2006年7月9日日曜日

独りで悲しみに浸りたい時は

Amadeus_top この美しく、魂をゆさぶられる音はなんだろう。単純な音階だというのに。それは最も私を魅了してやまないピアノ協奏曲第23番イ長調 K.488 第二楽章である。モーツァルトファンにはおなじみであるが、「アイネクライネ・・」ぐらいしか知らない人からすれば、これがモーツァルト?という曲であろうか。モーツァルトほど悲しみのバリエーションを多くもつ作曲家はいない。この曲は是非、独りで聴いてもらいたい。ゲオンは、弦楽五重奏第4番ト短調K.516の冒頭の譜を書いて、「モーツァルトのかなしさは疾走する。涙は追いつけない。涙の裡に玩弄するには美しすぎる・・・」と。小林秀雄は「Tristesse(かなしさ)を味わうために涙を流す必要がある人々には、モーツァルトのTristesseは縁がないようである」と書いた。確かに、K.516はそうかもしれない。しかし、このアダージョの、救いようのない悲しさに涙してしまうのは、私だけだろうか。

それでは、K488(クリック)第二楽章、お一人でじっくりお聴きください。

2006年5月1日月曜日

何度もアマデウス

Img52今年は、モーツァルト生誕250年である。1984年、今から22年前「アマデウス」という映画が あった。モーツァルトを非常に下品な人物として描いていたのを覚えている。そして、凡庸なる宮廷作曲家アントニオ・サリエリが、凡庸なる自分を生かした神に復讐するため、精神的に追い込み死に至らしめるという内容である。

モーツァルトの音楽の中で好きな曲はいろいろあるが、その中でも好きな「フルートとハープシコードのための協奏曲 ハ長調K299より 第二楽章 Andantino」を紹介しよう。(ピアノ協奏曲第23番 第二楽章が一番好きなのですが・・)

1778年にパリのドゥ・ギーヌ公爵親子とアドリアン・ルイ・ドゥ・ボニエール公爵のために作曲され、モーツァルトとしては最もフランス風の作品。ボニエール公爵がフルートの名手であり、その娘が結婚する際に依頼されたといわれている。モーツァルト特有の天真爛漫で自由に流れる旋律、様々な音色が作品全体に満ち溢れているのでお楽しみください。

映画では、妻コンスタンツェがモーツァルトに無断で楽譜をサリエリに審査してもらいに来た時、「これはオリジナルです」と言い、そしてその言葉を聞いて楽譜を見たサリエリの驚きは、そのままモーツァルトの音楽を聴くすべての人々の驚きにつながるという場面がある。そのオリジナルは一ヶ所の訂正もなく書かれているのだ。誰しもモーツァルトの曲を聴くと、不思議と神がモーツァルトの手を借りて曲を一筆書きしたかのような印象を受ける。映画のこの場面はそのことを表現しているのである。その時に一瞬使われた曲の一つです。13小節めからのフルートが始まると心が洗われます。


さて、このアマデウスにはその他にも多くの曲が登場する。映画の冒頭は、「交響曲第25番・第1楽章」で始まる。モーツァルト登場のシーンでは、「セレナーデ第10番 グランパルティータのアダージョ」。結婚式の場面では、大ミサ曲「キリエ」。もちろん、フィガロの結婚、ドン・ジョバンニ、魔笛といった三大オペラやレイクエムも出てくる。そして、ラストは、ピアノ協奏曲第20番第2楽章で終わる。十分に音楽も堪能できる映画で、古いテープで録画しており今までに年に2回くらいは思い出して見ている。

さて、ここからは薀蓄の世界。モーツァルトが登場して指揮をするグランパルティータの演奏は、実は3番目のアダージョと最後7番目のアレグロの合体である。この映画は前述のようにモーツァルトの曲をふんだんに使っているのだが、1曲だけ違う作曲家の曲がバックに流れている。前半でサリエリが、音楽の道を歩ませてくれたら、神に賛歌を捧げると祈るシーンでは、ペルゴレージの「スタバト・マーテル」の終曲”肉体は死んで朽ち果てるとも”が使われているのだ。こうして結局何度も見てしまう。


それでは、フルートとハープシコードのための協奏曲 ハ長調K299より  Andantinono2 (クリック)をお聴きください

2006年2月25日土曜日

モーツァルト お気に入りベスト5

モーツァルトの作品からお気に入りを選ぶのは至難の技だが、現在の自分のベスト5を挙げるとすると以下のようになる。

① ピアノ協奏曲第23番 イ長調 K488

② 弦楽三重奏のためのディヴェルトメント 変ホ長調 K563

③ ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 k364

④ 交響曲第29番 イ長調 K201

⑤ クラリネット五重奏曲 イ長調 K581

以上だ。あっ イ長調と変ホ長調だけだ。これもおもしろい。