2016年4月30日土曜日

ブラームス 交響曲第3番_ザンデルリンク

今朝の一枚。ブラームス交響曲第3番 ヘ長調 Op.90。クルト ザンデルリンク:ドレスデン シュターツカペレ(1972年録音:ルカ教会)。
ザンデルリンクは、ベルリン交響楽団と90年代に再度、ブラームス交響曲全集を録音しているが、やはりドレスデン盤が役者が上ではないだろうか。ドレスデンの渋みのある重厚な弦楽群、ゆったりとしたテンポ、浮かび上がる木管の美しさ。ドレスデンの魅力の一つは、チェロ・ヴィオラ・ベースが見せるズシリ観と雄弁さと熱さ、そしてペーター・ダムのホルンでしょうか。「3番」やはり愛すべきシンフォニーです。

2016年4月29日金曜日

ファウスト

今日は、一日中 書斎兼音楽室兼PCルームに引きこもりです。
今朝は、ゲーテの「ファウスト」を題材にした2曲を聴きます。
まずは、ベルリオーズ「ファウストの劫罰(ごうばつ)」モントゥー:ロンドン交響楽団【1962年録音】
そして、リスト「ファウスト交響曲」ショルティ:シカゴ交響楽団【1986年録音】。
「ファウストの劫罰」は、マルケビッチ:ラムール管とこのモントゥー盤の2枚のみ保有。今日は、モントゥー盤で。モントゥーにとって、ベルリオーズは重要なレペルトワールで、数々の名盤を残していますが、「・・劫罰」全曲録音は、こちらのみという貴重な演奏です。
「ファウスト交響曲」はリストがベルリオーズに<ファウスト>を読むことを薦められ、その作品性に魅了され作曲し、楽譜をベルリオーズに捧げています。シカゴの高い ensemble力を如何なく発揮させたショルティの隠れた名盤ではないでしょうか。
両方で、200分しばし、さようなら!!

マーラー 交響曲第4番_シノーポリ

今日からGW。取りあえず3連休。この季節にふさわしい優雅さと美しさをもつマーラー 交響曲第4番からスタート。
演奏は、シノ―ポリ:シュターツカペレ・ドレスデン、(SP)ユリアーネ・バンゼ(1999年LIVE)。
ワルターは、この曲を「天上の愛を夢見る牧歌である」と語っているが、第三楽章は本当に美しい。幸福感溢れる、しみじみとした感じが好きでたまらない。第四楽章、ソプラノ:バンゼの少し籠った歌声、伸びやかな艶を帯びてこの曲にフィットしている。

2016年4月24日日曜日

モーツァルト ヴァイオリン・ソナタ第40番_パールマン:バレンボイム


今朝の音楽。
モーツァルト:ヴァイオリンソナタ集(パールマン:バレンボイム)から、40.41.42番を。
この40.41.42番は「三大ソナタ」と呼ばれている。
その中から40番 変ロ長調 K.454をご紹介。
この曲が面白いのは、決然とした、そして美しいラルゴの序奏から始まるところか。それに続く活き活きとしたアレグロは、軽快なピアノに導かれて華麗に疾走するヴァイオリンの妙。2つの楽器が絶妙に掛け合いながら展開部でわずかばかり忽然と短調の調べで翳を落とす。ここがモーツァルトの天才的なところか。
緩徐楽章は、子守歌のような優しさ。アルペジオのピアノに支えられてヴァイオリンが優しく心を慰めてくれます。中間部では、暗鬱な短調でありながら、決して心沈むことなくピアノの美しさに身を委ねたいと思う。
フィナーレのロンドは、快活さ溢れるヴァイオリンと少しメランコリックな低音重視のピアノとの融合。それでいてチャーミング。
パールマン:バレンボイムの絶妙のアンサブル、モーツァルトの陰影を見事に表現した、さすがのソナタ集となっております。
@ちなみに41番 変ホ長調は、第1楽章に、かの「ジュピター音型」が出てきますよ!!



2016年4月23日土曜日

チャイコフスキー 組曲第4番

今朝の一枚。
あまり聴く機会は無いと思いますが、チャイコフスキーは、4つの管弦楽組曲を残しています。
その中で今日ご紹介したいのは、組曲第4番 ト長調 Op.61 「モーツァルティアーナ」 。全集の演奏は、ドラティー:ニューフィルハーモニー管弦楽団(1966年録音)。
この組曲は、4つの曲で構成されています。
1.ジーグ。。。(ピアノのための小さなジーグ K.574より)
2.メヌエット。。。(メヌエット K.355)
3.祈り。。。(アヴェ・ヴェルムコルプス K.618)
4.主題と変奏曲。。。(グルックの歌劇『メッカの巡礼』:アリア「愚かな民が思うには」の主題による10の変奏曲 K.455)
と、K.618以外は、聴きなれないピアノでの曲が選ばれています。
チャイコフスキーは、スコアの裏面に「モーツァルトの多数の優れた小規模曲は、なぜか一般のみならず音楽家の大部分にもほとんど知られていない。作曲者が「モーツァルティアーナ」と名付けた編曲の組曲は、簡素な形式ではあるが、十分得難い美しさをもったこれら珠玉のような作品が、よりしばしば演奏されるための新しい糸口を与えることを期待するものである」(以上、音楽之友社『作曲家別名曲解説ライブラリー/チャイコフスキー』より引用)と書いているといいます。
チャイコフスキーもやはりも「モーツァルティアン」だったようですね。

2016年4月22日金曜日

モーツァルト ピアノ協奏曲第20盤&23番_グルダ(C&P)

今夜の一枚。グルダの弾き振りによるモーツァルト ピアノ協奏曲20番、23番:北ドイツ放送交響楽団(1993Live)を。
グルダの20番と言えば、74年のアバド;ウィーンフィルとの競演、23番と言えば、83年のアーノンクール;コンセルトヘボウとの競演が有名ですが、今日はこちらで。
グルダの鼻歌も椅子の軋み音も一つの贅沢として聴いておこうか。
””モーツァルトがそこに居て弾いてるかの如く””と言えば大袈裟か。
トラックの最初は、23番です。
第一楽章アレグロ、何と優しく柔らかなピアノの音であろう。NDRとも思えぬ優雅な弦の響きも素晴らしい。中間部のピアノタッチは、まさに天上からこぼれ出るような音色。もうこの第一楽章だけで誰もが感激してしまうでしょう。
第二楽章、有名な短調のアダージョ。グルダは少し早目のテンポで淡々と弾いていく。深い情念的なものではなく、哀愁さが滲み出たタッチとでも言ったらいいだろうか。
第三楽章、アレグロアッサイ。NDRの木管群とピアノの融合、哀しみと喜びの感情をウェーブのように揺れ動く気品を備えたこのフィナーレを見事に表現してくれている。
そして、20番。
第一楽章、アレグロ。冒頭のデモーニッシュな低弦の凄みはさすがNDR。
ここでは、グルダは一音一音を確かめるようにタッチしていきます。それでいて疾走感を失わず、どこまでもナチュラルに音の粒を飛ばしていきます。オーケストラもアバドの時のモタモタ感は解消されている。そしてベートーヴェンのカデンツァがまた素晴らしい。ライブでの高揚感と相まって、まるで一個のソナタのよう。天才グルダの体現を感じます。
第二楽章、ロマンス。慈しみのフレーズから突如現れる短調の調べが特徴的であるが、ここでもアバド盤よりも速いテンポがしっくりきます。
第三楽章、ロンド アレグロアッサイ。
憂いを含んだニ短調のアルペジオ。和らぎと荒ぶる魂の揺れ動きをグルダの流れるような繊細なタッチが表現し、一気呵成にカデンツァまで突き進む。そして再びベートーヴェンのカデンツァ。この後フィナーレにおいてニ長調のコーダが、やっとこの曲の重苦しさから解放してくれる。
これは、モーツァルト好きには、堪らない一枚です。

2016年4月16日土曜日

モーツァルトのカンタータ

今朝の一曲。聴きなれない曲名 モーツァルトのカンタータ「悔悟するダヴィデ」K.469。
実は、この曲あの有名な未完成曲「大ミサ曲 ハ短調 K.427(K6.417a) 」_キリエ・グロリアの改作なんです。
多忙極めるモーツァルト君。名誉ある音楽家たちの未亡人や孤児のために設立されたウィーン音楽芸術家協会(のちのウィーン楽友協会)の演奏会に間に合わせるために、2曲のアリアを加えてダ・ポンテの協力よろしく、ちゃっかり演奏しちゃいます。
「ザルツブルグでのミサ曲の披露は、ウィーンには知られてないもーん!!」
さて、間に合わせで作った第6曲テノール独唱の「数知れぬ悩みの中で」。この曲が大好きです。序奏のクラリネット、オーボエ、フルート、ファゴットのお得意の繋ぎの旋律。そしてテノールの登場。優しさと愛情に包まれたメロディ。
そして第8曲ソプラノのアリア「暗い、不吉な闇の中から」 。
ドラマチックなハ短調で始まる曲は、キリエの有名な旋律にも負けない美しさ。後半は一転してハ長調でのコロラトゥーラ。
モーツァルトならではの2曲です。
演奏は、クイケン指揮ラ・プティット・バンド+オラ・ンダ室内合唱団。コーラスも見事です。ソプラノのクリスティーナ・ラキさんの声も素晴らしい。
そして、なにげにこのCD モテット「アヴェ・ヴェルム・コルプス」K.618 のおまけつき。
さあ、朝風呂はいろう!!

2016年4月15日金曜日

モーツァルト ピアノ協奏曲第9番&21番_ワイセンベルク

金曜日の夜のとっておきの一枚。
モーツァルト ピアノ協奏曲第9番{ジュノーム}、ピアノ協奏曲第21番。ワイセンベルク:ジュリーニ+ウィーン交響楽団(1977&78)。
このコンビと言えば、ブラームスのピアノ協奏曲第1番、も有名ですが、今夜はモーツァルトでいきたい。
第9番 変ホ長調「ジュノーム」。
オーケストラの主題の提示にすぐさまピアノが応える画期的なスタイル。なにかワクワクしたものを感じさせる始まり。しかし軽やかでありながら、どことなく切ない長調のメロディ。第二楽章への暗示なのだろうか?
その第二楽章は、変ホ長調の平行調である「ハ短調」。
モーツァルト27曲のピアノ協奏曲の内、短調の緩徐楽章をもつのは、この9番、18番、22番、23番の4つだけ、その中で最も長く、最も悲嘆にくれたメロディ。この悲しみは若者モーツァルトのどこから生まれるのだろう。
弱音器のヴァイオリンの低重音が生み出す苦悩。そこをさまようピアノ。もがき苦しみから少しずつ「光」を見出すかのような木管の音色、しかしピアノは、まだ苦悩の彷徨の中。やはり、モーツァルトの天才的な凄みは、こうした短調の中にある。
ワイセンベルクの少し硬めのコロコロした音は、純粋な響きで美しい。決して重くならず淡々と奏でられるピアノからモーツァルトの心の内から滲み出る寂寥感を紡ぎだすといった感じだろうか。こういった演奏もいいなと思う今日この頃でありました。


2016年4月9日土曜日

ハイドン 交響曲第92番&95番

久し振りにセルのハイドンを聴こうか。(SONY CLASSICAL MASTERS BOX SETより)
まずは、大好きな92番 ト長調「オックスフォード」から。
第1楽章、ゆったりとした優しい序奏から平行短調へ移行し、あろうことか第一主題は属七和音という、変わり種。
第2楽章は、緩徐楽章でありながら、劇的な短調を中間部より登場させる憎さ。
続いて95番 ハ短調。ハイドンの後期交響曲において、数少ない短調のシンフォニー。この曲の面白さは、1つは序奏が無いこと。
そして第1楽章 第2主題でのヴァイオリンの独奏(たった2小節)があり、第2楽章 第1変奏でチェロ独奏とヴァイオリンの掛け合いがあり、第3楽章 トリオでのチェロの独奏、と極めて面白い構成。
ハイドンのシンフォニーは、こうしたいろんな仕掛けを味合うのが一つの醍醐味かも。

ドイツ・レクイエム 8

月に一度は聴きたくなるシリーズ。ブラームス「ドイツ・レクイエム」。今夜は、ケーゲル:ライプツィヒ放送響&合唱団(1985年録音)にて。
まずこの演奏のコーラスのクオリティーの高さに脱帽であるが、元々合唱指揮者でもあったケーゲルの真価が顕れている。オーケストラは、非常にソフトな仕上がり、弱音での美しさ。ライプツィヒのパウル・ゲルハルト教会の音響の良さも手伝い、あたかも天上から降り注ぐ音楽の如き出来栄えです。
第3曲、バリトンのジークフリート・ローレンツはあまり知らない歌手ですが、張りのある声でドラマチックです。
第5曲、ソプラノのマリアンネ・ヘガンデルも透明感のある美しい声で「慰め」の歌を綴ります。
第6曲、勝利の後の140小節にわたる大フーガ、まるでライブのような高揚感も素晴しいものがあります。
ドイツ・レクイエムは、何十枚も所有しておりますが、こちらは、ベスト3に入る名演とさせていただきます。

2016年4月3日日曜日

ドヴォルザーク 糸杉_ウィーン弦楽四重奏団

夕食の前に一曲。
ドヴォルジャーク「糸杉」~弦楽四重奏のための~。
ウィーン弦楽四重奏団で。
元々は、歌曲集(18曲)です。グスタフ・フレーガー=モラヴスキーの詩集「糸杉」から編まれたもので、24歳の時にドヴォルザーク自身の実らなかった初恋への思いをこめた作品なのだそうです。どれも美しい哀愁たっぷりの曲です。さすがメロディメーカーのドヴォルジャークですね。弦楽四重奏曲は、その22年後に編曲されました。うち12曲です。ウィーン弦楽四重奏団の上品な音色がこの曲の「優しさ」「深さ」を紡いでくれます。

2016年4月2日土曜日

ブルックナー 弦楽五重奏曲

夕方まで「ブルックナー タイム」。
まずは、弦楽五重奏曲ヘ長調。弦の王国チェコのプラハ音楽アカデミーとドラマチックアーツ(AMU)の卒業生により結成されたコチアン弦楽四重奏団(コチアンの名は彼らの師匠コチアンから:スメタナSQの名チェリスト)+ルボミール・マリー(1stヴィオラ)<プラハSQのメンバー)。
まろやかな弦の響きが、第3楽章Adaigoを始めるともうそこは天上の世界のようだ。