モーツァルト 遡って弦楽四重奏曲を聴いていこう。その③
2025年10月17日金曜日
モーツァルト 弦楽四重奏曲21番_アルバンベルク四重奏団
弦楽四重奏曲21番ニ長調K.575「プロイセン王第1曲」。アルバンベルク四重奏団(1975年録音)。プロイセン王セットは、ご存じ21.22.23番と3曲あり、プロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム2世からの依頼により作曲され(そうでない可能性も高いが)、彼がチェロの奏者だったこともあり、チェロが独奏楽の様に活躍するように作られているのが特徴だ。1楽章、第1ヴァイオリンの第1主題をすぐにチェロが引継ぎ、第2主題はチェロが提示する。第2楽章では、チェロが高音域で美しい旋律を奏で(k.476の歌曲「すみれ」からだろう)、第3楽章のトリオはまさしチェロが主役だ。そして第4楽章では、冒頭のロンド主題をチェロが提示する。
モーツァルト クラリネット協奏曲_サビーネ・マイヤー
モーツァルト クラリネット協奏曲イ長調 K622 、サビーネ・マイヤー;ドレスデン・シュターツカペレ(ハンス・フォンク指揮)<1990年録音>を聴こう。こちらは、モーツァルト没後200年の記念にあわせて録音されたもので、もちろん、バセット・クラリネットを使用していますよ。バセット・クラリネットはA管の最低音より長3度低いCまで出せるクラリネットで~す。「バセット・クラリネット」は、18世紀に活躍したクラリネット奏者で作曲家のアントン・シュタードラーためにテオドール・ロッツによって作られた楽器で、もちろん、この曲はモーツァルトがシュタドラーのために書いた曲ダヨーン。
2025年10月12日日曜日
モーツァルト 弦楽四重奏曲第22番_バリリ四重奏団
モーツァルト 弦楽四重奏曲を聴いていこう。その②
弦楽四重奏曲22番変ロ長調K.589「プロイセン王第2曲」。バリリ弦楽四重奏団(1955年録音)。21番同様プロイセン王フリードリヒ2世のために作られたものだが、自作目録には「フリードリヒ王にために」とは書かれていないことは申し上げておこう。k番号からしてオペラ「コシ・ファン・トゥッテ」の次に書かれたものであることがわかる。第1楽章は、やさしく下降する第1主題と、高音域で提示されるチェロから始まる。第2楽章は、弦楽四重奏曲中唯一「ラルゲット」指示のある緩徐楽章。チェロにたっぷりと謡わせる配慮かもしれない。優しい子守歌のようなメロディだ。第3楽章は、メヌエットと壮大な対位法のトリオ部をもつ驚異的な楽章だ。バリリ弦楽四重奏団の気品あふれる音が心地よい。
モーツァルト 弦楽四重奏曲第23番_アマデウス四重奏団&エリカ・モリーニetc
モーツァルト 弦楽四重奏曲を聴いていこう。その①
天邪鬼ぶりを発揮して逆視聴とさせていただきます。まずは、最後の23番から。モーツァルト:弦楽四重奏曲第23番 ヘ長調 K.590(プロイセン王第3番)。視聴は、アマデウス四重奏団<(1st violin)ノーバート・ブレイニン (2nd violin)ジークムント・ニッセル (viola)ペーター・シドロフ (cello)マーティン・ロヴェット。39年間変わらぬメンバーでウィーン風の定番だ。もう一つは、(1st violin)エリカ・モリーニ (2nd violin)フェリックス・ガリミール (viola)ワルター・トランプラー (cello)ラズロ・ヴァルガの変わり種。モリーニには言わずもがな、ガリミール は、50年代のNBC交響楽団のコンサートマスター、トランプラーは、ブダペスト弦楽四重奏団との競演で有名、ヴァルガは、レナー四重奏団のチェロ奏者で、ニューヨークフィルの首席奏者という錚々たるメンバーだ。
プロイセン王セットは、ご存じ21.22.23番と3曲あり、プロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム2世からの依頼により作曲され、彼がチェロの奏者だったこともあり、チェロが独奏楽の様に活躍するように作られているのが特徴だ。23番は、弦楽四重奏曲でも数少ないユニゾンで始まる(たぶん4曲だけ)が、長調とは思えないほど重苦しく物憂げだ。そして、白鳥の歌ともいうべき第2楽章、そのシンプルすぎるメロディが何度も繰り返され変奏的に展開してゆき、あまりにも耽美で脳裏から離れない。モーツァルトの死までわずか1年、4楽章ともに長調でありながら、高揚感ないまま終わる曲調に何かしら影のようなものを感じるのは私だけだろうか。
2025年10月4日土曜日
ブラームス 交響曲第4番_ベイヌム
ブラームス 交響曲第4番ホ短調Op.98、ベイヌム;コンセルトヘボウ管弦楽団(1958年録音)にて聴く。いよいよ4番の似合う季節がやってまいりましたね。第1楽章、恐れ多くも弱起で始まる冒頭よりのヘボウ管の温かみのある音色が魅力だ。大好きな第2主題、美しいチェロのスペイン風メロディの裏でのコントラバスの重量感、たまりません。コーダの切迫感あふれるオーケストレーションもご馳走様!モツレクのような締めくくりのティンパニーも良き。第2楽章、フリギア(ラ・シ抜き)手法にて、木管が活躍する中あらわれる弦楽群の柔らかで優しい音色とメロディが愛おしい。3楽章、男性的な表情でありながらアクセントは控えめ、テンポは中庸。終楽章、パッサカリヤは、音の余韻をとりつつヘボウ菅のまろやかな響きを活かし、それでいて芯のある作風に。古典的かもしれないが、何度聞いても飽きの来ない演奏です。
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