2022年1月29日土曜日

シューベルト ピアノソナタ20番・21番_ツィメルマン

 今日の一枚。シューベルト ピアノソナタ D959,D960。クリスチャン・ツィメルマンの25年ぶりの2016年、日本公演を終えた後に、新潟の「柏崎市文化会館アルフォーレ」で録音したという。ピアノは、もちろん持ち込みのスタンウェイ。(高崎のスタウェイセンターにあるらしい)当該ホールは、永田音響設計によるもの。ツィメルマンは、故郷、ポーランドのカトビッツェ市の新ホール設計に携わっているが、ポーランドの40歳台の若手建築家コニール氏と永田音響設計の豊田泰久氏とのコンビにより完成させている。さて、中部沖大地震時にツィメルマンはすぐさま柏崎でのチャリティーコンサート開催を決めたが、体調不良のために中止を余儀なくされた。1年後、自腹で日本を訪れ、「中越沖地震1周年復興祈念コンサート」に出演し、柏崎市に100万円を寄付もしている。復興のシンボルとして建てられた柏崎市文化会館アルフォーレでリサイタルを行い、なお6日間滞在録音までおこなったのは、そういった意味深さがある。演奏は、デモーニッシュな部分はいささかもなく、柔らかく美しいシューベルト。時折見せる、憂鬱さや切迫感もツィメルマンならではの敬虔さと洗練さを感じる。