2019年3月30日土曜日

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番_ウェーバージンケ


ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番ト長調 OP.58、
アマデウス・ウェーバージンケ、コンヴィチュニー指揮:ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(1961年録音)を聴く。
昨年隠れ名盤として紹介したディーター・ツェヒリン、コンヴィチュニー指揮:ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(https://mozartgogo.blogspot.com/2018/10/3.html)と同じ年の録音。そしてピアノは、勿論「ブリュートナー」であろう。ウェーバージンケは、オルガニスト兼ピアニスト。あのカール・リヒターと1950年のバッハ・コンクール(オルガン部門)で1位を分け合った実力者。
第1楽章、「運命動機」のピアノの柔らかい独奏を受け、ロ長調でシルキーなLGOの弦楽群が応えると、そこには自然と優しさが生まれる。優美な第1,2主題ともうひとつの短調の副主題を持ち展開の深さを感じる。ウェーバージンケは、オルガニストらしく、低音部の響きが聴いている。カデンツァは、流麗でバッハのインヴェンションを聴いているかのようだ。「ブリュートナー」の音は暖かみがある。
2楽章、かなりゆっくりのテンポで低重心の弦楽群。ピアノ音はどことなく儚げに。「ブリュートナー」の高音部の響きが深遠さを増す。
第3楽章、少し音量を控えめに始めるコンヴィチュニー。弾むような明るい主題だが少し遅め。ピアノが主題を繰り返す。(この時の裏のチェロが実は好きだ)管楽群が参加してテンポを少しアップ。ここから第2楽章から解き放たれ快活さが生まれるのか。ウェーバージンケの強弱感の確かさと低音部の響きが逆に高音部の音の粒を引き立てている。
やっぱり4番を聴いていしまうこの頃。

2019年3月3日日曜日

チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲_フランチェスカッティ

昨日とうってかわって肌寒い雨の「ひな祭り」。書斎に引きこもり。チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲ニ長調 Op.35を聴く。ジノ・フランチェスカッティ、ミトロプーロス;ニューヨークフィル(1954年録音)。
『ハート』と名付けられた1727年製のストラディヴァリウスが醸し出す豊潤な慈しみのある音色は、最高音の一音まで美しい。ジノの高音域での独特のヴィブラートが潤いをもたらす。テンポをかなり動かすミトロプーロスの至芸にも50代初頭の脂の乗り切ったジノには容易い。そしてフルパワーのオーケストラにも負けない音場。しかし、ミトロプーロス、1楽章も3楽章も最後は見事にテンポを速めてあくまでもドラマチックに楽曲を構成していきます
第2楽章、カンツォネッタ アンダンテ。木管群のまろやかな音に続き、ジノの妖艶なヴァイオリン。深く沈みこむような音色が直線的に心に浸みこんでくる。途切れなく始まる第3楽章、民族舞曲トレパークに基づく第1主題のリズムが心を揺さぶる。第2主題の後、わずか緩やかにヴァイオリンが歌う部分が好きだ。主題に戻ってからは、ミトロの一気呵成が待ち構える!第2主題直前の低弦群の音も魅力的。ジノの高音の腕さばきも冴えわたる。書斎でひとりブラボー!!