2020年3月8日日曜日

モーツァルト ピアノ協奏曲第26番_グルダ

雨の日曜日、久しぶりに、グルダ、アーノンクール ロイヤル・コンセルトヘボウ管によるピアノ協奏曲第26番ニ長調 K.537「戴冠式」を聴く。そして、この26番の紹介をしてなかったことに気づく。この26番は、1790年10月にフランクフルトで行われたレオポルド2世の戴冠式の祭典に19番とともに演奏された。(初演ではない、たぶん2度目)それがこの曲が『戴冠式』と呼ばれるようになった所以である。やや不完全で、第2楽章は実は左手のパートは欠落しており現在の演奏はほぼJ. A. アンドレによって書き込まれたものである。第1楽章、行進曲風で華やかな幕開け。管弦楽を引き継ぐピアノも春の陽気に誘われて公園を闊歩するような楽し気な音色。時よりお得意の短調風味の色彩を帯びるが、あくまで繋ぎであり26番では快活さは失わない。この曲の魅力は「淡々」。
第2楽章、ピアノが主題を奏でオーケストラがそれに続く。柔らかい響きを奏でながらグルダの鼻歌が聴こえてくるのが面白い。テンポを微妙に変えながら自由に遊ぶ。きっとモーツァルトも即興で遊んでいたに違いない。
第3楽章、再び快活なメロディ。変幻自在に転調しながら、翳りを見せながらフィナーレへ。名曲揃いのピアノ協奏曲の中で評価の低い作品ではあるが、19世紀には最も好んで演奏されていたらしい。全く深読みする必要のない分、気軽に聴ける颯爽した曲である。だから、今日のような雨の日にはちょうど良い。


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