2020年4月5日日曜日

ドヴォルザーク 交響曲第1番_ケルテス

イシュトヴァン・ケルテス ロンドン交響楽団による「ドヴォルザーク 交響曲全集」より交響曲第1番ハ短調OP.3(B9)「ズロニツェの鐘」<1966年12月1日~3日録音>を聴いている。ズロニツェはプラハ北西部にある町。ドヴォルザーク少年が初めて音楽を勉強した小さな町です。
各楽章の調性を見ると①ハ短調②変イ長調③ハ短調④ハ長調で、ピンとくる方なら「あれ、ベンちゃんの運命と同じやん」と気づくであろう。23歳の時の作品であるが、ベートヴェン風とは言い難く、極めて旋律的でシューベルトやワグナーなどの影響を感じる。いずれにしても多くの作曲家の影響を受けた時期の作品と言えるであろう。
序奏付きの第1楽章は、軽騎兵の突撃合図のような動機の序奏で始まり、モルダウに似た弦楽群による第一主題が提示されていく。ドヴォルザークらしいドラマチックなメロディーラインが印象的だ。ケルテス盤は提示部の繰り返しを行っているがこれは、全集録音だからであろう。(通常は省略)
第2楽章Adagioは、ドヴォルザークらしさ満点の美しい旋律と歌心溢れる楽章だ。木管群の哀愁のメロディがポイント。中間部では、モーツァルトの「後宮からの逃走」を思わせる旋律が出てきたり、後半部に二重フガートが使われいるのも面白い。
第3楽章は、明記こそないがスケルツォに相当。様々なリズムとメロディが展開され、最後にドンと行くと思わせ、シュット終わる所は8番に通じるものがある。
終楽章、1楽章同様騎兵ラッパのような主題がオーボエによってもたらされる。複雑な変化はないものの木管群が起点となりオーケストレーションの面白さを味わえる楽章。極めて陽気な旋律の中、華やかなに曲を締めくくる。
1番はある意味まだ、民族的な要素をさほど見せていない作品であるといえるだろう。


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