2017年5月26日金曜日

シューベルト スタバート・マーテル ヘ短調_ケーゲル

今夜は、かみさんと娘は、「ディズニー オン クラシック」に出かけており、夜留守番です。
シューベルト「スターバト・マーテル ヘ短調 D.385」を聴いています。ケーゲル:ライプツィヒ放送交響楽団&合唱団(1986年録音)です。
鬼才、奇人の異名をとるケーゲルであるが、こと宗教曲に関しては、極めて落ち着きと暖かみのある演奏をする。
ドイツ・レクイエムなどもそうだが、こちらのシューベルトも正攻法で素晴らしく、合唱指揮者出身というのを印象付けている。
さて、シューベルトのスタバート・マーテルは2曲あるが、このヘ短調は2番目の曲である。シューベルトは後年ドイツ・ミサ曲も書いているが、こちらもドイツ語訳で歌われる。
第1曲の出だしの弦楽の音から渋いライプツィヒの音色が響き渡る。その短調の深みがキリストの十字架への悲しみを伝える。
もともと深い悲しみをもつスタバート・マーテルであるが、シューベルトは、いくつかの長調を用いて、実に暖かく(3曲目)、美しさ(4曲目)と優しさ(8曲目)に満ちたメロディを加えている点が面白い。ここには、暗黒面のシューベルトは存在しない(当時19歳)といえよう。


2017年5月21日日曜日

フォーレ「レクイエム」_バレンボイム

金曜日の午後から少し寒気がして、あかんなぁと思っていたら案の定、熱が38度、得意の「土日風邪」。熱は薬ですぐに下がったが、ぼっーとして土曜日を過ごす、今朝は少し回復するも身体はまだ少し辛い。
でも音楽を聴けるくらいにはなっている。
今朝は、フォーレの「レクイエム」を聴こう。
バレンボイム:パリ管弦楽団+エディンバラ・フェスティバル合唱団、シーラ・アームストロング(Sp)フィッシャー・ディスカウ(Br)ピュイ・ロジェ(Org)<1974年録音>
フォーレの「レクイエム」といえば、クリュイタンス盤を誰もがあげるのではなかろうか。「フォーレ、レクイエム、名盤」でググっても決して登場しない当盤であるが、くしくも、同じパリ管(当時は音楽院管弦楽団)とフィッシャーディスカウのバリトン、ピュイ・ロジェのオルガン。若きバレンボイムの野心的・挑戦的な布陣なのだ。そして、バレンボイムの意図通りクリュイタンスを超える名盤ではないかと秘かに思っている。
コーラスの出来が良いというのもあるが、フィッシャーディスカウも12年の時を経て円熟味を増している、アームストロングの声も華やかで満足のいくものだ。
「 Introit et Kyrie」...出だしを極めて抑制したコーラス群、‟et lux perpetua luceat eis.”「絶えざる光が彼らを照らしますように」で
一気に解放!そのメリハリの自然さは素晴らしい。そして終始鳴り響くチェロの重低音。この曲においてこれは極めて重要なのだ。
「Offertoire」「Libera me」...フィッシャーディスカウの歌声はやはり特級品だ。
「Pie Jesu」...アームストロングの独唱は、少し艶っぽいが決して清楚さを失わずむしろ華やかさがあり良い。
フォーレの言葉「私にとって死は、苦しみというより、むしろ永遠の至福の喜びに満ちた開放感に他なりません。」
その「至福の喜びと開放感」をバレンボイムのひたむきな情熱の力で見事に表現できているのである。お勧めの一枚です



2017年5月6日土曜日

ドイツ・レクイエム 23

月に1度は聴きたくなるブラームス「ドイツ・レクイエム」シリーズ。第23回目となりました。
1.クレンペラー 2.サバリッシュ 3.ヤルヴィ 4.ジュリーニ 5.セル 6.コルボ 7.アーノンクール 8.ケーゲル 9.ロバート・ショウ 10.アクサンチュス 11.コッホ 12.ヘレヴェッヘ 13.シノーポリ 14.クーベリック 15.バレンボイム 16.レヴァイン 17.ケンペ 18.マゼール 19.アンセルメ 20.クレツキ 21.シューリヒト22.ガーディナー
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第23回は、ハイティンク:ウィーンフィル、ウィーン国立歌劇場合唱団、(Sp)ヤノヴィッツ(Br)クラウゼ 1980年;録音です。
この演奏は、誰もが期待する以上の素晴らしい演奏です。ウィーンフィルの弦楽群の美しさ、木管群の柔らかさを伸び伸びと引き出している。合唱団も一級品の美しさ。特にベースがいい声だ。
第1曲の演奏。重厚感を持たせているわけではないが、実に敬虔な響きが包み込む。テンポは中庸ですが、非常に落ち着いた流れを感じるのは、何故だろうか。
第2曲。重い足取りのユニゾン。ハイティンクは、この第2曲出だしにかなりの重厚感(テンポもかなり遅い)を与え、長調へ転じた後の柔らかさ対比を強く持たせている。その後の悲痛なまでの重厚感が、「しかし、主の言葉は残る、永遠に」の宣言に絶大な効果を与えているだろう。かなりドラマチックな演出であるが、オーケストラとコーラスの巧さが、それを支えきっているのは面白い。
第3曲。クラウゼは、中低音がフィッシャー・ディスカウの声によく似て、いい声だ。「正しいものの魂は神の手にあり」のフーガは、持続低音Dの威力がよくわかる巧みなオーケストレーションを堪能。
第4曲。この心和らぐ舞曲の弦楽群の美しさはウィーンフィルの真骨頂。ハイティンクのテンポは速めで軽快。
第5曲。さすがのヤノヴィッツ。この声を聴いただけで、このCDを聴いた甲斐がある。清楚な伸びのある声は、天上の入口まで届きそうだ。
第6曲。金管群もティンパニーも荒々しさはないが、非常に歯切れの良さを持つ。大フーガへ向けての緊張感は見事。
大フーガでの弦楽群も極めてメリハリのある響きが印象的である。
終曲。オーボエの巧さが印象的です。
非常にスケールの大きなお勧めの一枚です。