ベートーベン:ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 Op.73「皇帝」、スクロヴァチェフスキー指揮 (P)ジーナ・バッカウアー ロンドン交響楽団 (1962年7月録音:マーキュリー)にて聴こう。バッカウアー といえば、音の粒立ち、男勝りの鍵打・野太さが代名詞のようだが注目すべきは、第2楽章の緩徐楽章(Adagio un poco mosso)だ。深い内省と叙情性が求められるこの楽章において、慎重かつ豊かなニュアンス、優しさと気品を持ち合わせた叙情性が発揮されパルランドな旋律線を奏でる。
スクロヴァチェフスキーは、バッカウアーのピアニズムを支え、対話の確かさ・弱音器をつけたヴァイオリンの高貴な雰囲気づくりに徹している。お見事!!
ちなみに、この楽章、変ホ長調から離れたロ長調という、きわめて異例な選択をおこなっている所、末尾、低音で明確にロ音から変ロ音への「ずり下がり」が起こり、次楽章の主題(ロンド)をひそやかに探り出し予示し、そのまま切れ目なく第3楽章アタッカに移行してゆく所、この2点が大好きです。

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