2020年5月26日火曜日

シューマン ピアノ協奏曲_リパッティ

シューマン ピアノ協奏曲 イ短調 op.5を聴く。
この曲の愛聴盤は、ルプー、プレヴィン+ロンドン交響楽団。
しかし、今日は原点と言うべき一枚。リパッティ、アンセルメ+スイスロマンド管弦楽団(1950年2月ライブ録音)を久しぶりに聴こう。もっとも定番なのは48年のカラヤンとの共演だが、その評判には首をかしげなくてはならなかった。このライブ録音が残っていたおかげで、たとえ録音が悪くともリパッティの本当の凄みを知ることができた一枚である。もちろん、前日には40度の高熱があり、医師が止めるのも聴かず行った演奏会ということもあるだろう。しかし、いささかもそんな苦痛を感じさせない演奏だ。何気ないフレージングで見せる悲哀、情熱、硬質なピアノタッチの奥に見せる抒情。アンセルメは、リパッティの如何なるフレージングにも素早く対応する。これを寄り添うというのであろう。
魂を揺さぶる演奏とはまさにこのようなものなのだろう。


2020年5月16日土曜日

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」_バッカウアー



マーキュリーレーベルからのジーナ・バッカウアー;スクロヴァチェフスキ、ロンドン交響楽団によるベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番変ホ長調Op.73「皇帝」(1962年録音)を聴こう。バッカウアーといえば、ブラームスの2番だが、今日はこちらを。粒ぞろいの音色、疾走感、切れ味どれをとっても素晴らしい。女流にして剛腕とのイメージを覆す第2楽章の
優しくキラキラしている演奏は特質すべきものがあります。

2020年5月13日水曜日

爆演を! ブラームス 交響曲第2番_ミンシュ

今晩は急に「爆演」が聴きたくなった。
ブラームス 交響曲第2番ニ長調 Op.73。シャルル・ミュンシュ;フランス国立管弦楽団【1965年シャンゼリゼ劇場ライブ】


2020年5月10日日曜日

ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」_クレツキ

クレツキ;チェコフィルによるベートーヴェン 交響曲全集より3番ホ長調 OP.55「英雄」(1967年録音)を聴こう。この全集が録音されたのはプラハのルドルフィヌム:ドヴォルザークホールだ。程よい残響とクリアな音の響き。これによりクレツキ率いるチェコフィルの力量の素晴らしさ、解像度と伸びやかさが思う存分発揮されている。チェコフィルと言えばそのシルキーな音色の弦楽群が真っ先に頭に浮かぶであろう。その上、この時代のチェコフィルの管楽群は素晴らしい。英雄と言えば「ホルンの重要性」に議論の余地はないが、シェテフェック率いるホルン軍団の輝きは本物中の本物だ。(この時、ティルシャルも吹いていたのだろうか?もしかして3番ホルンか?)有名なスケルツォのトリオの3重奏。ほんのり遠くから、何の力みもない柔らかさ、それでいてメロディックなハーモニーの3本効果をいともたやすく表現している。adagioのオーボエの憂いある音色も出色だ。ティンパニーの歯切れの良さは、冒頭から感激しっぱなし。第1楽章コーダにおけるトランペットの「俺様」感も印象的だ。Adagioは往々にして引きずるような粘りに辟易する場合があるが、クレツキは各楽器がフーガ風に広がりを見せる場面から金管とティンパニーの最初の頂点へ向けてある意味淡々と紡いでゆく憎らしさ。しかし中後半の低弦群の利き所はしっかり歌うように。終楽章、その変奏曲群は、オーケストラの楽しみ・醍醐味を教えてくれた珠玉の一大叙事詩。木管群の戯れ、とりわけフルートソロの扱い、そしてアンサンブル、ホルンの力感、低弦群のフーガの連携、「まさにオーケストラの宝石箱や!!」。進軍ラッパとともにいざクライマックスへ。

2020年5月3日日曜日

R・ストラウス 交響詩「英雄の生涯」_ケンペ

今日の1曲。ケンペ:シュターツカペレ・ドレスデンによる
R.シュトラウス 交響詩「英雄の生涯」OP.40(1972年録音)を聴く。やはり、ベンちゃんの「英雄」を意識していたのか調性は<ホ長調>。当初、「エロイカ」と呼んでいたらしい。
曲は6つの部分から成り、切れ目なく演奏される。以下
1)英雄、2)・・の敵、3)・・の伴侶、4)・・の戦場、5)・・の業績、6)・・の隠遁と完成。
1)冒頭、ドレスデンの低弦とペーター・ダム率いるホルンでのテーマの上昇音型に思わずニッコリ。2)はスケルツォ風で木管楽器による戯画的な音楽。「敵」はフルートで表現され、時折チューバが敵意を顕す。
3)独奏のヴァイオリン、ペーターミリングの美しくも儚い音色が抜群に良い。ヴァイオリン・ソロが恋人(伴侶)を表わす。何やら二人の駆け引きが続き、やがて壮大な愛の情景へ。暫し甘美なメロディを堪能。
4)遠くからトラッペットのファンファーレ。戦場へ。小太鼓のリズムに乗って「敵」のテーマがトランペットに出て来て,行進曲風に進んで行く。勝利を謳歌するところでは4本のハイトーンのホルンの咆哮が聴こえる。
5)英雄の業績は、「ドン・ファン」「ツァラトゥストラはかく語りき」「死と変容」「ドン・キホーテ」「マクベス」「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」など,よくぞこれだけ,という感じで主題が絡み合って演奏されてゆく。そうだ、英雄とはR・ストラウス自身なのだ。
6)イングリッシュホルンが鳴り響くと静かなメロディに。そして、浮き立つホルンに、美しいヴァイオリン・ソロがぴったりと寄り添うようにして優しく幕は閉じられる。
ケンペは、豪快で推進力のある場面、蕩けるような情景も
ドレスデンのコクのある響きを余すことなく引き出し表情豊かな交響詩を繰り広げてくれた。