2007年3月31日土曜日

疾風怒濤

Photo_7 久々にCDを購入。
ハイドン 疾風怒涛期の交響曲集(第45.46.49)_トン・コープマン指揮:アムステルダム・バロック管弦楽団 <1000円>である。何故かこのところハイドンのCDに手が伸びる。さてコープマンはオランダ人。ハープシコード(チェンバロ)奏者、オルガン奏者でもある。グスタフ・レオンハルトの弟子である。コープマンの音には生気がある。もともとバロック音楽にどっぷり漬かっていたが、その後古典派音楽にも登場するようになったそうです。スーパーバリュー20シリーズ集めてみようかと思う。
私はハイドンの交響曲は、番号後半のパリ交響曲シリーズやロンドン交響曲シリーズよりも、この疾風度怒涛期の方が、情熱的で好きである。当CDは、3曲とも短調である。疾風怒涛期の交響曲の中に短調の作品が6曲もある。100曲近いハイドンの交響曲で11曲しかないことを思うと、特別な時期であろうか。副題も44番「哀悼(悲しみ)」45番「告別」49番「受難」その他「嘆き」など悲劇的ものが多い。44番はハイドンが最も愛した交響曲で、自分の葬儀では、「3楽章のadagioを演奏して貰いたい」と語ったとされている。弱音器をつけたヴァイオリンが奏でる優しいメロディーが魅力だ。45番「告別」は、最終楽章で、出番が終わった奏者:第1オーボエ,第2ホルン,ファゴット,第2オーボエ,第1ホルン,コントラバス...順々に席を立って(譜面台の照明を消して)退出することになっている。終盤のコーダでは4部に分かれたヴァイオリン,ヴィオラ,チェロだけになる。チェロ,第2ヴァイオリン,ヴィオラという順にいなくなり,最後は第1ヴァイオリン2人だけになり,消えるように曲が終わるという面白いトリックが隠されている。
そして49番「受難」。ため息と敬虔、悲しみと追われ、あぁ珠玉の1曲。天才モーツァルトが如何にハイドンの影響を受けていたのかわかる1枚ではなかろうか。この時期の短調の交響曲群とモーツァルトのト短調交響曲については、kenさんのブログ、ウィーン旅行後の交響曲~小ト短調とハ長調が興味深いので最後に紹介させてください。

それでは、交響曲第49番へ短調Hob.;49「受難」からの第1楽章 Adaigoをお聴きください。

adagioーpassion (クリック)

2007年3月24日土曜日

赦しの音楽~モーツァルトを語る 第16弾

Mz5309 モーツァルトには、赦しの音楽があると思う。
一番有名なのは、フィガロの結婚 第4幕 フィナーレの伯爵が夫人に向かって歌う「Contessa perdona」。映画『アマデウス』のこの場面を観たサリエリの「劇場中を"赦し"の音楽が満たした」という言葉が印象的だ。
でも、オペラでなくても赦しの音楽が存在する。第16弾は「ヴァイオリン協奏曲 第5番 第二楽章 Adagio」。この曲は、日本でも数多く演奏されるヴァイオリン協奏曲だ。
第1楽章は力強いソナタ形式。モーツァルト独特のあのジェットコースターを堪能できる。そしてなんといっても終盤のカデンツァ。そのすばらしい技巧が必要で聴くものを魅了する。第三楽章は{トルコ風}と名づけられて有名。コル・レーニョ(弓の木の部分で叩く奏法)の指定があるのも特徴だ。

そして中間楽章の第二楽章はとてつもなく美しい。私にはここに「赦しの音楽」が聴こえる。ただ優しいだけじゃない。ただ美しいだけじゃない何か。終盤のカデンツァまで一瞬も途切れることなく続くのだ。

それでは、グリュミオーのヴァイオリンでお楽しみください。
mozart_5_k.219 - (2) (クリック)。

2007年3月18日日曜日

穏やかな日曜日~ベートーヴェン「春」

Gllh11 かみさんは、美術館へ。長男は倶楽部活動で大学へ。長女は、吹奏楽の練習へ。次男は、友達の家へ。というわけで、一人の日曜日(よくあることだが)。
そして久しぶりに春晴れ。こんな日は、のだめカンタービレで一躍有名になった「ベートーヴェン ヴァイオリンソナタ 第5番 ヘ長調 Op.24 春」でも聴こうか。

やっぱりグリュミオーの音色で・・・。beethoven_violin_sonata_no_5_spring_fdur_op_24_grumiaux. (クリック)。

2007年3月17日土曜日

ホルン独壇場~モーツァルトを語る 第15弾

モーツァルトは、4つのホルン協奏曲を書いているが、第15弾はそれとは違います。
ホルン協奏曲も大好きなのでいずれ登場しますが、第15弾は、「ディヴェルティメント 第2番 ニ長調 K131」です。
その後のK136.137.138のおかげで、あまり有名ではありませんが、個人的にはこちらをよく聴きます。この曲はなんとヴァイオリン2、ヴィオラ2、バス、フルート、オーボエ、ファゴット、そしてホルン4つという変わった編成です。
ホルンの独壇場は、2つ目のMenuetto(第5楽章)。最初のトリオでホルンが高らかにそして牧歌的な響きでメロディーを歌い上げます。続く第2トリオはフルートが優しく優雅に囁き、第3トリオは、弦がしなやかに。演奏会などでは、1つ目のMenuetto(第3楽章)がよくとりあげられるでしょうか。あえて、今日は第5楽章を聴いてください。短い曲です。

k.131 - 5. Menuetto (クリック)。それではお楽しみください。

おっと、やはりこの曲を紹介するならAdagioもとりあげないと、K131ファンに怒られますね。と書いてる本人が一番納得しません。「This is Mozart」とも云うべき美しさと優しさに溢れた旋律。このAdagioには木管は登場しません。弦楽四重奏です。そしてウォルフガング旋律美の王様「イ長調」。哀愁もロマンも悲しみもたぶんありません。でもただただ美しいのです。生きる喜びに感謝する、自然に抱かれているのを感謝する、そんな旋律です。

お聴きください。k.131 - 2. Adagio(クリック)。

2007年3月11日日曜日

癖になる音

2/10に美しいメロディーの代表としてボロディンの弦楽四重奏曲第二番第3楽章「ノクターン」を紹介した。この曲は、このまま終わってもいい、いや終わるべきだと思うのだが、実はその後に一種独特のフモールとも言うべき第4楽章{フィナーレ~アンダンテ・ヴィヴァーチェ}がある。

kenさんのブログ2/20「音は自然に寄り添うものだ」でアンサンブルの妙が紹介されているのでご覧いただきたい。正直に述べると、「なんじゃあこりゃあ」という怪しい音で始まる。しかし、その後に出てくる自由闊達な足音のような流れるテンポの中で、弦が一糸乱れず蠢くので話は変わる。半音階の4部音符と全音階の8分音符の違った動機が不思議と合うのだ。鬱なチェロと躁のヴィオラと言ったところか。確かにkenさんが書いているように、もし下手な演奏家のアンサンブルなら聴けたもんじゃないだろう。それこそ「なんじゃこりゃあ」で終わってしまう。しかし、聴けば聴くほど癖になるのだ。このボロディンの第4楽章は。

それではボロディン四重奏団でお聴きください。borodin_2_4 (クリック)。

2007年3月10日土曜日

天上の音楽~モーツァルトを語る 第14弾

第14弾は「ディヴェルトメント 変ホ長調 K.563」。

まさに天上の音楽。私は、朝いつも通勤電車で、この曲を聴きながら新聞や本を読んでいます。なんという贅沢。混雑している周りを気にすることなく自分の世界に入り込めます。
アインシュタインは、「この世で耳にする中で最も完璧で最も繊細な曲である」と絶賛しています。

6楽章からなる曲は、弦楽三重奏で、一見小さい編成だが、だからこそ難しい編成であるにもかかわらず、見事な和音や技巧で、美しいメロディーを作り出しています。ケッヘル番号でわかるとおり、かなり後期の曲です。1988年、あのジュピターの1ヵ月後に作曲されました。モーツァルト自身も2度ほど演奏しているみたいです。パートは、ヴィオラ。多分この曲でキーを握っている楽器だからでしょうか。モーツァルトファンにお勧め作品ベスト10を選んでもらうと、必ず入ってくる曲だと私は思っています。全てをアップしたいのですが、いずれまた。

今日は、第一楽章をお聴きください。

k.563 - 01 (クリック)してください。

2007年3月4日日曜日

オルガン~モーツァルトを語る 第13弾

Photo_3 第13弾は、「教会ソナタ 第1番 変ホ短調 K.67」「教会ソナタ 第17番 ハ長調 K.336」の2曲です。
コロレド大司教の下、宮廷お抱え音楽家であったモーツァルトにとって、教会のミサのための音楽を作曲することは、重要な仕事でした。ザルツブルグでの当時のミサに用いられる音楽の中に「ソナタ・アレピストラ」という曲が含まれていおり、モーツァルトが残した17曲の教会ソナタはこの部類に属します。すべてが、1楽章形式で短いものです。編成は、ほとんどがヴァイオリン1、2、バス、オルガンです。中には、モーツァルトが大嫌いなトランペットその他オーボエ、ティンパニー、ホルン、チェロが加わっている曲もあります。(14番や15番)。そして17番だけは「オルガン協奏曲」とも呼べるソナタ形式で描かれています。初版は、1780年にオッフエンバッハのアンドレ社より「オルガン、またはピアノのためのソナタ」として出版されました。当時は、モーツァルト自身がオルガンを弾いていたと思われます。

さて1番ですが、10歳の時に作曲されたものです。信じられません。まさに奇跡のメロディーーーーーー。どこか優しさに溢れています。

それでは、お聴きください。17_k.336(クリック)01_k67(クリック)。

演奏は、Chorzempa, Deutsche Bachsolisten, Winschermann  です。