日

シューマン 交響曲第4番_クナッパーブッシュ

今朝は、春に備えて庭の手入れをしておりました。
やっと音楽の時間です。今朝の一枚。クナッパーブッシュ:ウィーンフィル 1962年のライブ「シューマン 交響曲第4番」と「R・シュトラウス 死と変容 Op.24」のAltusのCDです。
以前、シューマンの4番は、フルトヴェングラーさえあればいいと書きましたが、クナのこの演奏を忘れてました。この2つさえあればいいです。(と書きつつ、バーンスタイン、コンヴィチュニー、ドヴォナニー、クレンペラー、セルを始め何十枚も持っている矛盾)。
さて当該CD、以前の海賊版に比べ格段に音が良くなっています。
拍手から始まり、鳴りやまぬ間に、心を抉る深い冒頭の音に観客も私も直ぐに引き込まれます。第2楽章は、ウィーンフィルの弦楽群ならではの寂寥感あふれる演奏。この美しいウィーンフィルからクナは、終楽章に恐ろしいまでの低重心の弦の響きを導き出します。唸る金管もまるでワグナーを演奏しているような暗い咆哮を見せます。クナらしい絶妙な間とテンポの揺れ、スケールの大きな演奏です。「R・シュトラウス 死と変容 Op.24」も当然圧倒的に素晴らしいのですが、これはまた後日です。

2016年3月25日金曜日

バッハ マタイ受難曲

今日は、休暇を戴き「人間ドッグ」へ行ってきました。
老眼が酷くなってから、近視がガンガンよくなり 右1.2 左1.5に回復
なんでや!!
さて午後からは、「マタイ受難曲」を聴いております。
「今日は、聖金曜日ですから」ってキリスト教徒でもなのに。
定番ですが、やはりカール・リヒター指揮ミュンヘン・バッハ管弦楽団&合唱団(1958年6~8月録音)で。
エルンスト・ヘフリガー(T,福音史家)、キート・エンゲン(B,イエス)、イルムガルト・ゼーフリート(S)ヘルタ・テッパー(A)、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)、ミュンヘン少年合唱。

2016年3月21日月曜日

チャイコフスキー&ラフマニノフ ピアノ協奏曲

今朝の一枚。
その名演は、リヒテルが西側での演奏を許可される前年の1959年。「鉄のカーテン」の向うで第二次大戦での悲惨な記憶をもつリヒテルの魂の迸りを感じる誰もが知る名曲の2曲である。
「チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番」ムラヴィンスキー:レニングラードフィル。
「ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番」ザンデルリンク:レニングラードフィル。
ロシア;メロディアによるMONO録音であるが、そのようなことはこの演奏において些末なことにしか思えない。
【チャイコフスキーのピアノ協奏曲】は、3年後に某帝王との名盤と呼ばれる(?)演奏があるが、帝王臭に染められた曲作りによる凡庸なリヒテルはここにはいない。
ムラヴィンスキーの凛とした筋肉質のバックアップにより、力強く生命感にあふれ、水を得た魚のように弾けまわるリヒテルのピアノ。鉄のカーテンならぬ、分厚いオーケストラのフォルテのカーテンを突き破るようなピアノの音に誰もが感動せずにはいられない。
【ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番】は、指揮はドイツ人(東プロイセン)のザンデルリンク。ザンデルリンクは、ソヴィエトに亡命しており、レニフィルの第一指揮者となりムラヴィンスキーの元で研鑽を積んでいます。この演奏の翌年に東ドイツに戻り、ベルリン交響楽団、シュターツカペレ・ドレスデンへ。
冒頭のあの大きな手が叩き出す鐘の音。その後に続くレニフィルの重厚な弦の響き。これだけでもう降参!ザンデルリンクには悪いがこれはムラヴィンスキーの音であろう。リヒテルの情熱的な鍵打から音の輝きが活き活きと弾け飛んできます。大好きな第2楽章のカデンツァと終結部、リヒテルはここも水晶のような音の粒を飛ばしながらも決して甘くならず厳格に重厚に弾いてくれる。
第3楽章冒頭、強いながらも繊細なリヒテルのタッチの独壇場。抒情的な第2主題においても堅めのタッチで芝居臭いロマンチシズムを感じさせぬ所が「男前」だ。終結部は圧巻の一言。「ラフマニノフ終止」に向かってピアノ・オーケストラ一体となっての盛り上がり。
月曜日の休日は最高だ!

2016年3月20日日曜日

メンデルスゾーン 交響曲第5番「宗教改革」_ミュンシュ

今朝の一曲。メンデルスゾーン 交響曲第5番ニ短調 Op.107 『宗教改革』 。チャールズ・ミュンシュ:ボストン交響楽団(1957録音)にて。
ミュンシュお得意の情熱的な演奏をボストン・サウンドが支えます。
第1楽章 冒頭の「ドレスデン・アーメン」。静謐なる上昇旋律を美しい弦が奏で、明確な管楽器のコーラルが敬虔な音楽を紡ぎだします。主題部のドラマチックな推進力は、{This is Munch!}。
第2楽章 メンデルスゾーン得意のスケルツォ。好きなのは「トリオ」。オーボエとチェロとヴィオラのメロディー。
第3楽章 アンダンテは、涙ものです。メランコリーな旋律に添えられたフルートのすすり泣きが堪りません。
第4楽章 そのフルートが、ルターのコラール「我らが神は堅き砦なり」を奏でます。そこからクライマックスのフーガまで痛快なボストンサウンドが炸裂。クソ長い指揮棒を振り回すミュンシュの指揮が浮かんできそうです。

2016年3月19日土曜日

マーラー 交響曲第3番_ベルティーニ

今日はお客様とゴルフです。ゴルフ場まで車で約一時間半、ドライブのお供は、ベルティーニ:ケルン放送響にて、マーラー 交響曲第3番。時間的にちょーどいい。只今、コンビニにていっぷく中。

マーラー 交響曲第1番_コンドラシン

今日の一曲。マーラー 交響曲第1番 ニ長調。
1981年3月7日、クラウス・テンシュテットが急病で本番直前にキャンセルした北ドイツ放送交響楽団のアムステルダム公演。
たまたまアムステルダムにいたコンドラシンが指揮を引き受ける。リハーサル無しのぶっつけ本番。
この時、コンドラシン自身も、必死にコンドラシンの棒に喰らいつくNDRのメンバーも<神の領域>にあったのかもしれない。
ドラマチックな推進力をもった演奏。最後の鮮烈なコーダを聴いて感動しない者はいないだろう。多少の瑕疵はなんのその。
そして、大成功の演奏会直後、コンドラシンはホテルに戻り、心臓発作で亡くなります。
コンドラシンには、R・コルサコフ「シェラザード」、クライバーンとのチャイコのピアノコンチェルト、アシュケナージとのラフマニノフのピアノコンチェルト、ショスタコーヴィッチの13番などなど数多くの名盤がありますが、この魂のLIVEをNo.1とさせていただきます。

2016年3月13日日曜日

モーツァルト ピアノ協奏曲第17番_カサドッシュ

今朝の一曲。「Robert Casadesus plays Mozart」よりピアノ協奏曲第17番ト長調 k.453を聴く。カサドシュ(p):ジョージ・セル指揮クリーブランド管弦楽団(1968)。
モーツァルト 10番台、屈指の優美さを兼ね備えた名曲。
特に第2楽章アンダンテ。長調とは思えない独特のほの暗い、しかし優しさに満ちた序奏から突如オーボエの響き、フルートとファゴットに受け継がれていく癒しのメロディ。映画「アマデウス」でサリエリが初めて聴いて衝撃を受けた<グラン・パルティータ>のAdaigoの場面と同じ衝撃をここで受けるであろう。
そこにピアノの安らぎにも似たパッセージが加わる。
しかし一転の転調。翳リあるそのメロディを聴いて言える言葉は1つ「モーツァルト!」。そして短調と長調を繰り返しながら魂を優しく包み込む絶美の世界をカサドシュの重過ぎないタッチ、絶妙なピアニシモが支えてくれています。17番 最高です。

2016年3月12日土曜日

ブラームス&シューマン ピアノ

土曜日の何気ない夕刻。
リヒテルがブラームスの作品でピアノ協奏曲第2番に次いで大切と語っていた作品という ブラームス「パガニーニの主題による変奏曲 Op.35」<1988年6月Live>と好んで弾いていたらしいシューマン「幻想曲 ハ長調 Op.17」<1979年12月Live>を聴く。

2016年3月10日木曜日

ドイツ・レクイエム 7

月に一度は聴きたくなるブラームス「ドイツ・レクイエム」シリーズ。明日で東日本大震災から5年ですね。お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りし、先日他界したアーノンクルに敬意を顕し捧げたいと思います。
アーノンクール指揮:ウィーンフィルハーモニー+アーノルド・シェーンベルグ合唱団(2007年ウィーン・ムジークフェラインザール ライブ録音)
アーノンクールは、ウィーン楽友合唱団ではなく手兵:アーノルド・シェーンベルグ合唱団を用いる事でコーラスの透明感ある声を獲得しています。またソプラノにゲ ニア・キューマイヤーを用い、重層的な音に負けない美しい歌声を発揮させます。(キューマイアーはハイドンの「四季」でもアーノンクールに起用されていますね)ウィーンフィルは、無駄なヴィブラートを抑制し、清らかな響きを奏でており、アーノンクールならではのフレージングの強弱にも見事に対応しており、荘厳さよりも壮麗さに重点が置かれた名盤かと思われます。
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人はみな草のごとく 人間の光栄はみな 草の花のごとし。
草は枯れ 花は散る。
・・・・・
主に救われた人々はふたたび戻り
シオンへと歓呼の声とともに来たらん;
永遠の喜びを頭上にいただき;
喜びと歓喜をつかみとり
そして苦悩と嘆息は消え去らん、必ずや。

2016年3月6日日曜日

マーラー 交響曲第9番_ノイマン

今朝の一枚。マーラー 交響曲第9番 ニ長調 ノイマン:チェコフィルで。(2回目の録音:1995年8月21日~28日ドヴォルザーク・ホール)__わずか5日後の9月2日 ノイマン逝去。
名盤は綺羅星の如くあり、私も数多く保有しておりますが、ノイマンのマーラー 9番は本当に清らかで美しいの一言。
弦楽群の優しい響き、管楽器群の張りときらびやかさ。木管群の艶。どれをとっても満足行くものです。
チェコフィルには、ノイマンのマーラーを支えたティルシャル(ホルン)、ケイマル(トランペット)、ヴァーレク(フルート)、キメル(オーボエ)などの名手が勢ぞろいなのです。
さてチェコフィルは、実は屈指のマーラー・オーケストラです。交響曲第7番「夜の歌」の初演はマーラー自身の指揮により演奏されています。(1908.9.19)
また私は、クラシックファンを自認する多くの方々でも「マーラーは何処の国の人?」に正解できる方、実は少ないのではと思っています。彼は現チェコ生まれチェコ育ち。
評論家の「ボヘミアンマーラー」なる揶揄する言葉がありますが、マーラーは元来ボヘミアンなのです。
そんな意味も含め、ノイマンのラストレコーディング(白鳥の歌)となった9番を、No.1にあげさせていただきます。
特に第4楽章の「Adagio」は秀逸です。チェコフィルのこの上なく美しい弦の響きが体中に染みわたります。金管群の壮絶な響きに、ちょっとウルウル。悲劇性・悲痛感がとかくクローズアップされるなかで、ノイマンの9番の美しさの追求に「感謝」。