2017年1月15日日曜日

ドイツ・レクイエム 19

月に1度は聴きたくなるブラームス「ドイツ・レクイエム」シリーズ。第19回目となります。
①クレンペラー②サバリッシュ③ヤルヴィ④ジュリーニ➄セル⑥コルボ⑦アーノンクール⑧ケーゲル⑨ロバート・ショウ⑩アクサンチュス⑪コッホ⑫ヘレヴェッヘ⑬シノーポリ⑭クーベリック⑮バレンボイム⑯レヴァイン⑰ケンペ⑱マゼール
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今年初となる第19回は、アンセルメ:スイスロマンド管、アグネス・ギーベル(Sp)、ヘルマン・プライ(Br)(1966年録音)です。
冒頭から感じるのは、暖かみと慈愛に溢れた演奏であるということ。ゆっくり目のテンポでコーラスも語り掛けるように。
それは、第2曲に入っても変わらない。
重々しく歌われる変ロ短調の冒頭から
「So seid nun geduldig, lieben Brüder, だから今は耐え忍びなさい、愛しい兄弟よ」の「変ト長調」へ転調された場面での優しさに、それを特に強く感じることができるであろう。
この第2曲において、テンポをうまく揺らしながら、まるで物語のように展開されてゆくアンセルメの数学者としての構成力には脱帽です。
第3曲。ドイツレクイエムと言えば、やはりプライです。
この演奏でのプライのモノローグは、哀歌そのもののような声の色彩をもつ。やはりプライの独唱はいつ聴いても素晴らしい。
第4曲では、この曲が舞曲であることを知らしめてくれる極めて明確な1拍目の使いかたが如何にもアンセルメらしさを感じる。
第5曲。ソプラノのギーベルは、音量は他に譲るものの天上から歌いかけるような甘い美声はさすがだ。この2人は1960年チェリビダッケ盤でも競演している。
第6曲。冒頭、アンセルメはここでも深刻さを排除しているように思える。金管群もティンパニーも荒々しさを微塵も感じさせず、大フーガへ突入する。人によっては少し物足りなさを感じるかもしれない。ラストのリタルダントにみられように「賛歌」への強いこだわりを感じさせる表現方法であろうか。
第7曲。ドイツレクイエムは、1個の人間が様々なドラマ(人生)を営んだ後に、哀しみの死を迎える中で神の祝福を受けるというブラームスらしい構成となっていると思われる。(救いと報い)
その終着点において、どこまでも優しくハートを感じさせるのが、アンセルメの演奏ではないだろうか。一聴をお勧めします。


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