2006年10月19日木曜日

芸術の秋 - モーツァルトを語る 第2弾

第ニ弾は、「弦楽五重奏曲第4番 ト短調 K516」である。
この曲の出だしを知らないで「モーツァルトが好き」といってる人は真っ赤な偽者である。
モーツァルトとト短調という調性は切っても切り離せない「宿命の調性」といわれている。
交響曲25番、40番。クラヴィーア四重奏曲。そしてこの曲。

「疾走する悲しみ」と言われたこの曲を聴かずして決してモーツァルトは語れない。心をえぐる という言葉がぴったりくるかもしれない。小林秀雄が有名にした冒頭の第一主題の半音階は、一種独特の情緒を持つ。第二主題は、休止符が絶妙で声の出ない嗚咽のようでもある。第ニ楽章のメヌエットは、あまりに悲しいのだ。下降音階と鋭い和音が悲愴感を込みあがらせる。もし後に続くトリオでのヴァイオリンが明るく振舞ってくれなければ、何処までも落ち込んでしまうだろう。つかのまの安息だ。そしてこの曲の最終楽章(第4楽章)は、悲しいト短調(アダージョ)の調べから突如 ト長調(アレグロ)へ移行する。しかし手放しで明るいものではなく、どこかそこはかとない寂しさの痕跡をなおも引きずっている。「慰めなき長調」と呼ばれるこの音を聴いて初めて天才モーツァルトを知るであろう。ブラボー アマデウス!!

それでは、第一楽章allegro(クリック)をお聴きください。

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