2026年4月26日日曜日

モーツァルト 弦楽四重奏曲 第15番 ニ短調 _エマーソン弦楽四重奏団

 モーツァルト 遡って弦楽四重奏曲を聴いていこう。その⑨

弦楽四重奏曲 第15番 ニ短調 K.421。エマーソン弦楽四重奏団(1988-91録音)にて聴く。15番は、ハイド ンセットの中で唯一短調で書かれた作品。ニ短調は、モーツァルトにとっては、ト短調と同じくある意味   特別な調性と言えよう。『ピアノ協奏曲第20番 K.466』、歌劇『ドンジョバンニ K.527』『レクイエム    K.626』などと並べればご理解いただけるだろう。いずれも死と直面した独特の世界観・緊張感が、そこに  は存在する。この15番も全楽章を通じて、抑制された哀しみと、時折現れる激しい情熱が交錯する。第1楽  章では、第1主題の動機が執拗に繰り返され、カノン風に絡み合うことで、逃げ場のない焦燥感が強調され  る。第3楽章のメヌエットでは、鋭い(付点音符)のリズムが、宮廷舞曲としての優雅さをかき消し、むし  ろ峻厳さを強調する。終楽章では、シチリアーナ(6/8の舞曲)のリズムにより、悲哀や別離の印象がより 強く感じられる。15番が作曲されたのは、長男ライムント誕生し、わずか2か月後に死去した時期に相当す る。いずれにしても、モーツァルトの短調は、単に音楽的「美学」というよりもモーツァルトの内なる暗  黒を覗きみるような悲しさがまつろう。



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