2016年12月10日土曜日

ブラームス ヴァイオリン協奏曲_シゲティ

夜中の3時。こんな時間からまたまたブラームスを聴く。
今夜は、シゲティ:オーマンディ+フィラデルフィア管弦楽団による
ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.61。(1945年録音:MONO)
しかし意外と録音は良いのだ。シゲティは、カップリングのベートーヴェンとブラームスの協奏曲を3度録音しているが、こちらはともに2度目のもの。ちなみに、一度目は、ハーティ:ハレ管弦楽団(1928年)そして、3回目は賛否両論のメンゲス:ロンドン交響楽団(1959年)である。
シゲティ、オーマンディともにハンガリー出身のフバイ(ヨアヒムの弟子)門下である。そう、オーマンディは20歳で王立音楽院ヴァイオリン科主任教授をするほどヴァイオリンの天才でもあります。さて、もしメンゲスとの59年の老齢のシゲティがシゲティらしい演奏と評されるならば、この演奏は幾分らしさがないとも言える。
しかし、50代の脂の乗ったこの時期が本当のシゲティともいえる。この演奏には、強すぎる指圧による「掠れ」を伴う独特の音色は見られない。深みのある音色に時折見せるルバート。そこには、カントロフやグリュミオーのような甘美さはないが、胸を締め付けられる響きがある。ちょっと第2楽章では涙も出てきそうです。また、サポートするフィラデルフィア管がすばらしい。特にオーボエ協奏曲を思わせる出だしをもつ第2楽章、ジョン・デ・ランシーのオーボエ(R.シュトラウスにオーボエ協奏曲を催促し作曲させた人物)と名手メイソン・ジョーンズのふくよかなホルンも聴ける。そこにシゲティのすすり泣きのヴァイオリン。贅沢の極み。昭和20年当時の敵国は戦争のさなか、このような芸術に溢れていたのだと思うと感慨深いものがある。愛すべき一枚。ワルターとのベートーヴェンは後日。


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