2020年2月1日土曜日

ブラームス ピアノ協奏曲第1番_ハンス・ヒリター=ハーザー

注文していたCDがケンタッキー州にあったらしくやっと届いた。予定日より1週間遅れでしたが、着いてよかった。
ハンス・リヒター=ハーザー(P)、クルト・ザンデルリンク指揮、デンマーク放送交響楽団(1979年Live録音)。ブラームス ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 OP.15を聴く。KONTRAPUNKT(コントラプンクト)というデンマークレーベルのCDです。ちなみに”コントラプンクト”とは「対位法」という意味ですね。リヒター=ハーザーは、生粋のベートーヴェン弾きで、いつもは、ベートヴェンのコンチェルトを聴いているのですが、このCDには、ベト5「皇帝」とこのブラームスの1番が収録されています。
第一楽章、序奏部のティンパニーロールの中、各楽器の響かせ方が抜群だ。テンポもゆっくり目で、ザンデルリンクは単に重厚感だけでなく激しさの中で蠢く苦悩をわずか4分間で描きあげてしまった。それを受け継ぐリヒター=ハーザーの音の粒は、憂いを含んでいながら硬質に煌ていて聴こえるのが素晴らしい。展開部では、ピアノがオーケストラの一部と化す場面とピアノがパッと浮かび上がる場面の二面性をもつこの曲の魅力を存分に楽しみながら聴くことができる。これも協奏曲を知り尽くしたザンデルリンクの成せる業か。曲が進むにつれお互いの峻厳さが増してゆく。何と言ってもリヒター=ハーザーの強打であっても深みと気品あるタッチがこの曲本来以上に格調を高めているのが見事だ。
第二楽章、Adagio。まずは弦楽群とファゴットで始まる曲の冒頭部が堪らなく好きであることを書いておこう。そして再度この組み合わせで楽章を締めくくる。ファゴットに時折感動してしまうブラームスの様々な楽曲において、ここも大事にしてくれているかがポイントだ。リヒター=ハーザーの明確な粒立ちにより変に甘くならず深遠なる世界の創出がされ、中間部の色彩は決して耽美なものにならず・・・これがいい!この曲はショパンでなくブラームスなのだから。
終楽章、激情的なこの楽章においてもリヒター=ハーザーは、微塵も厳格さを失わない。それに合わせるザンデルリンクも変に煽ることをせず、それでいてエネルギッシュさを保ちコーダへ突入する。そしてこれほどシンクロしながら品格あるコーダは他にあっただろうか。「買ってよかったこの一枚」に推薦させていただきます。

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