2021年1月12日火曜日

メンデルスゾーン 交響曲第3番「スコットランド」_ミュンシュ

メンデルスゾーン 交響曲第3番イ短調Op.56「スコットランド」、ミュンシュ:ボストン交響楽団(1959年録音)にて聴こう。第1楽章、序奏、ミュンシュとしては予期せぬ哀愁感。深みをもち表情豊かに謳いあげる。しかし、一旦ドラマチックの至芸に達したミュンシュは止められない、グイグイとテンポをあげながら進む。低弦群の圧が攻撃性の度合いを増す。しかしときおり出てくる木管の悲哀はくっきりと浮かび上がるから不思議だ。コーダに至ってはもう嵐そのもの。どうおとしまいをつけるのか?なるほどやはりそこまでテンポを落とすか。
第2楽章も快速。ペンタトニックのクラリネットに合わせて疾走してゆく。ティンパニーが少しついていけず。しかしミュンシュはお構いない。一気呵成の高速カウンター。
第3楽章、歌謡的なヴァイオリンが優しく歌う。しかしテンポは速めで感傷的ではない。第2主題からは決然とした男らしさが滲み出る。ティンパニーがミュンシュのドラマチック性を盛り上げる。
終楽章、冒頭の低弦の残響が耳に残る。そしてグイグイ感のテンポ。心象風景を吹き飛ばす筋肉質なオーケストレーション。コーダは堂々した入りから、想定通りの武闘派な締め。賛否はあるだろうが、「スコットランド」のイメージを覆すミュンシュ親分の魅力たっぷりな1枚。


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