2017年8月19日土曜日

ドイツ・レクイエム 26

月に1度は聴きたくなるブラームス「ドイツ・レクイエム」シリーズ。第26回目となりました。
1.クレンペラー 2.サバリッシュ 3.ヤルヴィ 4.ジュリーニ 5.セル 6.コルボ 7.アーノンクール 8.ケーゲル 9.ロバート・ショウ 10.アクサンチュス 11.コッホ 12.ヘレヴェッヘ 13.シノーポリ 14.クーベリック 15.バレンボイム 16.レヴァイン 17.ケンペ 18.マゼール 19.アンセルメ 20.クレツキ 21.シューリヒト22.ガーディナー23.ハイティンク24.アバド25.テンシュテット
:::::::::::::::::::::::::::::
第26回は、メータ:イスラエルフィル+ガリーベルティーニ・イスラエル合唱団、チェン・レイス(Sp)ミュラー=ブラッハマン(Br)<1981年テルアビブ・Live録音>
第1曲は、極めて静謐にコラールが始まる。テンポはかなり速めで淡々と。
第2曲は、かなりドラマチックな構成で演奏される。変ロ短調部分の重苦しさ、とト長調「So seid nun geduldig, lieben Brüder・・・」部分の優しさの差をくっきりと。
第3曲、ブラッハマンはいい声だ。哀歌らしさを強調する歌声だ。後半の持続低音Dに乗っかるフーガの迫力も満点。やはり弦楽群は美しい。
第4曲、この舞曲は、ソプラとテノールの美しさが肝である。テノールが少し残念だ!
第5曲、美貌のチェン・レイス。歌声も透き通った響き中に、母性の優しさを秘めており素晴らしい。
第6曲、かなり早めのテンポ。大フーガへ向かうまでの管打、唸る弦楽は流石。
大フーガの冒頭は、個人的には少し弱めに淡々と何事もなくAltoに始めてほしいのだが、かなり気合十分でスタート。
終曲、第1曲を速いテンポですすめたメータであるが、終曲はじっくりと。
ブラームスの命題でもある、イ長調へ転調してからの「神の祝福と報い」の部分をコーラスに大事に歌わせているのがわかる。東日本大震災時でのメータの人間力は、こうした所にちゃんと表現されているのだ。



2017年8月17日木曜日

フランク  ピアノとヴァイオリンのためのソナタ イ長調_モリーニ

今夜の一曲。フランク ピアノとヴァイオリンのためのソナタ イ長調。かのイザイに献呈され、初演された作品である。
カピュソンとブニアティシヴィリといきたいところですが、偏屈おじさんが、選んだのはモリーニ&フィルクスニーです。(1961年録音)
人生の喜怒哀楽、不安・焦燥・蠢動・嘆き・解放・安堵・・・・すべてを内包しているかのような二重奏曲。
きっとこの曲のファンは多いはず。
モリーニの清冽な音が心に浸みわたります。
モリーニと言えば、忽然と消えた名器ストラディバリウス「ダビドフ・モリーニ」。300万ドルの価値があるそうですが、見つかったのだろうか?



2017年8月5日土曜日

シューベルト 交響曲第5番_ペーター・マーク


今日は、少し暑さがぶり返してきましたね。こんな夜の一枚。シューベルト 交響曲第5番 変ロ長調 D.485を聴こう。ペータ・マーク指揮 フィルハーモニア・フンガリカ(1968年録音)シューベルトの交響曲全集から。
フィルハーモニア・フンガリカは、ハンガリーのオーケストラと思われがちですが、ハンガリー動乱の折に、西側に亡命した演奏家によって組織されたオーケストラで、1960年からドイツのマール(Marl)を拠点として活動していたオーケストラです。(残念ながら既に解散)
さて5番といえば、グールドのドキュメント映画で「シャイな音楽とはこのことだ」といって弾き始める曲で有名だ。(いや有名ではないかも)
フルート1、オーボエ2、ファゴット2、ホルン2、弦5部という小編成。第1楽章の4小節の序奏から優しさにあふれたメロディで始まります。どこまでも軽やかです。
第2楽章アンダンテは、さらに優美なメロディ。でもそこに少しだけ影がさします。まるでモーツァルトを聴いているようだ。
そして、第3楽章メニュエット&トリオ、これはその雰囲気がモーツァルトの40番 第3楽章にそっくりなのだ。主調がト短調でもあり、トリオがト長調であるのも同じ。青年シューベルトもやはりモーツァルティアンでしたか。(ぜひ聴き比べてみてください)
フィナーレも、軽快で華やかさの中に、優美さを忘れないメロディ。非常に地味で滋味なシンフォニーですが、好きです。
後期モーツァルトの交響曲集で見事な才能を発揮しているマークですが、シューベルト全集も素晴らしいです。