2016年4月15日金曜日

モーツァルト ピアノ協奏曲第9番&21番_ワイセンベルク

金曜日の夜のとっておきの一枚。
モーツァルト ピアノ協奏曲第9番{ジュノーム}、ピアノ協奏曲第21番。ワイセンベルク:ジュリーニ+ウィーン交響楽団(1977&78)。
このコンビと言えば、ブラームスのピアノ協奏曲第1番、も有名ですが、今夜はモーツァルトでいきたい。
第9番 変ホ長調「ジュノーム」。
オーケストラの主題の提示にすぐさまピアノが応える画期的なスタイル。なにかワクワクしたものを感じさせる始まり。しかし軽やかでありながら、どことなく切ない長調のメロディ。第二楽章への暗示なのだろうか?
その第二楽章は、変ホ長調の平行調である「ハ短調」。
モーツァルト27曲のピアノ協奏曲の内、短調の緩徐楽章をもつのは、この9番、18番、22番、23番の4つだけ、その中で最も長く、最も悲嘆にくれたメロディ。この悲しみは若者モーツァルトのどこから生まれるのだろう。
弱音器のヴァイオリンの低重音が生み出す苦悩。そこをさまようピアノ。もがき苦しみから少しずつ「光」を見出すかのような木管の音色、しかしピアノは、まだ苦悩の彷徨の中。やはり、モーツァルトの天才的な凄みは、こうした短調の中にある。
ワイセンベルクの少し硬めのコロコロした音は、純粋な響きで美しい。決して重くならず淡々と奏でられるピアノからモーツァルトの心の内から滲み出る寂寥感を紡ぎだすといった感じだろうか。こういった演奏もいいなと思う今日この頃でありました。


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