2021年8月8日日曜日

ブラームス ドイツレクイエム 40

 ドイツ・レクイエムを聴く。40

ヘルムート・リリンク(C)シュトゥットガルト・ゲッヒンゲン聖歌隊、シュトゥットガルト・バッハ・コレギウム 、ドナ・ブラウン(ソプラノ)ジル・カシュマイユ(バリトン)聴く。名盤復活シリーズ!1991年に録音し現在では入手が難しくなってしまった名盤の再発売CDです。宗教曲の合唱指揮者としても名高いリリングならではの各パート、声部まできめ細かな解釈が魅力の演奏。1曲目、冒頭かなりゆったりとしたテンポの中でコーラスを馥郁と歌わせる。重さ暗さの面は一切ない。只々美しく「祝福されたるは・・慰められるのですから。」と奏でてゆく。コーラスも力みなくリリンクの解釈に沿って歌いこなす。第2曲、起伏を伴って始まるオーケストラに暗さはなく、ただ重い足取りを表現するかのような出だし、繰り返しに力強さを増し訴えかけるような表現へと変貌する。長調へ転じた75小節からは、暖かさに満ちた歌声とともに軽やかさが加わり、前節との対比をうまく表現する。
198小節、「Aber des Herrn Wort」も、力みもなくすっと謳いあげ少しゆっくり目のアレグロへ。嬉々としたコーラス群の上手さが光る賛歌。第3曲、カシュマイユ(バリトン)の声は、包容力のあるいい声。模倣するコーラスは、前面に出ずに影絵のような存在。「Nun Herr, wes soll ich mich trösten?」からは、緊張をたかめつつ、コーラスの面白さをうまく表現している。そしてフーガ。その壮麗さを頑張って歌ってくれた。第4曲、その舞曲は、一時の清涼剤が如く。流れような表彰の違いを巧みにこなす。ハープの刻みが印象的。第5曲、ブラウン(ソプラノ)の声は、伸びのあるいい声だが個人的にはもう少し憂いを・・・第6曲、スフォルツァンドへの展開は少し迫力に欠けるが。大好きな大フーガ前の七色のコーラス変化は美しい。大フーガのアルトの入りは落ち着いた入りでOK。テーノルのカンカンさはカッコいい。ベースの落ちつきも締りをつける。ソプラノが時々声に硬さが見られるのは致し方なしか。全体的には圧倒的な賛歌にふさわしいコーラスぶりを発揮。終曲、テンポは比較的ゆったり目で、最後まで祝福と慰めをしっかりと謳わせたいリリンクの解釈か。個人的にはかなり評価の高い名盤の一つとしたい。






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